奈良のむし探検

奈良に引っ越しました。これまでの「廊下のむし探検」に倣って「奈良のむし探検」としましたが、動物・植物なんでも調べます。

早朝の散歩 コフキトンボ、イヌムギなど

2022-05-31 20:26:34 | 奈良散策
奈良散策 第462弾


5月25日早朝にいつものように散歩に出かけました。でも、しばらくしてカメラの予備電池を忘れたことに気が付きました。案の定、途中で電池切れ。やむなく引き返しました。従って、写真はちょっとです。







コフキトンボです。若い雄たちのようです。金魚池周辺はコフキトンボが支配的で、シオカラトンボは用水路や金魚池から離れたところに追いやられています。



田植え前に水を張った田んぼには小さなカブトエビが泳ぎ始めていました。





これはイヌムギの仲間です。この仲間にはイヌムギ Bromus catharticusとヤクナガイヌムギ B. carinatusという種があります。さらに、「野に咲く花」を見ると、イヌムギが載っていなくて、ノゲイヌムギ B. sitchensisという種だけが載っています。「日本帰化植物写真図鑑第2巻」をみると、前2者だけが載っています。もともとイヌムギは閉鎖花で、葯が外に出た開花型がヤクナガイヌムギだと区別されていたのですが、その後、イヌムギにも開花型あることが分かったそうです。「帰化&外来植物950種」を見ると、ヤクナガイヌムギにそっくりなノゲイヌムギがあって、葉の幅が4mm以下がノゲイヌムギだと書かれています。ところで、「図説植物検索ハンドブック」によると、イヌムギとヤクナガイヌムギの違いは、①内頴が護頴の長さの1/2~1/3だとイヌムギ、3/4以上だとヤクナガイヌムギ、②護頴の芒が1~2mmだとイヌムギ、2~12mmだとヤクナガイヌムギ、③閉鎖花のみで葯が0.5mmなのがイヌムギ、開花期の葯が4~5mmなのはヤクナガイヌムギだそうです。



そこで、調べてみました。内頴は護頴の55%、護頴の芒は1.8mmでした。内頴の内部に小さな葯がありました。ということで、これはイヌムギで間違いなさそうです。





これはヤナギハナガサ



この辺り、ヘビの姿をほとんど見かけないのですが(1年間で2匹だけ)、脱皮殻がありました。やはりいることはいるようです。





水を抜いた金魚池についた亀の足跡です。

虫を調べる セグロカブラハバチ

2022-05-31 15:51:11 | 虫を調べる
4月6日、大和郡山市西部にある松尾寺に行ったときに見つけたハバチについて、翅脈、触角、顔面の写真をブログに出して、セグロカブラハバチではないかと書きました。実は、このときもう少しいろいろな顕微鏡写真を撮っていたのですが、コロナの勉強が忙しくて放りっぱなしになっていました。コロナの勉強もとりあえず終わったので、ここで検索の記録としてまとめておきたいと思います。



松尾寺で見たのはこんなハバチです。



体長は6.2mm。上から見ると黒っぽいのですが、横から見ると、こんな橙色をしています。

検索表にはいつも用いている、吉田浩史著、「大阪府のハバチ・キバチ類」(西日本ハチ研究会、2006)を用いました。まずは科の検索から。ハバチの仲間は腰が細くならない広腰亜目に入っています。この中には11科含まれているのですが、それから科を決める検索を行います。

①触角は複眼下縁よりも上、頭盾の上の顔面より生じる
②触角の形状は様々だが、第3節は第4節以降と同等の太さで、特に発達することはない
③触角は通常糸状か棍棒状
④触角は通常糸状
⑤前胸背板は短く、中央部で狭くなる
⑥頭盾は頭部と明らかに分離される
⑦中胸背板は分割されない
⑧雌の産卵管鞘は棒状に後方に伸長しない;雄の腹部末端に後方に伸びる明瞭な突起はない ハバチ科 Tenthredinidae

検索の結果、予想通りハバチ科に含まれていることが分かりました。そこに至る検索項目を書き出すと、この8項目になります。これを写真で確かめていこうと思います。煩雑さを防ぐために、いつもの通り、検索順ではなく、部位別に見ていきたいと思います。



最初は①の項目で、触角の位置に関するものです。触角が複眼の下縁より下から出ているかどうかで、これはヤドリキバチ科を除外する項目です。写真ですぐに分かりますが、下縁より上なので、①はOKです。次の⑥は頭盾と頭部がはっきりと分かれているかどうかで、頭盾と頭部が融合しているヒラタハバチ科を除外する項目です。これもOKです。



次は触角に関するものです。②では第3節が特に太くなっていないことを確かめます。これはナギナタハバチ、ヨフシハバチ、ミフシハバチの各科を除外する項目です。特に太くなったり発達していることはないので、これもOKです。③と④は触角が糸状かどうか確かめる項目で、櫛歯状のクシヒゲハバチや先端が棍棒状に太くなるコンボウハバチ科を除外する項目です。これもOKです。



