奈良のむし探検

奈良に引っ越しました。これまでの「廊下のむし探検」に倣って「奈良のむし探検」としましたが、動物・植物なんでも調べます。

早朝の散歩 ツバメ、ハンゲショウ

2024-05-31 20:05:23 | 奈良散策
奈良散策 第1172弾


5月24日早朝の散歩のときに撮った写真です。





草むらの間から黄色い花が顔をのぞかせていました。コモチマンネングサのようです。







ここは例年ハンゲショウの花が咲くところです。花が咲く前は普通の葉っぱですね。



コフキトンボがいました。





これはシチヘンゲ。ランタナともいいます。綺麗な花ですが、世界の侵略的外来種ワースト100に指定されています。



これはコガネグモ



民家の横でコバンソウが密生していました。





金魚池の縁に黒ブチ猫がいました。顔を見ると、いつもの「ヒゲ」でした。



これはダイサギ



アオサギ



それにケリです。





電線にツバメが止まっていました。幼鳥のようです。



畑のぬかるみを歩きにくそうにバンが動いていました。





これはカルガモ。最初、そっぽを向いていたのですが、そのうち方向を合わせました。



道を歩いていると、ケリがうるさく鳴きます。構わず歩いていると、今度は近くを飛び回って威嚇します。



巣作りなのでしょう。ツバメが枯草をくわえていました。





葉の端が重なるようになっているので、オオチドメでしょうか。



これはヤナギハナガサ。綺麗な花なのですが、時として、2mほどの高さになります。



休耕田がヒエガエリだらけでした。









カキノキに花がついていました。明日からは6月。時間が驚くほどの速さで進んでいきます。

ウキクサを調べてみた

2024-05-31 16:25:50 | 植物を調べる
この間から、金魚池や用水路で見られるウキクサが気になっていました。大きさから何種類かあるようです。いろいろと調べた結果、ウキクサ、アオウキクサ属、ミジンコウキクサの最低3種はありそうなのですが、アオウキクサ属は種名が分かりませんでした。それで調べてみることにしました。





5月29日に瓶を持って、家の近くの用水路にウキクサを採取に行きました。ちょうど、雨が降った翌日だったので、だいぶ流れてしまっていたのですが、水が溜まっているところに集まっていました。これは採取したときの写真です。上の写真の左側にやや大きなウキクサが見えますが、これがいわゆるウキクサです。今日はその周囲のやや小さなウキクサが対象です。

ウキクサを調べるために、とりあえず検索表を見てみました。まずは、平凡社の「日本の野生植物Ⅰ」に載っている検索表です。

1a 植物体には根がない;出芽嚢は1個で花序をつけず、花序は酔う状態の表面中央に生じ、雄花1個、雌花1個からなり、苞がない  ミジンコウキクサ亜科ミジンコウキクサ属
1b 植物体には根がある;出芽嚢は酔う状態の基部両側に2個あり、花序はその1個から生じ、雄花2個、雌花1個からなり、膜質の苞に包まれる   ウキクサ亜科
 2a 根は3~多数本;葉状体は3~15脈あり、裏面は帯紫色   ウキクサ属
 2b 根は1本;葉状体は1~3脈あり、裏面は普通淡緑色   アオウキクサ属
  3a 葉状体は花期を除いて水中にあり、卵状長楕円形、縁に微小な鋸歯がある;出芽嚢はやや背面に開口する   ヒンジモ
  3b 葉状体は水面に浮かび、円形~楕円形または倒卵形で全縁;出芽嚢は葉状体の縁で開口する
   4a 根の基部を取り巻く鞘には翼がある;根冠は鋭頭   アオウキクサ
   4b 根の鞘には翼はない;根冠は鈍頭
     5a 葉状体は左右相称で円形~広卵形、3脈がある   コウキクサ
     5b 葉状体は左右不相称で広卵形、5脈がある   イボウキクサ
     5c 葉状体は左右相称で、1脈がある   ヒナウキクサ

