ホワイトサポテは、中央アメリカ原産のミカン科に属する常緑高木果樹です。
沖縄県で初めてホワイトサポテの結実が確認されたのは、私が知る限り、2000年頃に南風原町で果樹種苗販売を営んでいたY氏の所有していた樹(実生で育成した樹に、和歌山県から導入した穂木を高接ぎ)だと思います。
その後、沖縄県内の園芸イベント等でホワイトサポテの苗を見かける様になりました。
しかし、多くの種苗業者は、ホワイトサポテ(特に品種)に対する充分な知識を得る前に商売が先行してしまった感が強く、「品種名が未記載」の苗や「品種の特徴が説明されない」苗が数多く売られました。
そのため、沖縄県内には「大きくなって花は咲いても結実しない品種不明のホワイトサポテの樹」が見られる様になりました。
ここで、ホワイトサポテの「花のタイプ」について説明しなければなりません。
ホワイトサポテの花は、品種により3つのタイプに分けられます。
「タイプⅠ:果実となる子房や柱頭が大きいが、花粉が作られる葯が小さい」、「タイプⅡ:子房や柱頭は小さいが、葯が大きい」、「タイプⅢ:子房や柱頭、葯の全てが大きい」です(表1)。
表1:ホワイトサポテの花きの特徴から見た品種分類
(「熱帯果樹の栽培 完熟果をつくる・楽しむ28種」より抜粋)
このうち「タイプⅠ」や「タイプⅡ」の品種を単独で栽培すると、花粉がないか、子房や柱頭が未発達のため、ほとんど結実しません。
ホワイトサポテを栽培するなら「タイプⅠ」を8割~9割の量で植栽し、残り1~2割を「タイプⅡ」か「タイプⅢ」を植栽するのが良いと思います。
または「タイプⅢ」の品種を入手するか、1本の樹に複数のタイプの枝を設けるのが良いと思います。
さて、ここからが今回の本題です。
2009年12月上旬、知人Aから「知人B(私の知人でもある)が所有するホワイトサポテが結実しない」と相談を受けました。
知人Aは「チェストナット(タイプⅠ)」「スマザース(タイプⅠ)」「モルツビー(タイプⅢ)」の各穂木が準備できるが、接木に行けなくなったので、私に代わりに接木して欲しい、とのことでした。
依頼を受け、12月14日に知人B宅へ伺い接木をしました。
接ぎ方は、概ね高接ぎの割り接ぎ(二芽接ぎ)でしたが、モルツビー(Maltby)は穂木が少なかったので腹接ぎ(一芽接ぎ)も試してみました。
その後、1ヶ月強(39日)たった2010年1月22日に接木が成功したか確認に行きました。
すると、チェストナット(Chestnut)とスマザース(Smathers)は7~8割の穂木で成功していました(写真2、3)。
写真2:チェストナット接木成功(1/22)
写真3:スマザース接木成功(1/22)
接木39日後で、こんなに大きな新芽を出す枝があるとは・・・。
ホワイトサポテの旺盛な樹勢に驚きました。
因みに、最も新芽の生育が良かったスマザースの穂木の太さは9.7mm×8.9mm、長さは約6cmで、台木にした枝の太さは19.4mm×17.1mmでした。
モルツビーは発芽が遅れている様で、今回は発芽が確認できませんでした。
失敗してなきゃ良いけど・・・。
あと、今回の発芽確認で気になったのがチェストナットの小葉の枚数です。
普通、ホワイトサポテの小葉は5(~7)枚ですが、今回確認できた小葉は何故か全て3枚でした。
石畑ら(1996)によると、チェストナットの小葉も5枚なんですが・・・。
知人Aに問い合わせると「そのうち5枚になると思うよ」とのこと。
今後の経過を観察したいと思います。
今回は知人の代理として接木して緊張しましたが、成功して、知人Bも喜んでくれたのでホッとしました。
○参考文献
・「熱帯果樹の栽培 完熟果をつくる・楽しむ28種」.2009.米本仁巳.農文協.
・「シロサポテ ( Casimiroa edulis Llave and Lex. ) の花器および果実形態における品種間差異」.2001.米本仁巳・樋口浩和・石畑清武・池田稔・富田栄一.熱帯農業;第45(1);p.38-44.日本熱帯農業学会.
・「シロサポテ Casimiroa edulis Llave et Lex. の栽培」.1996.石畑清武・遠城道雄・野村哲也・長野幸男・福留紘二・福村和則.鹿児島大学農学部付属農情研究報告;第21号;P.11-20.