これは背側から撮った写真ですが、ちょっと斜めになって見にくくなりました。実は、同じハバチだと思われる個体は4年前にも検索をしていて、ブログに出していました。そのときの方が綺麗な写真が撮れていたので、そちらを参照していただければよく分かるのではないかと思います。⑤の前胸背板は側方では辛うじて見えるのですが、中央部は頭に隠れてほとんど見えません。これは前胸背板が長く伸長するクキバチ科を除外する項目なので、問題ないと思います。⑦は中胸背板の中央部に横溝が入り前後に分割されるクビナガキバチ科を除外する項目です。特に横溝は見えないので、OKでしょう。



最後は⑧です。これは♂だと思われますが、腹部末端に突起はありません。これはキバチ科を除外する項目です。ということで、無事にハバチ科に達しました。次は亜科、属、種の検索をまとめてやっちゃいます。

⑨前翅の基脈と肘脈は亜前縁脈上のほぼ一点で接する。離れる場合、その間隔は第1肘横脈よりも短い
⑩前翅肘脈基部は直線状か、わずかに曲線となる程度
⑪前翅の径横脈を持ち、前翅第1・2反上脈は別の肘室につながる
⑫前翅の基脈は直線的で第1反上脈とほぼ平行
⑬前翅肛室は完全で横脈を持つ ハグロハバチ亜科 Allantinae
⑭触角は10または11節 カブラハバチ属 Athalia
⑮小盾板は黒色;中胸背板は通常広く黒色。時に両側や前半が橙黄色となることもある セグロカブラハバチ A. infumata

検索の結果、ハグロハバチ亜科カブラハバチ属セグロカブラハバチになったので、その検索過程を見ていきます。



実は、亜科の検索は翅脈に関するものばかりです。従って、これ1枚で亜科の検索はすべて片付きます。ハチの翅脈と翅室の名称は独特な用語を用いるので、検索表に従って、その名称で名前を書いておきます。後で、一般的な翅脈の名称を載せておきます。なお、翅脈の名称は「新訂 原色昆虫大図鑑III」によっています。まず、⑨で、基脈と翅脈が交わるあたりを黄矢印で示しました。ハバチ科の検索ではここがもっとも重要で、また、悩ましい所でもあります。これについては以前も書いたことがあるので、そちらを参照してください。いずれにしても、この写真の個体は1点で交わっているので⑨は問題ありません。次の⑩は肘脈基部が強く曲がるシダハバチ亜科を除く項目で、これもOKです。⑪は径横脈を持たないか、反上脈が同じ肘室につながるヒゲナガハバチ亜科を除外する項目です。これもOKです。⑫は基脈が曲がるか、第1反上脈と平行でないシダハバチ亜科の一部やヒゲナガハバチ亜科の一部、ハムグリハバチ亜科を除外する項目です。これもよいでしょう。最後の⑬は肛室が不完全で閉じていないマルハバチ亜科を除外する項目です。これもOKなので、結局、ハグロハバチ亜科になりました。



カブラハバチ亜科の中でカブラハバチ属の触角は10または11節なので、一発でカブラハバチ属になりました。



最後は小盾板や中胸背板が黒いことで、これも一発でセグロカブラハバチになりました。ついでなので、「日本産ハバチ・キバチ類図鑑」の図を見ながら、各部の名称を入れておきました。ということで、ハバチの検索をまとめてみました。実は、3月以降、虫や植物の細部の写真を撮ってはいたのですが、まとめるが面倒で、そのままになっていました。これから少しずつまとめていこうと思います。



次いでにハチ以外で一般的な翅脈の名称を書いておきます。これが前翅です。



そして、こちらが後翅です。

早朝の散歩 猫、カワセミほか

2022-05-30 20:30:53 | 奈良散策
奈良散策 第461弾


5月24日早朝の散歩のときに撮った写真です。最近は鳥が少なくなり、猫の写真が増えてきたような気がします。それでも、この日はカワセミが間近で撮れたのが収穫でした。





クリの木に花が咲き始めました。山の近くだとアカシジミやらヒョウモン類、ハチ、ハナムグリなど虫がいっぱい集まるころなのですが、ここではまったく虫の姿が見られません。





近くのヨシ原でオオヨシキリがうるさく鳴いていました。



水を張った田んぼにたくさん生えている植物です。たぶん、オオアブノメだろうと思っているのですが、花が咲き始めていました。



これはコバンソウ



いつものため池に住んでいる猫です。



これは民家の塀にいた猫です。これも時々見ます。





オオヨシキリが電線に止まって鳴いていました。初めのころはヨシ原の中で鳴いていることが多いのですが、最近は木のてっぺんとか、電線とか、目立つところで鳴いている姿をよく見かけます。