この検索表に従って、調べていくとにします。検索表の1と2は根の数を見ることになっています。根がないと、ミジンコウキクサ属、根があって3から多数だとウキクサ属、1本だとアオウキクサ属になります。



採取したウキクサの一つを取ってスケールの横に置いてみました。間違いなく、根は1本です。ということで、アオウキクサ属であることが確かめられました。検索表の3は葉状体(ウキクサ本体)が水中か水面かを聞いているので、間違いなく水面です。



検索表には根のほかに葉脈の数について書かれているので、透過光のもとで写真を撮ってみました。ところが、葉脈が見当たりません。ほとんど分からないのですが、辛うじて筋状に見えるところに矢印を付けてみたのがこの写真です。これから、葉脈は1本か、せいぜい2-3本かで、10本以上もあることはまずありえません。



葉状体をさらに拡大してみました。細胞が見えるほかに少し大きな網目模様がありました。

検索表4から先は、平凡社の検索表ではどうもはっきりしません。それで、「図説植物検索ハンドブック」の検索表も見ることにしました。

  3b 根は1本、葉状体の裏は淡緑色または淡紫色
   4a 根冠は鋭頭;葉状体の裏は淡緑色;根の鞘に翼あり;葉脈3脈 アオウキクサ
   4b 根冠は鈍頭;葉状体の裏は淡緑色または紫色がかる;根の鞘に翼なし;葉脈不明瞭
    5a 葉状体は円形から広卵形;葉脈は不明ながら3脈 コウキクサ
    5b 葉状体は長楕円形;葉脈は不明ながら1脈 ヒナウキクサ

平凡社の検索表に合わせて、番号をつけた検索表がこれです。ここから先はこちらの検索表を見ていくことにします。4ではまず根冠の先端を見ることになっています。



ウキクサの根の先端部分を見てみると、カバーがついているような部分があります。これがたぶん、根冠です。



その先端を実体顕微鏡で拡大してみました。先端は間違いなく鈍頭です。これでアオウキクサでないことは分かりました。



ついでに久しぶりに実体顕微鏡で深度合成もしてみました。大して変わらない写真が得られました。



さらに、生物顕微鏡で先端を撮ってみました。これも深度合成した結果です。ちょっとぎざぎざしていますが、鈍頭であることは確かそうです。



これは根冠の入り口付近の写真です。



検索表4には根の鞘に翼があるかどうかという項目もあります。根の鞘がどれなのかよく分かりませんでした。それで、文献を少し調べてみました。次の論文に電顕写真が載っていました。葉状体から根が出る部分にある鞘を指すようです。この写真はウキクサをひっくり返した写真です。根が見えますが、どれが鞘かよく分かりません。

吉田明希子、「ウキクサの繁殖メカニズムとその農学的応用」、植物科学最前線 14, 87-99 (2023).



それで、少し横から撮ってみました。これでも分かりません。ただ、写真を見ると、ウキクサが二つくっついていて、一つは根が伸びているのですが、もう一つはまだ少ししか伸びていないことが分かります。





それで、今度は生物顕微鏡に対物レンズ10倍を取り付けて深度合成で撮ってみました。やっと根の基部に鞘のようなものが見えることが分かりました。これに翼があるかどうかは分かりませんが、根冠が鈍頭なので、たぶん、翼はないのでしょう。

次の検索表5を見ると、その先は葉脈がはっきりしないと、結局、葉の形で判断するしかありません。ヒナウキクサの葉状体は長楕円形、コウキクサは円形から広卵形なので、おそらくコウキクサの方だろうと思われます。さらに調べるために、図書館で本を借りてきました。角野康郎著、「日本の水草」(文一総合出版、2014)です。この本には検索表が出ていないのですが、説明が載っているのでヒナウキクサとコウキクサの項を見てみました。

コウキクサ
 葉状体は広楕円形でやや厚みがあり、葉脈(3脈)は不明瞭。長さ3~4.5mm、幅2~3.5mm。表面は明るい黄緑色だが、日陰では緑色が濃くなる。根は長さ3~8cm、根鞘基部に翼はなく、根端は鈍頭。開花は稀;冬は葉状体のまま越す。

