先日、溝にたくさんのハエがいることに気が付き、そのうち3匹を採集してきました。
溝にいたハエはこんなハエです。一目でアシナガバエだなと分かります。
網を振り回して3匹採集してきて、顕微鏡で見たものがこの写真です。頭部が折れ曲がっているのではっきりとは分かりませんが、まっすぐだとして折れ線で近似すると、体長は4.5mmとなりました。後で述べますが、翅脈が直角に折れ曲がり、再び曲がって翅縁に向かっています。こんな翅脈を持つのは、アシナガバエ亜科のDolichopus属です。この属は日本ではまだほとんど調べられていなくて、2014年に出された「日本昆虫目録第8巻」によるとわずか4種しか登録されていません。田悟氏による、「関東地方にて採集したアシナガバエ科の記録I~III」、はなあぶ No. 30-2, 34, 39 (2020~2015)にはspとして新たに10種が記載されています。「新訂原色昆虫大図鑑III」によると、Dolichopus属には世界から570種余りが記録されているようです。という状態なので、これ以上調べようがないので、「新訂原色昆虫大図鑑III」に載っているDolichopusの特徴と比較してみることにしました。
特徴をまとめてみると以下のようになります。
①体は緑色金属光沢がある
②前額及び顔面は広い
③後頭部はやや膨らむ
④触角柄節は刺毛を生じる
⑤触角第3節は先が尖る
⑥触角刺毛はほとんど裸
⑦脚はやや頑丈、中・後腿節は亜端剛毛を持つ
⑧脛節には強い剛毛を生じる
⑨後跗節第1付小節には強い剛毛を生じる
⑩翅はよく発達した腎葉を持つ
⑪M1+2脈は中央で2回彎曲したあと、R4+5脈と平行かこれに近づく
⑫腹部は太く、♂交尾器は大型、尾角葉は大きく扇状、白色で外縁が黒く多数の強い剛毛を生じる
これらを写真で見ていきます。
体は緑色金属光沢があります。
これは♀ですが、「前額及び顔面は広い」は確かに広そうです。
後頭部は単眼瘤より後ろ側ですが、特に膨らんでいるという印象はないのですが、凹んではいないようです。
触角については書かれている通りのような気がします。触角刺毛には短い毛が生えていますが、ほとんど生えていないといえばそのようです。
中・後脚腿節の亜端剛毛は赤矢印で示しましたが、確かにあります。
脛節には多数の強い剛毛があります。後脚跗節第1節には矢印で示すような剛毛があります。
翅脈はM1+2脈は途中でクランクのように曲がっています。これがDolichopus属の特徴です。よく見ると、曲がった部分に短い枝が出ています。この部分をM2脈とすることもできそうですが、次に示す別の個体での翅脈を見ると、曲がり角には両方とも枝が出ているので、何とも言えません。
また、M1+2脈とM3+4脈を結ぶm-m横脈も途中で途切れています。個体によって、翅脈はだいぶ変化があるようです。
これで一通りチェックをしたのですが、③で示した後頭部の膨らみがよく分からなかったほかはほぼ確かめることができました。たぶん、Dolichopus属であることは間違いないでしょう。ついでに、田悟氏の論文を参照に刺毛の名前も付けてみようと思ったのですが、対応がうまくいかないのがあったので、今回は挫折です。
ついでに撮った写真を載せておきます。
溝にいたハエはこんなハエです。一目でアシナガバエだなと分かります。
網を振り回して3匹採集してきて、顕微鏡で見たものがこの写真です。頭部が折れ曲がっているのではっきりとは分かりませんが、まっすぐだとして折れ線で近似すると、体長は4.5mmとなりました。後で述べますが、翅脈が直角に折れ曲がり、再び曲がって翅縁に向かっています。こんな翅脈を持つのは、アシナガバエ亜科のDolichopus属です。この属は日本ではまだほとんど調べられていなくて、2014年に出された「日本昆虫目録第8巻」によるとわずか4種しか登録されていません。田悟氏による、「関東地方にて採集したアシナガバエ科の記録I~III」、はなあぶ No. 30-2, 34, 39 (2020~2015)にはspとして新たに10種が記載されています。「新訂原色昆虫大図鑑III」によると、Dolichopus属には世界から570種余りが記録されているようです。という状態なので、これ以上調べようがないので、「新訂原色昆虫大図鑑III」に載っているDolichopusの特徴と比較してみることにしました。
特徴をまとめてみると以下のようになります。
①体は緑色金属光沢がある
②前額及び顔面は広い
③後頭部はやや膨らむ
④触角柄節は刺毛を生じる
⑤触角第3節は先が尖る
⑥触角刺毛はほとんど裸
⑦脚はやや頑丈、中・後腿節は亜端剛毛を持つ
⑧脛節には強い剛毛を生じる
⑨後跗節第1付小節には強い剛毛を生じる
⑩翅はよく発達した腎葉を持つ
⑪M1+2脈は中央で2回彎曲したあと、R4+5脈と平行かこれに近づく
⑫腹部は太く、♂交尾器は大型、尾角葉は大きく扇状、白色で外縁が黒く多数の強い剛毛を生じる
これらを写真で見ていきます。
体は緑色金属光沢があります。
これは♀ですが、「前額及び顔面は広い」は確かに広そうです。
後頭部は単眼瘤より後ろ側ですが、特に膨らんでいるという印象はないのですが、凹んではいないようです。
触角については書かれている通りのような気がします。触角刺毛には短い毛が生えていますが、ほとんど生えていないといえばそのようです。
中・後脚腿節の亜端剛毛は赤矢印で示しましたが、確かにあります。
脛節には多数の強い剛毛があります。後脚跗節第1節には矢印で示すような剛毛があります。
翅脈はM1+2脈は途中でクランクのように曲がっています。これがDolichopus属の特徴です。よく見ると、曲がった部分に短い枝が出ています。この部分をM2脈とすることもできそうですが、次に示す別の個体での翅脈を見ると、曲がり角には両方とも枝が出ているので、何とも言えません。
また、M1+2脈とM3+4脈を結ぶm-m横脈も途中で途切れています。個体によって、翅脈はだいぶ変化があるようです。
これで一通りチェックをしたのですが、③で示した後頭部の膨らみがよく分からなかったほかはほぼ確かめることができました。たぶん、Dolichopus属であることは間違いないでしょう。ついでに、田悟氏の論文を参照に刺毛の名前も付けてみようと思ったのですが、対応がうまくいかないのがあったので、今回は挫折です。
ついでに撮った写真を載せておきます。
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