と、そのヨシ原から猫が出てきました。この辺りを住処にしている猫です。



これはまた、オオヨシキリ







用水路に沿って歩いていたら、ちょっと離れたところにカワセミが止まっていました。





この日はこのまましばらく見ていたら、用水路の近くに止まりました。









もう少しそのまま見ていたら、用水路の中にあるコンクリートの柱に止まりました。距離が近かったので、バッチリ撮れました。しきりに下を見ているので、用水路にいる魚を狙っているようです。飛び込む瞬間を撮ろうと身構えていたのですが、そのうち飛び去ってしまいました。





カワセミが飛び去った後、先ほどの猫が顔を出しました。うろうろしているようです。





金魚池の縁にウシガエルがいました。







ヒバリも電線に止まって鳴いています。そろそろ散歩も終わりにして家に戻ることにしました。





ガマの花が咲き始めていました。



羽化したてのイトトンボです。肩黒条中に淡色線があるので、ムスジイトトンボかもしれません。



最後は用水路に生えていた藻なのですが、名前が分かりません。(追記2022/05/31:uni2さんから、「用水路に生えていた藻、エビモに似てます。」というコメントをいただきました。昨年も見ていたのに、すっかり忘れてしまっていました。どうも有難うございました

春日山遊歩道の散策

2022-05-29 20:37:55 | 奈良散策
奈良散策 第460弾


5月19日に春日山遊歩道に行ったときの写真を出すのを忘れていました。この日はほとんど写真を撮らなかったので、どうしようかと思っているうちに日にちが経ってしまいました。





春日山遊歩道はだいぶ前にシダを探しに行ったことがあるのですが、奈良に来てからはまだ行っていませんでした。5月となると渡りの鳥がきているかもしれないと思って、偵察を兼ねて行ってみました。入り口近くにある駐車場に車を止め、しばらく歩くと入り口に着きました。



中はこんないい道が続いています。ただ、キビタキっぽい鳥は鳴いているのですが、木が高くて姿はまったく見えません。これは駄目だなと思いながら歩いていきました。



しばらく歩いていたら、なぜか猫がいました。



と、その近くにはなぜか交番が。閉まっていましたが。



これは交番のトイレです。エコバイオトイレだそうです。



案内板を見ると、入り口からここまでは300m。遊歩道全体では10kmほどあるようです。この日は偵察なので、もう少し行ってから引き返そうと思いました。不思議とここまでまったく人に出会えません。ちょっと寂しい感じでした。



途中で見つけたムラサキシジミです。この日の収穫はこれだけかな。







前日、霊山寺でみつけた漏斗がつながっているようなものがまた見られました。この時は何だか分からなかったので、少し詳しく撮っておきました。後で、調べてみると、これはカシナガトラップのようです。下にエタノールとかフェロモンを入れておき、被害木の近くにある健全木に仕掛けておくと、カシナガキクイムシが臭いに惹かれて、この漏斗の中に入ってしまうようです。



最後は道の横を流れる小川に来ていたヒヨドリです。ヒヨドリですらこんな写真しか撮れません。とにかく薄暗くてとても写真はうまく撮れそうにありません。今度来た時にはシダかコケ探しか、遊歩道のハイキングかのどちらかがよさそうです。この日は1時間ほどの散歩でした。行きは単独行の2人、帰りは2団体に出会えました。

雑談)今日はWordで索引をつくる練習をしました。EXCELで索引に用いる用語のリストを作っておき、索引に必要なフォーマットに変換してから、Wordで作った表の中に入れて別ファイルに保存しておきます。索引をつくるファイルをWordで開いて、自動索引登録という機能で一気に索引を作ります。何度か試行錯誤をして、やっとまともな索引が作れるようになりました。

松尾寺のバラ園

2022-05-28 20:25:41 | 神社・寺・古墳など
奈良散策 第459弾


5月23日に家族と松尾寺に行ったときに撮った写真の続きです。松尾寺ではバラ園が公開されているので見に行きました。ついでにもお寺の周りの植物も撮りました。



本坊の横の狭い隙間を抜けると、そこにバラ園がありました。











この間行った霊山寺のような華やかさはないのですが、お寺の建物とマッチした落ち着いた感じのするバラ園でした。









松尾寺のバラ園の公開は明日(29日)までです。



これは三重塔です。階段が長いので、この日はパス。



その登り口にあった石像。





出口に向かう途中で法隆寺まで続く道がありました。そちらに降りていく途中でシャクナゲが咲いていました。



この白い花もシャクナゲかなぁ。







この道にも門がありました。南惣門というそうです。このままずっと歩いていくと法隆寺まで行けるのでしょうけど、この日はここまで。







その近くに生えていたシダです。これはたぶん、イヌシダ





こっちがはっきりしないのですが、ヤマイヌワラビ辺りではないかと思います。