10日に観て来た劇団衛星の「大陪審」は、本当にエキサイトする芝居でした。
まずチケットがコレ↓
受付をするとコレを渡されて、会場に入る時に右下をカットされました。
普通芝居の会場に入る時には、様々なチラシ類をもらうのですが、ここでもらったのは[法廷ガイド]
うわー、ワクワクするー!!
他に訴状の紙2枚、被告側の会社の企業理念、被告側についている弁護士の広告、これだけ。
もうすっかり法廷気分なんですよ。
お客さんは民事裁判に選出された陪審員候補者っていう設定なんですね。
そして茶封筒を1つ渡されたのですが『これは指示があるまで絶対に開封しないで下さい』と言われドキドキ。
中に何が入っとるの?見たいー。でもガマンガマン。
今回の裁判の訴状の内容は、『被告の経営する飲食店「好きやねん」でアナゴ丼を食べた原告が体調を崩し、翌日に控えていた取引先との大事なプレゼンで大変な失態をおかしてしまった。それ以来仕事に行けず引きこもりになり、甚大な精神的被害を被ったが為の損害についての請求』と言う事でした。
昨今の賞味期限偽装問題や、食肉偽装問題や、雪印の食中毒事件など、思い当たる事件はいくつもあって、訴状を読んだ時から気持ちはもう原告側に傾いています。
この裁判には「裁判進行官」を務めていらっしゃる女性がいて、彼女が再三に渡って『受付でもらった封筒は指示があるまで絶対に開封しないで下さい。国民の義務です』って仰るのがおかしいやらこわいやら。
いよいよ裁判が始まるのですが、裁判進行官の進行で陪審員宣誓文を全員で唱和し、裁判長が出て来ると起立して礼。
この辺りで私はもうかなり緊張してしまっていました。
もちろんお芝居なので、本当の裁判がこれと同じように進行するのかは分かりませんし、かなりデフォルメされた表現もあると思いますが、(実際に将来起こり得るかも知れない)そう思うとただ単に観劇しに来た以上のものを感じてしまいました。
裁判は
原告の要求内容・主張の陳述
↓
被告の答弁・主張の陳述
↓
原告への尋問
↓
被告への尋問
↓
最終弁論
↓
陪審員の選出
↓
投票
↓
結審
という流れで行なわれました。
原告側の主張を聴くと(そりゃ尤もだ。最近の食品会社ときたら・・・)と思うし、
被告側の主張を聴くと(あー。ここは結構しっかりしている会社なのかも)とも思うし、
最初は『アハハー』と笑って観ているだけで良かったのに、終盤に近づいてくるとだんだんどちらの主張が正しいのかも分からなくなってきました。
いよいよ投票。
裁判進行官が『それでは封筒を開封して下さい』と言うと、観客がザワザワと封筒を取り出します。
会場の中に5人だけ陪審員と朱書きされた用紙が入っている人がいたそうで、その方達の意見が反映されるとの事でした。
私の用紙はただ原告・被告と書かれた紙のみでした。
『このどちらかに○を付けて提出して下さい。国民の義務です』と言われりゃあ提出せざるを得ません。
私は原告側に○を付けて提出しました。
このお芝居はこの投票結果によってエンディングが変わるのですが、私が観た公演は原告敗訴のエンディングになってしまいました。
あーん、応援していたのに残念。
でもどうにも怪しい。
被告側が用意した証人を、飛ぶ劇場の藤原達郎が演じていたのですが、この証人が達郎じゃなくて、もっと胡散臭い、例えばうちのダンナさんとかだったら絶対原告の方が勝っていると思います!(←何の主張だ・・・)
しかも、昨日衛星さんの打ち上げにもちょこっと顔を出して、そこで聞いたのですが昨日の公演も原告側が敗訴してしまったとか・・・。
ありえなーい!
原告側を演じていらっしゃった代表の蓮行さんは本当にがっくりされてました・・・。
しかし本当に臨場感のあるこんなにワクワクする参加型の芝居も初めてでした。
もし陪審員に選ばれていたら。
自分の意見が反映されてそれが誰かの人生を変えるかも知れないと思ったら、本当に悩みました。
ただのお芝居でこれだけ悩むんだから、もし本当に本物の陪審員になってしまったらと思うとヒヤヒヤです。
改めて裁判員制度について考えなくっちゃって思いました。
政府もムダに冊子とか作らずに、衛星さんを呼んでこのお芝居を広く一般に見せた方が、より分かりやすい裁判員制度への理解を生むと思うのですが。
何はともあれ本当に面白いお芝居を観る事が出来ました。
また1つ、注目したい劇団が増えましたね。
衛星の皆様、お疲れ様でしたー!