羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

「からだは管(チューブ)のあつまり」と「筋膜」

2012年03月26日 13時17分47秒 | Weblog
 今日の題名は、3月24日(土)、朝日カルチャーセンター「野口体操講座」のテーマだ。
 持参したのは「トム・ボーイ」。太さも素材も長さも色もさまざまで、それらを立った目の高さで持って、中をのぞいてみる。太さによって見え方が全く異なる。一番細いトム・ボーイは、生体の中に吸い込まれるような感じすらしてくる。
 そうすることで、“からだは「円柱形」「円筒形」「管(チューブ)」の集まり”というイメージを、非常に単純化したところで、からだの中を探る一助にしてもらうために持っていった。
 太い物の直径は100ミリ弱、細い物は10ミリ弱。これだけそろうとイメージも膨らむ。
 野口先生は『標本は一つではなく、いくつも示すことが大事だ』とおっしゃり、事実、ご自身が何かを示す時には複数を持ってこられた。

 もう一つのテーマ「筋膜」については、キタムラさんからのデジタル資料をお見せし、言葉による対話をしながら、いつも行っている動きを味わい直してもらった。
「筋膜」は、解剖の際には邪魔者扱いで、ばっさばっさと切り捨てられていくそうだ。
 久しぶりに参加できた新井英夫さんが、思わずご自身の体験を話された。
「イノシシの肉を友人からもらったんですが、肉屋で買うような状態ではなく、大雑把に切ってあるだけで、筋膜がしっかりついていたんです。これがくせ者で迷路のように入り組んでいて、剥がすのがとっても大変でした。剥がした物を引き延ばしてみると、相当に伸びます。でも伸びきった限界ギリギリのところでピーンと張って、かなり丈夫な感じがしました」

「筋膜」が第二の骨格といわれる由縁は、仮に筋膜がない状態で筋肉の力を抜けば、形が保てないからだ。つまり、筋膜はからだの内側で構造を維持する役目を果たしている。その筋膜がゆがんだ状態で姿勢を正そうとしても「無理は無理」ということになる。筋膜を伸ばせば筋肉が自由になるので、解剖学的には無用なものであっても、生きているからだにとっては、ものすごく大切で、筋膜の状態次第でいかようにも不具合が出て来る。したがって筋膜をできるだけゆがみの少ない状態へと修正することが大切である、ということになる。

 野口体操には、この筋膜に働きかけるであろう方法があったことに気づいてのは、昨年のことだった。
 そんなわけで板書している内容をここに貼付けます。覚え書きメモです。
 ここには書きませんでしたが、「呼吸」が深く関わります。
 また、野口体操は治療を目的としていないので、ロルフィングとは異なります。


2012年3月24日(土)朝日カルチャー 

※今日のテーマ『からだは管(チューブ)のあつまり」と「筋膜」への働きかけ』
一、野口三千三語録より
『「もの」の基本の形は球である。ものの「動き」の基本は「円・波・渦・螺旋」あり、「生きもの」の基本の形は「管(入り口・通り道・出口)」である。』
『人間の基本の在り方は「寝る・這う」と「立つ・歩く(走る)」の二つであり、どちらか一方だけにしようとするには無理がある。』
『からだの動きは外側の形の変化として捉えるだけでなく、からだの内部隔壁・体腔の変化、さらには体腔内の状態の変化(圧力・硬度・比重・密度・温度・粘性度・伝導などの総合感覚)として感じ取ることが大切である。これは筋肉の緊張・弛緩の感覚だけでなく総合直感によるしか捉えようがないのかもしれない。』

二、 「筋膜」『北村さんからのデータ』から。映像を見ながらどうぞ。
* 『表皮のすぐ下で全身をタイツのようにおおう浅筋膜と深筋膜、筋肉を包む筋外膜、筋肉の中で繊維を束ねる筋周膜や筋内膜といった具合に何層にも重なっていて、しかもあらゆる筋膜が連続的につながっている。(第二の骨格)』
* 筋膜は、コラーゲンとエラスチンという二種類のタンパク質繊維が、メッシュ状に張り巡らされている。このうちコラーゲンはほとんど伸びないが、エラスチンは伸縮性に富み、2・5倍もの長さまで伸びる。
* 日ごろよく動いている部位の筋膜は、エラスチンがよく伸縮する。だが、あまり動かない場所のエラスチンは動かない。するとコラーゲンがエラスチンにまとわりついて凝集し、伸縮性を失う。膜同士が接していれば互いに癒着する。「煮こごり」のような状態だということが言える。
*よれた筋膜を伸ばせば筋肉は自由になる。
コメント
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