fernhaven rd.

狭いベランダで育てているバラのこと、一緒に暮らす猫のこと、トールペイントのことなどなんてことない毎日を書いていきます。

映画〈九十歳。何がめでたい〉簡単な感想(ネタバレあり)

2024-07-02 09:03:47 | 映画

大好きな佐藤愛子先生のエッセイをもとに作った映画〈九十歳。何がめでたい〉

今日は簡単にその感想を書きたいと思います。

(あらすじ)

数々の文学賞を受賞してきた小説家の佐藤愛子(草笛光子)は、90歳を過ぎて断筆し、

それをきっかけに人付き合いも減り、鬱々(うつうつ)とした気持ちを抱えながら日々を過ごしていた。

そんな彼女のもとへ編集者の吉川真也(唐沢寿明)が訪ねてきて、エッセイの執筆を依頼する。

依頼を受けた愛子は、世の中に対して感じる怒りを「いちいちうるせえ!」などと赤裸々につづるが、

そのエッセイは評判を呼び、彼女の人生は大きく変わり始める。

 

先ず、可笑しな感想ですが、実際に90歳になられた主演の草笛光子さんが素晴らしい。

とにかくお元気、声も大きく滑舌もよく、歩く時も背筋がピッと伸びてたったっと歩かれる。

膨大なセリフを覚えて演技なさるなんてすごい!と思いました。

 

コメディですが、いくつもの教訓が散りばめられていて

これからの生き方を考えさせられました。

断筆宣言をされてからの愛子先生はやる気も失せ、お化粧もせずだらだらと日々を送っている、

が、唐沢さん扮する吉川と言う編集者にしつこくエッセイの依頼をされて

しぶしぶエッセイを書き始めると

たちまち元気横溢

世の中への怒りがふつふつとよみがえり、人が訪れるので身支度もきちっとして

あちこち気を遣うようになる。

ですよね、やっぱりいつまでも誰かから必要とされるのって大切なことだと思いました。

 

私もお教室をしているので、生徒さんが訪ねてくださるゆえに

部屋も片付ける、バラや作品を飾る、自分も身ぎれいにする、生徒さんが喜ばれるようなお茶菓子を用意する

などなど、誰かが来てくださることの効用は実にたくさんある、と思いました。

 

連載エッセイは〈九十歳。何がめでたい〉と言う一冊の本になり

それが爆売れ、全国の書店でベストセラーランキング1位続出

もちろん有名作家であられる愛子先生ですが、これによってさらに有名になる。

人生何が起こるか分からない、ですね。

まぁ、性格的に愛子先生がそれを喜んだかどうかは、分かりませんが。

客観的に見て「へー」と思っただけかもしれません。

 

愛子先生の話と並行して編集者吉川真也のことも描かれる。

今の世には化石のような人間かもしれない、仕事漬けの日々を送る吉川

すぐに大声で怒鳴るし熱くなる が一生懸命だ。

仕事仕事で家庭は寝に帰る場所だけであった吉川は、何の前触れもなく

妻から離婚届けの用紙を受け取る。

家の中からは妻も娘も犬も消え、もぬけの殻だ。

 

私たちが家庭を持った頃は、これが当たり前だった。

夫は仕事する人

私は家庭を切り盛りする人

夫に家事も子育てもほとんど手伝ってもらった記憶はない。

 

そのこと、いやそのことだけではない、自分の事をないがしろにした夫への積年の恨みを持つ妻が

何の前触れもなく熟年離婚を突き付ける。

夫の知人にもそんな人がいて

なんだか身につまされました。

 

吉川は、どう生きればよかったんでしょうか。

レビューを読んだら

吉川が娘から言われた言葉

「お父さんはうちにいても誰のことも見たことがなかった。

お母さんはね、お父さんの実家の片づけを何年もかけて一人でやったんだよ。

お母さんが、一人でこっそり泣く姿を私は何度も見たの。」

この言葉が胸に刺さった、と書いている男性が何人かいました。

 

生きるって難しいですね。

 

映画では結局、吉川の家庭は元に戻ることはありませんでした。

 

脇役も素敵な俳優さんばかりでしたが

私は特に愛子先生の娘役の真矢みきさんの演技が好きでした。

ほんわかとして素直で上品

いつも怒っている愛子先生と真逆で癒されました。

 

エンディングロールで流れる本物の愛子先生とそのご家族

そのシーンも素敵でした。

愛子先生に檄を飛ばす吉川

愛子先生は孫が二十歳になるまで、孫と一緒に色々と扮装して年賀状を作っていた。

吉川にも「あなた来年の年賀状は一緒に作る?」と提案する。

「いやです。」と断る吉川に

「つまらない男ね。」と一言

後に吉川に「どうやったらいいお爺さんになれるでしょうか?」と聞かれて

愛子先生は「いいお爺さんになんかならなくていい、面白いお爺さんになりなさい。」と言う。

これホント、私も面白いおばあさんにならなくては!

現在の佐藤愛子先生、百歳

お変わりなくてびっくり

インタビューで

「私にも分からないのよ、どうして死なないんでしょうね。」

と、おっしゃっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今日のあさイチ、「子供まだ... | トップ | お師匠とバーゲン、インナー... »
最新の画像もっと見る