毎週月曜日、Rock cafe TOYS にて、ギターメンテナンスを行っておりますが、先週、お客様がとんでもないお宝を持っていらっしゃいました。
なんとも美しいトラ杢の Tokai のレスポールであります。ヘッドの文字は、Reborn ではなくて、LoveRock になっていますので、最初の銘機 LS-100 が出てバカ売れしたあと、それよりももっとハイグレードなヤツを作ってやろうと出した、一番良い時のヤツ・・・ LS-120V と思われます。
ヘッド裏には 120 のシール。シリアルから '81年製と思われます。マニアの間では20万とか30万とかで取引されているとか・・?
しかし、持ち込まれた状態は、かなり難ありの状態でした。現在の所有者のお客様の話しでは、90年代はじめに手に入れたそうですが、その時点でブリッジがかなり錆び付いていて、ブリッジとテールピースを買って来てはめたんだけど、ブリッジのサイズが合わないものを入れてしまって、抜けなくなってしまった・・・(T_T)。と言う事でした。
さらにその新たなブリッジを取り付ける時、ブリッジの下のスタッドについているあの円形のボルト?というかブリッジの高さの調整をするための円盤をはめないまま、ボディまで差し込んでしまっている状態でした。そんな訳で、現在の所有者の方は、このギターを手に入れてから、一度も弦を張った事が無いって事でした。
そろりそろりと、ドライバーをてこにしながらブリッジは簡単に抜けたのですが、そのブリッジの台座となる円盤が、1個しか無い!(>_<)
トーカイだったら国産だから・・・と、トーイズにあったグレコのレスポールから移植しようとしたら、アラ?入らない。私のうちになぜかあったゴールドのパーツもハマらない・・・。トーカイは Gibson Old の再生!ってのがテーマだから、インチ規格なのかしら?でも、一応錆だらけの純正ブリッジの裏には、JAPAN の刻印はありました。
この円盤が一個無いだけで、楽器として成立しなくなるんですねぇ。と、困っておりましたが、トーイズのマスターの"O"さんが、青木楽器さんに相談して、あうヤツを1個だけ見つけて来てくれました。
そして大きな問題がもう一つ・・・
ナットの低音弦側が、欠けております。(T_T)
ただまぁ、弦は張れそうな感じでしたので、弦を張ってみて、開放のチューニングが狂うようだったら、手持ちのものと交換するか?でもこの高級 LS-120v だから牛骨だよなぁ~、安い樹脂製じゃもったいないかなぁ~・・・、と思いながらも、とりあえず弦を張るべく、メンテ作業をいたしました。
フレットは緑に変色。まぁ20年近く弦もはられていなかった訳ですから当然ですね。指板をオレンジオイルできれいにして、フレットを磨きました。
フレットはオーバーバインディングではなく、バインディングの方がフレットにあわせて出っ張っているタイプ。オールドですねぇ。
ネジ類もかなり錆が出てましたので、錆びとり&磨きをいたしました。
ネックのジョイントもディープジョンととは違う、ネットで調べた当時の Tokai の特徴と一致。
ピックアップは、Dimarzio の PAF ですねぇ。あ、写真を撮り忘れましたが、サーキットはプリント基板になっている、初期のトーカイのもので、いじられた形跡はありませんでした。ポッド類はボリュームもトーンもガリも無く、正常でした。
そして当時のトーカイの特徴の一つでもある(ネットで得た付け焼き刃の知識ですが・・)エスカッションの下がカーブしていない。つまりアーチドトップながら弦の下の中心部が平らになっています。
このトップのトラ杢のハードロックメイプルの厚み、すごいですねぇ。たしかに今この材で作ろうとしたら30万でも安いのかも?
