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本流とも言うべきMCUがいよいよ『マーベルズ』で底を打ち、続いてソニーからリリースされたマーベル映画『マダム・ウェブ』も批評、興行共に大惨敗である。まるでここ15年間にMCUも『ダークナイト』3部作も存在しなかったかのような本作は、続編展開することなく消えていった2000年代初頭までのアメコミ映画群を思わせるが、積極的にマルチバースやユニバースに加担しないソニーは、半ばこのレベルの娯楽映画を狙って作っている節もある。
S・J・クラークソン監督はダコタ・ジョンソンに間抜けなスーパーヒーロースーツを着せることなく、予知能力に目覚めたヒロインが3人の少女を救おうとするスリラー映画として、一定の緊張感を得ることには成功している。少女たちを付け狙う謎の男(フランスの演技派タハール・ラヒム。無駄遣いではあるが、少なくとも『マーベルズ』のようなカリスマ不足には陥っていない)もまた予知能力を持ち、将来スーパーヒーローへと成長する少女たちに倒される様を幻視しているのだ。シドニー・スウィーニーら3人娘が合流してから一向にアンサンブルが弾まないのは致命的で、映画にはユーモアが決定的に不足している。ダコタ・ジョンソンは奮闘しているものの、コメディがまるで似合わないのだ。
一方、現在グレン・パウエルと共演したラブコメ映画『Anyone But You』がメガヒットに発展し、来月には主演ホラー『Immaculate』が待機中と絶好調のシドニー・スウィーニーは眼鏡っ娘優等生キャラがコスプレにしか見えないのは御愛嬌。それこそが旬のスターの隠しきれないチャームであり、ビリング2番手の彼女は現在の興行的ポテンシャルではジョンソンより上と言っていいだろう。他、3人娘の1人イザベラ・メルセドは『THE LAST OF US』シーズン2のメインキャストに決まっており、新進スターを覚えておくには丁度いいポップコーンムービーに仕上がっている。
『マダム・ウェブ』24・米
監督 S・J・クラークソン
出演 ダコタ・ジョンソン、シドニー・スウィーニー、セレステ・オコナー、イザベラ・メルセド、タハール・ラヒム、アダム・スコット、エマ・ロバーツ、マイク・エップス
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