沖縄県で初めてホワイトサポテの結実が確認されたのは、私が知る限り、2000年頃に南風原町で果樹種苗販売を営んでいたY氏の所有していた樹(実生で育成した樹に、和歌山県から導入した穂木を高接ぎ)だと思います。
その後、沖縄県内の園芸イベント等でホワイトサポテの苗を見かける様になりました。
しかし、多くの種苗業者は、ホワイトサポテ(特に品種)に対する充分な知識を得る前に商売が先行してしまった感が強く、「品種名が未記載」の苗や「品種の特徴が説明されない」苗が数多く売られました。
そのため、沖縄県内には「大きくなって花は咲いても結実しない品種不明のホワイトサポテの樹」が見られる様になりました。
ここで、ホワイトサポテの「花のタイプ」について説明しなければなりません。
ホワイトサポテの花は、品種により3つのタイプに分けられます。
「タイプⅠ:果実となる子房や柱頭が大きいが、花粉が作られる葯が小さい」、「タイプⅡ:子房や柱頭は小さいが、葯が大きい」、「タイプⅢ:子房や柱頭、葯の全てが大きい」です(表1)。
表1:ホワイトサポテの花きの特徴から見た品種分類
(「熱帯果樹の栽培 完熟果をつくる・楽しむ28種」より抜粋)
このうち「タイプⅠ」や「タイプⅡ」の品種を単独で栽培すると、花粉がないか、子房や柱頭が未発達のため、ほとんど結実しません。
ホワイトサポテを栽培するなら「タイプⅠ」を8割~9割の量で植栽し、残り1~2割を「タイプⅡ」か「タイプⅢ」を植栽するのが良いと思います。
または「タイプⅢ」の品種を入手するか、1本の樹に複数のタイプの枝を設けるのが良いと思います。
さて、ここからが今回の本題です。
2009年12月上旬、知人Aから「知人B(私の知人でもある)が所有するホワイトサポテが結実しない」と相談を受けました。
知人Aは「チェストナット(タイプⅠ)」「スマザース(タイプⅠ)」「モルツビー(タイプⅢ)」の各穂木が準備できるが、接木に行けなくなったので、私に代わりに接木して欲しい、とのことでした。
依頼を受け、12月14日に知人B宅へ伺い接木をしました。
接ぎ方は、概ね高接ぎの割り接ぎ(二芽接ぎ)でしたが、モルツビー(Maltby)は穂木が少なかったので腹接ぎ(一芽接ぎ)も試してみました。
その後、1ヶ月強(39日)たった2010年1月22日に接木が成功したか確認に行きました。
すると、チェストナット(Chestnut)とスマザース(Smathers)は7~8割の穂木で成功していました(写真2、3)。
写真2:チェストナット接木成功(1/22)
写真3:スマザース接木成功(1/22)
接木39日後で、こんなに大きな新芽を出す枝があるとは・・・。
ホワイトサポテの旺盛な樹勢に驚きました。
因みに、最も新芽の生育が良かったスマザースの穂木の太さは9.7mm×8.9mm、長さは約6cmで、台木にした枝の太さは19.4mm×17.1mmでした。
モルツビーは発芽が遅れている様で、今回は発芽が確認できませんでした。
失敗してなきゃ良いけど・・・。
あと、今回の発芽確認で気になったのがチェストナットの小葉の枚数です。
普通、ホワイトサポテの小葉は5(~7)枚ですが、今回確認できた小葉は何故か全て3枚でした。
石畑ら(1996)によると、チェストナットの小葉も5枚なんですが・・・。
知人Aに問い合わせると「そのうち5枚になると思うよ」とのこと。
今後の経過を観察したいと思います。
今回は知人の代理として接木して緊張しましたが、成功して、知人Bも喜んでくれたのでホッとしました。
○参考文献
・「熱帯果樹の栽培 完熟果をつくる・楽しむ28種」.2009.米本仁巳.農文協.
・「シロサポテ ( Casimiroa edulis Llave and Lex. ) の花器および果実形態における品種間差異」.2001.米本仁巳・樋口浩和・石畑清武・池田稔・富田栄一.熱帯農業;第45(1);p.38-44.日本熱帯農業学会.
・「シロサポテ Casimiroa edulis Llave et Lex. の栽培」.1996.石畑清武・遠城道雄・野村哲也・長野幸男・福留紘二・福村和則.鹿児島大学農学部付属農情研究報告;第21号;P.11-20.
私も、毎年春先に、実生苗を台木に接木を試みるのですが、一度も成功したことがありません。
親の方ははバーノンとクシオですが、それぞれ結実したと思っても2cmくらいになると必ず落果してしまいます。
接木は接いだときは「100%成功!」って思うのですが、結果をみると散々なときがあります。
しかし、技術なので経験値が上がると、成功率が0%ってことはなくなってきます。
しかし、クシオとバーノンの組み合わせで結実しないとは不思議ですね。
開花時期があっていないのか?受粉昆虫がいないのか?気になりますね。