掲示板でパパイア牛乳さんから受けた質問「大きくて美味しいパインの作り方」について、データを加えた解説を数回に分けて行います。
まず、パパイア牛乳さんの質問を要約すると、
ということでした。
質問で出たパインアップルの株は、神奈川県横浜市において鉢で栽培されており、冬場は屋内で管理されている様です。
この質問への回答は、「大きくて美味しいパインの作り方」を「大きな果実を作りたい」と「美味しい(糖度が高く、酸度が少ない=糖酸バランスの良い)果実を作りたい」に分解して考えたいと思います。
まず、パインアップルで「大きな果実を作りたい」と考えた際に、重要となるのは「出蕾前の株の大きさ」と「品種」です。
どちらも出蕾後の株に対しては適当な回答ではないと思いますが、まず基本的なことを知っておいて欲しいので記載します。
パインアップルの「品種」ごとの果実の大きさ(重量)を、沖縄県下で栽培されている品種を例に説明します(表1)。
表1で果実重(赤枠内)に注目すると、沖縄本島北部地区と八重山地区の両地区において、各品種ごとの重量は同じものが重いことがわかります。
つまり、一番重いのは「N67-10」。次いで「サマーゴールド」、「ソフトタッチ」。一番軽いのは「ボゴール」です。
このことから、栽培地域が違っても、大きくなる品種とあまり大きくならない品種があることが伺えます。
「大きな果実を作りたい」のであれば、「大きくなる品種を選ぶ」ことが近道になります。
とは言え、大きくなりにくい品種でも「より大きな果実を作りたい」というのが人情なので「出蕾前の株の大きさ」と果実の大きさの関係について説明します。
パインアップルは定植後、40枚程度の葉を出した後に花芽を形成します。
言い換えると、栄養生長を終えた後に生殖生長へと移行するので、花芽が出た後に株の大きさや葉数が増加することは、ほとんどありません。
また、果実収穫後に果実重量と茎重量を測定すると正の相関があります(図1)。
図1:茎重と果実重の関係
(小那覇ら.1983. 「熱帯特産果樹」.農文協.より抜粋)
図1は、元々は「花芽誘導回数が1果重に及ぼす影響」を示すグラフですが、茎重と果実重の相関を十分に示していると思います。
つまり、「より大きな果実を作りたい」のであれば、「出蕾までに大きな株を作る」ことが重要になります。
しかし、出蕾後の相談に対しては、この回答も適当ではありませんね。
次回は、条件付きで出蕾後にできる果実重を増加させる栽培管理技術等の説明を行います。
○参考文献
・「パインアップル栽培技術研修会資料」.2008.沖縄県農業協同組合
・「パインアップル」.1997.(社)国際農林業協力協会.
・「果樹園芸大百科17 熱帯特産果樹」.2000.農文協.
・「パイナップルの薬剤による花芽誘導に関する研究. 第1報 エスレルによる花芽誘導と果実重の関係」.小那覇安優・仲宗根福則・池宮秀和.1983.九農研.45,p.268.(孫引き)
まず、パパイア牛乳さんの質問を要約すると、
・冠芽から育てていた鉢植えパイナップルに花芽が着いた。 |
ということでした。
質問で出たパインアップルの株は、神奈川県横浜市において鉢で栽培されており、冬場は屋内で管理されている様です。
この質問への回答は、「大きくて美味しいパインの作り方」を「大きな果実を作りたい」と「美味しい(糖度が高く、酸度が少ない=糖酸バランスの良い)果実を作りたい」に分解して考えたいと思います。
まず、パインアップルで「大きな果実を作りたい」と考えた際に、重要となるのは「出蕾前の株の大きさ」と「品種」です。
どちらも出蕾後の株に対しては適当な回答ではないと思いますが、まず基本的なことを知っておいて欲しいので記載します。
パインアップルの「品種」ごとの果実の大きさ(重量)を、沖縄県下で栽培されている品種を例に説明します(表1)。
表1:パインアップル各品種における地域別自然夏実の特性
(「パインアップル栽培技術研修会資料」.2008.沖縄県農業協同組合 より抜粋)
(「パインアップル栽培技術研修会資料」.2008.沖縄県農業協同組合 より抜粋)
表1で果実重(赤枠内)に注目すると、沖縄本島北部地区と八重山地区の両地区において、各品種ごとの重量は同じものが重いことがわかります。
つまり、一番重いのは「N67-10」。次いで「サマーゴールド」、「ソフトタッチ」。一番軽いのは「ボゴール」です。
このことから、栽培地域が違っても、大きくなる品種とあまり大きくならない品種があることが伺えます。
「大きな果実を作りたい」のであれば、「大きくなる品種を選ぶ」ことが近道になります。
とは言え、大きくなりにくい品種でも「より大きな果実を作りたい」というのが人情なので「出蕾前の株の大きさ」と果実の大きさの関係について説明します。
パインアップルは定植後、40枚程度の葉を出した後に花芽を形成します。
言い換えると、栄養生長を終えた後に生殖生長へと移行するので、花芽が出た後に株の大きさや葉数が増加することは、ほとんどありません。
また、果実収穫後に果実重量と茎重量を測定すると正の相関があります(図1)。
図1:茎重と果実重の関係
(小那覇ら.1983. 「熱帯特産果樹」.農文協.より抜粋)
図1は、元々は「花芽誘導回数が1果重に及ぼす影響」を示すグラフですが、茎重と果実重の相関を十分に示していると思います。
つまり、「より大きな果実を作りたい」のであれば、「出蕾までに大きな株を作る」ことが重要になります。
しかし、出蕾後の相談に対しては、この回答も適当ではありませんね。
次回は、条件付きで出蕾後にできる果実重を増加させる栽培管理技術等の説明を行います。
○参考文献
・「パインアップル栽培技術研修会資料」.2008.沖縄県農業協同組合
・「パインアップル」.1997.(社)国際農林業協力協会.
・「果樹園芸大百科17 熱帯特産果樹」.2000.農文協.
・「パイナップルの薬剤による花芽誘導に関する研究. 第1報 エスレルによる花芽誘導と果実重の関係」.小那覇安優・仲宗根福則・池宮秀和.1983.九農研.45,p.268.(孫引き)
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