YouTube(ユーチューブ)は、アメリカ合衆国の企業。また、同社が運営する同名のソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS) のこと。
2ちゃんねるなど日本の電子掲示板では、"YouTube" をローマ字読みして「ようつべ」と呼ばれることがある。
概要
YouTube, Inc. は、PayPal 元従業員のチャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジョード・カリムらが2005年2月にアメリカのカリフォルニア州・サンマテオで設立。11月にベンチャーキャピタルの Sequoia Capital から資金提供を受け、翌12月に公式にサービスを開始した。CEO はチャド・ハーリー。従業員数は67人(2006年10月現在)。
社名の "Tube" には英語で「真空管」「ブラウン管」 (Cathode Ray Tube) の意味がある。設立のきっかけはチャド・ハーリーらが友人にパーティーのビデオを配る方法として考えた結果に作った技術を使い、皆で簡単にビデオ映像を共有できればと思いついたことによる。
SNS
同社が運営する SNS は、動画共有サイトである。キャッチコピーは "Broadcast Yourself."。
ウェブサイトは英語で構成されており、サービスは全て無料で利用できる。Ajax と呼ばれる技術が用いられており、YouTube を利用するには JavaScript を有効にする必要がある。
ほとんどの動画は会員登録をしなくても閲覧できるが、会員しか見ることができない動画もある。会員登録すると、以下のサービスを利用できる。
容量100MB、長さ10分までの動画ファイルをアップロード、投稿できる。
投稿された動画を5段階で評価したり、動画やメンバーにコメントを付けられる。
動画をまとめたプレイリストを作成・公開する機能、お気に入り機能がある。
特定のメンバー同士で動画を共有できる。
一部では Web 2.0 の代表的なサイトの一つとされる。SNS に分類されるのは、動画や利用者にコメントを付けられるためである。アップロードできるのは動画ファイルのみで、音声ファイルなどはアップロードできない。
2006年4月21日時点で4000万の動画があり、日に3万5千の動画がアップロードされていることがプレスリリースで発表された。利便性から世界的に人気があり、Google VideoやAsk ビデオなど似たサービスは他にもあるが、動画の数はYouTubeが圧倒的に多く、同系統のサイトでは最大規模になっている(ただし、最近は下記のとおり規制が厳しくなってきたのでユーザーが離れつつある)。ほかにも動画に対するタグ(動画を分類するキーワード。メタデータの一種)を自由に付けられることや人気タグ一覧が表示されるタグクラウドの実装など、写真共有サイトFlickrの動画マルチ版ともいえる存在である。
アメリカでは2005年12月頃にNBCの人気テレビ番組、サタデー・ナイト・ライブがアップロードされていたことからブログなどで話題になり、2006年上旬にはYouTubeの映像をブログなどに貼り付けられるAPIも公開され、爆発的に普及した。日本では2006年1月頃に2ちゃんねるやブログなどで紹介され人気が上昇、2006年3月頃からINTERNET Watch(Impress)やITmediaなどのニュースサイトで取り上げられるようになった。サイトオープンから1年で驚異的に利用者を増やし、今後さらなる利用者の増加が予想される。また、最近では、YouTubeAPIを利用した閲覧専用サイトYouTubeCHや、YouTubeのビデオを日本語検索可能にするMOCO Videoや、携帯電話用にYouTubeの動画を変換して見られるファイルシークやMyTubeや、YouTubeのビデオにテロップを入れてコメント出来るニコニコ動画といったアグリゲーターサービスが数多く開始されている。
著作権問題はあるものの手軽に動画が楽しめることから、コンテンツ業界に注目されている。2006年4月にアメリカの映画制作会社、The Weinstein CompanyとDimension Filmsが提携し、映画の予告編がYouTubeで配信された。2006年6月28日にNBCと提携、NBCのコメディドラマ「The Office」のPVを配信したり、プロモーションページを設けた。また、NHLはYouTubeと契約し、試合のダイジェスト版の提供を開始した。CBSも2006年10月に契約し、「CBS Brand Channel」をYouTube上で立ち上げた。CBSは。2007年1月12日に行われた講演内でCBS社長兼CEOであるレズリー・ムーンバスが「今後、アメリカのテレビ局はYouTubeと提携し、テレビ番組や番組宣伝などをYouTubeに流すことになるだろう」と答えた。また、アメリカの任天堂では、ゲーム機「Wii」の宣伝をYouTubeと契約しCMを公開し、同様に日本向けにナイキがシューズのCMを行っている。さらにレコード会社などが自前のページを立ち上げて配信を始める例も見られ、新たな活用法が模索され続けている。