ブリッジはオリジナルものをなんとか錆びとりして、使える所まで持って行けました。サドルの部分は色が違ってて、ブラス製かな?と思われます。
その他各部を清掃して、いよいよ弦を張ってみました。
ん~、まずネックが逆ぞり。20年近く弦を張らずに放置されていたから仕方ないか?とりあえずトラスロッドを一杯まで緩めましたが、まだ逆ぞりですねぇ。弦を張りましたので、しばらくこのまま吊るしておけば、なおってくるかもしれません。
それと、弦が詰まった様な感じで、上手く振動せず音が伸びません。原因を探ると、ブリッジのサドルの切り込みが大きすぎるのが原因のようです。ひょっとして元はこのブラスの上にメッキがしてあったのかしら?だとすると現状の切り込みの大きさと深さも納得できるけど・・・・。巻き弦の方は大丈夫ですが、1~3弦はあきらかにサドルのせいでサスティーンが出ない状態です。ん~、サドルは交換だなぁ・・・。でもこのグレードに見合うものというと・・・チタンとか?グラファイトとか?高くつきそうだけど・・・・、いや意外と鉄製とかの方が良かったりして?
ナットの欠けは、とりあえず大丈夫そうですが、でもしっかりとホールドできるものの方が、鳴りは良くなるかもしれませんねぇ。
そして、Dimarzio の PAF はどうよ?と、マスター "O"さん所有の Orville のレスポールと弾き比べてみましたが・・・、ん~、われわれ二人の見解では、パワー、レンジの広さ、どちらもオービルに軍配が上がりましたねぇ。(^_^;)。まぁ、オービルの方が新しいし弾き込んでますからね。Dimarzio の方は約30年前のものですから、枯れて来ていると言うのもあるのかもしれません。ただ、こっちの方が好きだ!と言う方もきっといると思います。私ら二人は、現代的な音の方が好みですのでね。
ネックのそり、サドル、ナットという楽器として一番大切な部分に問題を抱えたままではありますが、なんと言ってもこのギターの一番は、その美しいフレームトップのメイプルですね。あ、バックはもちろんマホガニーワンピースでした。
盛岡と言う片田舎の、ほんの狭い知り合いの間からも、この間の GRECO GO 700 といい、眠っていたこんなお宝ギターが出てくるものですねぇ。まだまだこれからも出てきそうな予感がいたします。
皆様の家でしまいっぱなしになっている古いギターがございましたら、どうぞ、Rock cafe TOYS まで、月曜日にお持ちくださいまし~!
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なんとも美しいトラ杢の Tokai のレスポールであります。ヘッドの文字は、Reborn ではなくて、LoveRock になっていますので、最初の銘機 LS-100 が出てバカ売れしたあと、それよりももっとハイグレードなヤツを作ってやろうと出した、一番良い時のヤツ・・・ LS-120V と思われます。
ヘッド裏には 120 のシール。シリアルから '81年製と思われます。マニアの間では20万とか30万とかで取引されているとか・・?
しかし、持ち込まれた状態は、かなり難ありの状態でした。現在の所有者のお客様の話しでは、90年代はじめに手に入れたそうですが、その時点でブリッジがかなり錆び付いていて、ブリッジとテールピースを買って来てはめたんだけど、ブリッジのサイズが合わないものを入れてしまって、抜けなくなってしまった・・・(T_T)。と言う事でした。
さらにその新たなブリッジを取り付ける時、ブリッジの下のスタッドについているあの円形のボルト?というかブリッジの高さの調整をするための円盤をはめないまま、ボディまで差し込んでしまっている状態でした。そんな訳で、現在の所有者の方は、このギターを手に入れてから、一度も弦を張った事が無いって事でした。
そろりそろりと、ドライバーをてこにしながらブリッジは簡単に抜けたのですが、そのブリッジの台座となる円盤が、1個しか無い!(>_<)
トーカイだったら国産だから・・・と、トーイズにあったグレコのレスポールから移植しようとしたら、アラ?入らない。私のうちになぜかあったゴールドのパーツもハマらない・・・。トーカイは Gibson Old の再生!ってのがテーマだから、インチ規格なのかしら?でも、一応錆だらけの純正ブリッジの裏には、JAPAN の刻印はありました。
