空から落ちて来た鉄の箱の中より小さき者達が島にやってきた。
私は彼らの中で目覚めた。
はじめそれは小さなものだった。
ほら貝の音で集まり、私は形を変えて大きくなった。
大人はいない。
自由で楽しい世界。
彼らは私の存在に気付きながら、誰も私を見ようとはしない。
それを知る事は恐ろしい事であり、楽しい生活の終わりでもあるからだ。
豚の頭に私を見た少年は、他の少年たちにそれを知らせようとして死んだ。
最初から私を見ていた太った少年も、彼らにとっては自分の中に私を見つけるきっかけとなる存在であるがために、岩にはじかれ頭を割って死んだ。
あとは昔の生活(文明)を思い出させようとする少年が死ねば、私は最高の形で少年たちの前に姿を現す事ができる。
大人の到来は私の存在を彼らの中から隠した。
私は小さく縮み、少年たちの腹の中に隠れる。
だが、消えてなくなったわけではない。
私は誰の中にもいるのだ・・・
飛行機事故が起きて生き残ったのは子供だけなんだ。
女の子はいなかった。みんな死んじゃったのかな。
いたって邪魔なだけだけどね。
小さい子達はじっとしていないから人数も数えられない。
きれいな海とたっぷりの果物。ぼくたちを叱る大人はいない。
でも、いつかはぼくたちは家に帰らなくちゃいけない。
だから烽火を上げ続けて救援を待つんだ。
海で泳ぎ、騒ぎ、探検ごっこに明け暮れるのは楽しい。
烽火を上げるのは面倒な労働だ。
豚もいる。狩は興奮した楽しい。その後のダンスも最高だ。
獣はいろいろと姿を変えてやってくる。
だから豚の頭を供えた。
でも、獣はサイモンの姿でやってきたんだ。
サイモンだなんて誰も気付かない動きをしながら。
死体がサイモンだなんて認めない。
あれは獣が姿を隠しているんだ。
ぼくたちの楽しい生活を否定する奴らは邪魔だ。
だから、ピギーが断崖から落ちて頭を割ったって、それはピギーがうるさいからだ。
ラーフだってもう隊長なんて認めない。
ラーフを借り出せ!
楽しい生活を守るんだ!
火を放て、追い込め!
(火が島中に廻り果物と動物(豚)たちの食べ物を焼き尽くす。興奮した思慮の無い子供は、明日からの食べ物を考えもしない。でも、それは烽火となり、大人(海軍)の船を招き入れた)
ぼくたちは、タダ、怖かっただけなんだ。
お行儀良くしているだけじゃ我慢できなかった。
ぼくが野蛮なんじゃない。
そうしなけりゃ弱くなって、生きていけなかったんだ。
そうさ、ぼくの所為じゃない。