〈少年の君〉は、公開当初から評判になっていた映画です。
見に行こうかと思っていたのですが、イジメが題材ということで
躊躇していたところ終わってしまいました。(日本での公開は2021年)
今回同じ監督(デレク.ツァン)の〈ソウルメイト〉が良かったので
思い切って鑑賞
すごくよかったです、なぜ映画館で見なかったんだろう、後悔しています。
(あらすじ)
進学校に通う高校3年生の少女チェン・ニェンは、
大学進学のための全国統一入学試験を控え重苦しい日々を過ごしていた。
ある日、一人の同級生が陰湿ないじめを苦に自殺し、
彼女が新たないじめの標的となる。
いじめっ子たちの嫌がらせが激しくなっていく中、
チェン・ニェンは下校途中に集団暴行を受けている少年・シャオベイと出会う。
共に孤独を抱えた彼らは次第に心を通わせていく。
(感想)
チェン.ニェンとシャオベイの純粋な恋を軸にしながら
はびこるいじめ、中国の過酷な受験戦争、ストリートチルドレン
格差社会などの社会的な視線もバランスよく盛り込まれていて
見ごたえのある映画になっています。
中国の受験ってこんなにも凄まじいの?
各生徒の机の上に積まれた参考書の山や生徒全員で叫ぶ(叫ばされる?)
「両親のために必ず通る!お世話になった先生のために必ず通る!頑張るぞ!」
と言うシュプレヒコール
先ずそれにびっくりでした。
貧しい状況を脱しようと受験勉強に励むチェン.ニェン
彼女も心にたくさんの傷を抱えています。
ふとしたことで知り合ったストリートチルドレンのシャオベイも
それは同じ。
惹かれあう二人ですが、それがもう本当にピュアでキラキラとしていて
胸が痛くなるくらいの美しさでした。
環境が過酷な中でそこだけが唯一の救いであり、
それだからこそそのシーンが余計に心に沁みこんできました。
後半は思わぬ事件にサスペンスの要素も入り込んでますます目が離せなくなります。
何とかチェン.ニェンとシャオベイの二人を救おうと奮闘する若き刑事も魅力的。
繊細なカメラワークや劇伴も美しい。
主役二人の細やかな演技にも目を見張るものがありました。
プロローグにいじめに対するコメントが流れます。
エピローグには、爽やかな主役の二人の未来の姿が。
それに疑問を投げかけるレビューもありましたが
私的には良かったです。
特にエピローグの場面はいじめを受けても過酷な環境の中で生きたとしても
未来があると思わせてくれる気持ちの良いシーンだと感じました。
監督としては検閲に通るために作ったシーンであったかもしれませんが。
おすすめです。
たくさんの方に見ていただきたい映画です。
☆☆☆☆☆
チェン.ニェン役のチョン・ドンユイ(向かって左)
シャオべイ役のジャクソン.イー(向かって右)
二人の演技が本当にいいです。
チョン・ドンユイはとにかく上手い
ジャクソン.イーの悲しみや愛を訴える瞳の演技に心を持っていかれます。
手を尽くして二人を救おうとする若き刑事チェン.イー役のイン.ファン
この刑事がいなかったら二人に明るい未来はなかった。