われのみの さいはひをこひ 夢のごとき 地獄を生くる 悪魔のうめき
*わたしたちが、例の悪魔、と呼んでいるのは、ある有名な野球選手のことです。まあ知っていると思いますが。
彼は自分の幸福な人生を作るために、あまりにも多くの人間から幸福を盗み、それを独り占めしている。だからあのように、人間とは思えないような、すごい幸福者になることができるのですが。
本人はちっとも幸せそうではない。鋼鉄の仮面のごとき、好青年の外面で隠してはいますがね、時折見せる暗い表情や、むなしさの漂う目つきに、本当の心が見える。
人もうらやむような見栄えのいい幸福を作るために、美人と愛のない結婚をしてみたら、まさしく自分の人生が地獄になった。金も名声も才能も、すべてがあるのに、全然楽しくない。全然愛がない。
愛を馬鹿にして、自分だけの幸せのために、すべての人間を奴隷化し、利用してきた人間の、目指してきたすばらしい幸福とは、愛が何もない、黄金の地獄だったのだ。すべてがあるのに、何もない。
かわいそうに、本当の自分をごまかして、うその自分を生き続けていれば、究極、そういうことになるのだ。自分で作った黄金の幸福の、夢のような地獄に、一生住んでいなければならない。
愛がなければ、何もないのだということが、深く分かった時には、すべてが遅い。
人間を恐怖で締め上げ、自分の思い通りにできる馬鹿にしてきた、悪魔活動の、最終結果の見本を、彼は人類に、見事に教えてくれるのです。