この円盤が一個無いだけで、楽器として成立しなくなるんですねぇ。と、困っておりましたが、トーイズのマスターの"O"さんが、青木楽器さんに相談して、あうヤツを1個だけ見つけて来てくれました。
そして大きな問題がもう一つ・・・
ナットの低音弦側が、欠けております。(T_T)
ただまぁ、弦は張れそうな感じでしたので、弦を張ってみて、開放のチューニングが狂うようだったら、手持ちのものと交換するか?でもこの高級 LS-120v だから牛骨だよなぁ~、安い樹脂製じゃもったいないかなぁ~・・・、と思いながらも、とりあえず弦を張るべく、メンテ作業をいたしました。
フレットは緑に変色。まぁ20年近く弦もはられていなかった訳ですから当然ですね。指板をオレンジオイルできれいにして、フレットを磨きました。
フレットはオーバーバインディングではなく、バインディングの方がフレットにあわせて出っ張っているタイプ。オールドですねぇ。
ネジ類もかなり錆が出てましたので、錆びとり&磨きをいたしました。
ネックのジョイントもディープジョンととは違う、ネットで調べた当時の Tokai の特徴と一致。
ピックアップは、Dimarzio の PAF ですねぇ。あ、写真を撮り忘れましたが、サーキットはプリント基板になっている、初期のトーカイのもので、いじられた形跡はありませんでした。ポッド類はボリュームもトーンもガリも無く、正常でした。
そして当時のトーカイの特徴の一つでもある(ネットで得た付け焼き刃の知識ですが・・)エスカッションの下がカーブしていない。つまりアーチドトップながら弦の下の中心部が平らになっています。
このトップのトラ杢のハードロックメイプルの厚み、すごいですねぇ。たしかに今この材で作ろうとしたら30万でも安いのかも?
ブリッジはオリジナルものをなんとか錆びとりして、使える所まで持って行けました。サドルの部分は色が違ってて、ブラス製かな?と思われます。
その他各部を清掃して、いよいよ弦を張ってみました。
ん~、まずネックが逆ぞり。20年近く弦を張らずに放置されていたから仕方ないか?とりあえずトラスロッドを一杯まで緩めましたが、まだ逆ぞりですねぇ。弦を張りましたので、しばらくこのまま吊るしておけば、なおってくるかもしれません。
それと、弦が詰まった様な感じで、上手く振動せず音が伸びません。原因を探ると、ブリッジのサドルの切り込みが大きすぎるのが原因のようです。ひょっとして元はこのブラスの上にメッキがしてあったのかしら?だとすると現状の切り込みの大きさと深さも納得できるけど・・・・。巻き弦の方は大丈夫ですが、1~3弦はあきらかにサドルのせいでサスティーンが出ない状態です。ん~、サドルは交換だなぁ・・・。でもこのグレードに見合うものというと・・・チタンとか?グラファイトとか?高くつきそうだけど・・・・、いや意外と鉄製とかの方が良かったりして?
ナットの欠けは、とりあえず大丈夫そうですが、でもしっかりとホールドできるものの方が、鳴りは良くなるかもしれませんねぇ。
そして、Dimarzio の PAF はどうよ?と、マスター "O"さん所有の Orville のレスポールと弾き比べてみましたが・・・、ん~、われわれ二人の見解では、パワー、レンジの広さ、どちらもオービルに軍配が上がりましたねぇ。(^_^;)。まぁ、オービルの方が新しいし弾き込んでますからね。Dimarzio の方は約30年前のものですから、枯れて来ていると言うのもあるのかもしれません。ただ、こっちの方が好きだ!と言う方もきっといると思います。私ら二人は、現代的な音の方が好みですのでね。
ネックのそり、サドル、ナットという楽器として一番大切な部分に問題を抱えたままではありますが、なんと言ってもこのギターの一番は、その美しいフレームトップのメイプルですね。あ、バックはもちろんマホガニーワンピースでした。
盛岡と言う片田舎の、ほんの狭い知り合いの間からも、この間の GRECO GO 700 といい、眠っていたこんなお宝ギターが出てくるものですねぇ。まだまだこれからも出てきそうな予感がいたします。
皆様の家でしまいっぱなしになっている古いギターがございましたら、どうぞ、Rock cafe TOYS まで、月曜日にお持ちくださいまし~!
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