ヒナウキクサ
 葉状体は卵形~長楕円形で膨らみはなく葉脈は1本、長さ1.5~2mm、幅1~2mm。脈上に1~3個の目立たない突起が認められる。根の先端は細くなるがとがらない。冬は葉状体のまま越す。



この本には葉状体の形のほか、大きさが出ています。それで、実際に測ってみました。測った葉状体は長さ3.6 mm、幅2.5 mm、根の長さは3.2 cmでした。寸法から見る限りはやはりコウキクサがあっているようです。この本にはそのほか、アオウキクサ属として、ホクリクアオウキクサというアオウキクサの亜種、ナンゴクアオウキクサ、ムラサキコウキクサ、キタグニコウキクサ、イボウキクサ、チリウキクサが載っていますが、いずれもちょっと違うようです。やはりコウキクサでよいのではと思っています。

早朝の散歩 カシワバアジサイ、ウグイス

2024-05-30 20:06:07 | 奈良散策
奈良散策 第1171弾


5月22日早朝の散歩のときに撮った写真です。



出かけるときに幼虫を見つけました。見たことのない幼虫です。Googleレンズで調べてみたら、「この画像に対して検索結果がありません」だそうです。(追記2024/05/31:akaitoriさんから、「一枚目の幼虫は蛹化前のシマケンモンに一票」というコメントをいただきました。コメント、どうも有難うございました。画像検索をすると、確かに似ている写真がありますね。幼虫は調べる手段がなかなかなくって・・・。これからもよろしくお願いします



クリの花が咲き始めました。







放りっぱなしの畑にアレチギシギシがいっぱい生えていました。





ドクダミも花がいっぱいです。



金魚池にミズハコベが生えていました。





民家の庭でカシワバアジサイが咲き始めていました。



「猫広場」にいた黒猫です。





この猫も塀の上に乗っていました。





ムクドリの若鳥かな。



これはアルストロメリア







高い木のない草原で珍しくウグイスが鳴いていました。いつもはどこで鳴いているのか探すのが大変なのですが、この日は簡単に見つかりました。



ウシガエル





これはネズミムギ





準絶滅危惧種のイチョウウキゴケです。昨年はまったく生えていなかったのですが、今年はこんなにいっぱい。



最後はジャンボタニシの卵です。

松阪・伊勢・鳥羽旅行3 松坂城、歴史民俗資料館

2024-05-29 20:29:51 | ちょっと足を伸ばして
5月9日から11日まで、三重県の松阪、伊勢、鳥羽に旅行しました。5月9日は松阪駅で降りて、本居宣長記念館に行った後、松坂城に行きました。





本居宣長旧宅を過ぎると、すぐに松坂城天守閣のあった本丸に行くことができます。



上に登ってみると、だだっぴろい広場になっていました。



その広場の片隅に本丸跡がありました。松坂城は1588年に蒲生氏郷が築城したのですが、3年後に陸奥黒川に移封されてしまいます。その後、服部一忠、古田重勝と城主が変わりました。1619年に徳川頼宜が和歌山藩主になると、紀伊国と伊勢国を合わせて55万石を治めるようになり、松坂城には城代が置かれました。その25年後に台風により天守閣が倒壊したとのことです。その後、明治時代になると廃城になり、二の丸御殿が焼失した後、1881年からは松坂公園となっているそうです。



