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台湾のグアバに係る備忘録

2011年10月03日 | グアバ

 2011年の春に台湾の花蓮から来沖されたL氏と通訳のJさんに教えてもらったグアバに関する情報の備忘録。
 L氏は、グアバの専門家ではないので世間話の一環として話を伺いました。

 以下にL氏から伺った話題をQ&A方式で記します。


Q1:台湾ではグアバは「番石榴」や「芭楽」と呼ばれていますが、2つの呼び方に何か使い分けがありますか?

A1:「番石榴(ファン シゥーリュー):Fān shíliú)」は、果肉がピンク色で柔らかくなるタイプのグアバで、主に加工用に用いられている。
 「芭樂(バァラァ:Bālè)」は、台湾語での表現。主に果肉が硬く、食感がサクサクしているタイプ(非追熟型)のグアバに用いられる。
 果物として食べるグアバには「芭樂」が使われることが多い。


Q2:台湾では果物用のグアバとして、果肉がネットリしたタイプとサクサクしたタイプのどちらが好まれていますか?

A2:サクサクしたタイプが好まれている。ネットリした食感のグアバは、鮮度が低いイメージがある。


Q3:台湾のグアバの品種名は「珠珍拔」や「水晶拔」がありますが、この「拔」とは何ですか?

A3:「拔(バァ:Bá)は「芭樂」と同じ音で、グアバのことを指す。「珍珠拔」は「真珠グアバ」という意味である。


Q4:台湾ではグアバの品種は変遷が激しい様ですが、今後有望な品種はありますか?

A4:最近開発された「帝王拔(Dìwáng bá、ディーオァンバァ)」は農家からの反応が良い様だ。しかし、どの地域でどの程度の量まで増やす等の具体的な話は知らない。


 * * * 以下は上記のQ&Aに対する補足です。 * * *  

 A1の「番石榴(ファン シゥーリュー)」は、沖縄県でグアバを指す方言「バンシルー」の語源と考えられています。
 グアバの和名の1つに「バンジロウ」というものがありますが、これは「バンシルー」が訛った節と「人名説」があります。
 沖縄では人名の「次郎」は「ジラー」と発音するので「万次郎」なら「バンジラー」となり語尾が異なります。
 だから、人名説より台湾語語源説を推したいです。

 A2の台湾の方が「ネットリした食感のグアバは、鮮度が低いイメージがある」と言ったのは、あくまでイメージの話です。
 グアバには「追熟型」と「非追熟型」の2タイプがあります。
 「追熟型」のグアバは、沖縄県でお馴染みのネットリした食感のグアバです。
 しかし、「追熟型」は果実が柔らかいために輸送性が悪く、店持ちもよくありません。
 そのため、台湾をはじめとする東南アジア等では、市場流通するのはサクサクした食感の「非追熟型」グアバになります。
 食べ慣れれば、どちらのタイプも美味しいので、国内でも「非追熟型」が生産、認知されれば良いと思います。

 A3の「拔=グアバ」は想像はしていましたが、これまで台湾の方に直接確認する機会がありませんでした。
 確認できてスッキリしました。

 A4の「帝王拔」は、台湾の農業試験所鳳山分所が2006年に品種申請した「台農1号」のことです。
 母本は「珍珠拔」、父本は「小葉無籽拔」とされています。

 その他、本記事の台湾語発音記号は、「google翻訳」サイトの発音記号を参考にしました。
 ただ、私の耳には「芭樂(バァラァ)」の「バ」は「バとパの中間音」の様に聞こえました。


○参考文献
 ・「番石榴新品種 台農1號(帝王拔)之育成(グアバ新品種 台農1号(帝王拔)の育成)」.2006.謝鴻業、王智立、楊淑惠、王徳男、劉政道、林慧玲、謝慶昌、陳幼光.農常試験所技術服務;第67 期;pp.1-4.農業試験所鳳山分所.

○参考サイト
 ・「Google 翻訳



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