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2018年06月09日(土) NHKニュース7
「空白の叫び 上下」貫井徳郎 2006小学館
『文藝ポスト』2001年春号~2006年冬号、加筆
おおっ、期待以上に読めた。
相続税の扱いと銀行強盗は気になったけど。
神原(ぼく)よ、お前にはおばあちゃんからの相続はないはずだぞ。叔母ちゃんが男に貢いだ金はお前のもんじゃないし。お母ちゃんに入ったはずの遺留分も、殺人による相続はないぞ。おばあちゃんの遺書に神原(ぼく)宛ての分配があったんだっけ?
あと作品の中では展開がなかったが、この穴だらけの銀行強盗はうまくいったようですぐに足がつくよね。みんな捕まるのは時間の問題だった。そこらへんがやっぱり若さ(幼さ)だなぁ。いくら葛城が頭よくてもね。
久藤から始まるのは一番普通の分かりやすいやつだからだな。いじめられっ子の逆転不良とその地位確保への威嚇。そしてまとわりつく女教師を勢いで殺すだろ、で少年院での執拗ないじめは被害者家族からの復讐だったと。院を出てからの嫌がらせもその続きだと。でさ、被害者の話を聞いて銀行強盗を自首するんだけど、そこは違うだろ。そこがすごい普通。被害者家族(女教師の父親)は久藤に悪党であってほしいんだから、この父親も殺してやればいいのに。それが相手の望みだが、結局久藤は罪の償いよりも矯正を選んだわけだ。あ~あ、繰り返しになるだけだな。
葛城はサイコパスだな。で、その父親の女癖が複雑な人間関係を作ってこの結果を生む。なるほど、異母兄弟とか養育費、その関係の裏切り。理不尽だと思われた父親の行動の理由が解かれていく。そしてそれが異母兄弟を殺すことになるとは。とは。とほほ。だが後悔も反省もない。それだけ疎ましい存在だったのだから。破滅願望、親から愛情を十分受けられなかったからか。生まれつきだったのか。
ぼくこと神原尚彦が一番の困ったちゃんだ!『僕は悪くない』とずっと思いこんでいる。一番質の悪いやつだ。銀行強盗で得た金を奪われて階段から落ちて車にはねられて死んだところでは『因果応報』と水戸黄門的な気持ちよさを感じてしまうほどだ。
だが、現代の犯罪においては彼のような無反省で未成熟な大人が多くなっているように感じる。高速道の煽り殺人の犯人の笑い顔が頭に浮かぶ。
「空白」を持て余していたのは誰だ。
若さゆえの失敗の数々。
生まれつきの殺人者はいたか。環境条件次第か。
少年犯罪の償いと更生は。
生きて伝えてください。その気持ちを。
罪を犯しても反省することもできずにいる子供たちに。