片隅にあったのですが、これは何でしょうね。





カナメモチの花が咲いていました。



降りる途中で撮った写真です。お城は結構高い場所にあるので、見晴らしがいいです。





その先に歴史民俗資料館がありました。ここはもともと明治45年に建った飯南郡図書館の建物でしたが、昭和52年からは資料館になっているそうです。



こちらは玄関。





入り口の横には鬼瓦がいっぱい置かれていました。





建物に入ったところに受付があり、その奥は薬種商の店が再現されていました。



内部の様子です。





この辺りは小説家の梶井基次郎の展示になっていました。





初午大祭のときに売られていたという「ねじりおこし」は浅草の雷おこしのもとになったようです。



展示場をぐるっと見て回りました。



蒲生氏郷所用と伝わる銀鯰尾形兜です。



蒲生氏郷の展示です。



そして、松坂城復元ジオラマでした。





二階は映画監督の小津安二郎の展示になっていました。



歴史民俗資料館を出て歩いていたら、マンホールのふたが鈴の模様になっていました。

早朝の散歩 カルガモの親子

2024-05-28 21:04:43 | 奈良散策
奈良散策 第1170弾


5月21日早朝の散歩のときに撮った写真です。この日は、行きに佐保川土手を下流側に歩き、帰りは昔の「下つ道」を歩いてみました。









朝6時半ごろだったのですが、佐保川土手にはモンシロチョウがいっぱい止まっていました。









対岸にあったセンダンです。花がいっぱいでした。





特定外来生物のオオキンケイギクもいっぱいです。





対岸にマンネングサがこんな塊になって咲いていました。おそらく、コモチマンネングサだと思うのですが、よくは分かりません。



しばらく歩いていたのですが、とにかくモンシロチョウがいっぱいいます。







土手の上からちょっと見下ろすような形になったのですが、ヨシ原でオオヨシキリが盛んに鳴いていました。





この辺りから下つ道を歩くことにしました。道端にオオキンケイギクが咲いていました。こんなところにも生えているのだなぁと思っていたら、





道沿いはオオキンケイギクだらけでした。



これはブタクサです。(追記2024/05/31:バードウォッチャーさんから、「黄色い花はブタクサではなくブタナでは?」というコメントをいただきました。ほんとですね。ちょっと恥ずかしい。早速、直しておきます。どうも有難うございました



遠くの方に猫が見えました。





近づくと、ちょっと怖い顔をしてこちらを睨んでいます。二毛猫あるいは三毛猫の薄色型のようです。以前、猫の毛色について勉強したことがありました[1-4]。そのときのことを少し思い出してみると、色素細胞内でメラニンが作られるメラノソームを細胞の端まで運ぶメラノフィリンをコードするD遺伝子に欠陥がありメラノフィリンが合成されなくなると薄色になります[3]。また、雌の二本のX染色体の片方に茶色にする優性のO遺伝子があり、もう一方に劣性のo遺伝子がある場合にニ毛猫ができあがります。これに、ブチをつくるwsという遺伝子が働くと三毛猫になります[4]。X染色体には多くの遺伝子があるのに対し、Y染色体にはほとんど遺伝子がないので、ここままだと雌は雄の2倍のタンパク質が合成されてしまいます。それを防ぐために卵割で20個ほどに分裂したときに、X染色体の片方を凝縮させます。これをX染色体不活性化といいます。どちらのX染色体が凝縮するかはまったくランダムに起きて、そのまま分裂が進んでいくので、体全体が20か所に分かれてまだらになってしまうという話でした[2]。

[1] 浅羽宏、「ネコもよう図鑑」(化学同人、2019)。
[2] 仁川純一、「ネコと遺伝学」(コロナ社、2003)。
[3] 仁川純一、「ネコの分子遺伝学」(コロナ社、2013)。
[4] V. A. David et al., “Endogenous Retrovirus Insertion in the KIT Oncogene Determines White and White spotting in Domestic Cats”, G3 (Bethesda) 4, 1881 (2014).





変わった花が咲いているなと思って撮りました。帰ってから、Googleレンズで調べると、ジャーマン・カモミールがよく似ています。





でも、見渡してみると、一面、この花でいっぱいでした。



用水路にカルガモが子ガモを連れているところに出会いました。







遠くから撮っていたのですが、こちらに気が付いたようです。あまり邪魔しないように通り過ぎました。



これはキタテハ



また、ウキクサを撮りました。大きな葉がウキクサ、小さな葉がコウキクサ属です。採取して根っこの先を見ると、種類が分かるのですが、まだ調べていません。