奈良のむし探検

奈良に引っ越しました。これまでの「廊下のむし探検」に倣って「奈良のむし探検」としましたが、動物・植物なんでも調べます。

奈良のむし探検 オオユスリカ

2021-02-15 18:49:51 | 奈良のむし探検
奈良のむし探検 第1弾


引っ越してきたマンションの廊下で大型のユスリカを見つけました(2/11)。この周辺にはため池、金魚の養魚場、用水路などがたくさんあり、近くに佐保川もあるので水が豊富で、それで発生しているのでしょう。廊下で見つけたのは、まだ、1匹だけなのですが、川に行くと嫌っというほどたくさん虫が飛び交っています。たぶん、ユスリカの仲間だろうと思いますが、今度、一度、調べてみたいと思います。





見つけたのはこんなユスリカです。大きさはたぶん1cm以上はあると思われます。「図説日本のユスリカ」の図版を見ると、外観や大きさからユスリカ亜科Chironomus属Chironomus亜属のオオユスリカではないかと思われます。このユスリカは日本最大種で体長6.0-11.5mmだとのことです。冬季、早春季に発生する個体は全身が黒色だそうです。



思い出すために上の写真から翅脈を調べてみました。翅脈の名称は上記の本にも載っていますが、「日本産水生昆虫第二版」にも載っています。この翅脈の名前の付け方については、M1+2脈とM3+4脈が分離していて、むしろM3+4脈とCuA脈が一つの翅脈から分岐しているところに違和感があります。これについては以前調べたことがありました。基本的には三枝豊平氏の考え方に依っていて、"Homology of Wing Venation of Diptera" (2006)という原稿に載っています。ユスリカの亜科によっては、M3+4脈とCuA脈の基幹部とM1+2脈を結ぶMCu脈のあるケブカユスリカ、モンユスリカ、オオヤマユスリカ、ヤマユスリカの各亜科とそれ以外のMCu脈のない亜科があります。ユスリカ亜科などではこのMCu脈が退化したものとして解釈しています。ユスリカ亜科の翅脈については以前のブログの記事に載せています。「日本産水生昆虫第二版」ではCu1脈となっていますが、ここではCuA脈と書いています。この写真でははっきりしないCuP脈に対してCuA脈と書きました。Aはanteriorの意味、Pはposteriorを意味します。



次にユスリカ亜科の特徴である前脚脛節と跗節第1節の長さ比較です。ユスリカ亜科では跗節第1節の方が長いので、生態写真で亜科を調べるときに役立ちます。


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