こちら以外の活用例としては、イーホームズの藤田東吾がYouTubeを通じ構造計算書偽造問題に対する告発を行ったり、ロサンゼルス市警の警官が無抵抗な被疑者に対し暴力を振るっている姿を捕らえた映像がYouTubeで匿名で公開されたりと、告発の場となっている。他には、カナダの警察が犯人逮捕の為に殺人事件が発生した際に映った犯人らしき人物のビデオ映像をYouTube上で流している。
機能追加も活発で、メンテナンスが頻繁に行われている。メンテナンス画面は机を組み立てる説明書を読んでいる男性の写真や、営団地下鉄(現:東京メトロ)の電車に貼られていたドアステッカーの写真や東京都の消火器具に描かれている消防士のキャラクターの画像など、ユーモラスで意味深長なフレーズと画像が使われるが、2006年6月2日のメンテナンスで、トップページが「ALL YOUR VIDEO ARE BELONG TO US.」と書かれたものになり、インターネット上で騒動となった。これは「All your base are belong to us.」をもじったものと思われるが、海外(特に日本)からのアクセス増加をよく思ってないと取れるため、「海外からのアクセスが規制されるのでは」「クラッキングされた」などといった推測が飛びかった。のちにYouTubeのブログでユーザーに心配かけたことを謝罪し、機能追加を発表した。
YouTubeはサーバーの回線コストだけで月間100万ドルに達するといわれていたため、サービス開始からしばらくは、どういった部分で収益を上げていくかが注目されていたが、2006年10月に入るとGoogleに買収されるのではないかとの報道が入り(ちなみにYouTubeは主にGoogle AdSenseの広告を利用していた)、10月9日にGoogleが16億5000万ドルで買収に同意したとの発表を行った。この買収について一般ユーザーからアップロードされた動画に対し厳しい規制が取られてしまうのでは? という危惧が持たれていたが、チャド・ハーリーCEOはこれに対し「YouTubeはGoogleに買収されたが、今後もYouTubeとしたブランドで独立したサービスを提供し続ける」と述べた。また、Google側もYouTubeの類似サービスであるGoogle Videoは続行してサービスを提供すると述べ、Google Videoの検索窓を通じてYouTube内の動画を検索するサービスを開始した。
動画
アップロードした動画は以下の形式に変換される。
動画:Flash Video形式 / 200Kbps前後 / QVGA(320x240)サイズ以下 / 30fps以下 / アスペクト比4:3(もしくは1:1)
音声:MP3形式 / 64Kbps(VBR) / モノラルorステレオ / 22050Hz
アスペクト比が上記以外の動画は自動的に黒帯が追加され、レターボックスになる。Adobe Flash Player 7以降がインストールされていれば、Webブラウザでストリーミング再生を閲覧できる。
UTF-8で運営しているため、動画名やコメント、タグは日本語を含む多国語に対応している。
卑猥な動画はメンバー登録による18歳以上の年齢認証が設定されるが、年齢認証は検証の手段が無いので全く意味がなく、小学生でも閲覧は出来る。ただし年齢認証を設定しても過激な性描写がある動画は削除される。その他著作権侵害・過激な性描写などで頻繁に動画を削除されると、警告なしにアカウントを削除されると同時に過去にアップロードした動画すべてが削除されるという手続きが確認されている。
なお、過激な性描写がある動画をアップするには、PornoTube(ポルノチューブ)という物が代わりに存在する。
著作権問題
アニメ、ライブ映像やプロモーションビデオ、TVCM、オリジナルビデオ、テレビ番組、AMV、MADムービーなどが著作権者に無断で多数アップロードされている事から、著作権侵害が指摘されている。YouTubeは利用規約で著作権侵害になるファイル(テレビ放送や一般市民が撮影したコンサート・舞台など)のアップロードを禁止しているが、著作権法違反コンテンツは後を絶たない。
著作権問題はGUBAやVeoh、DivXを利用するStage6など他の似たサービスでも問題となっている。こちらはYouTube程有名ではないため野放しの傾向にある。
YouTube側の対応
2006年3月27日からアニメなどの海賊版のアップロードを制限するために、10分を超えるファイルのアップロードを原則制限しているが、動画を分割してアップロードされているのが現状である。2006年4月10日から10分以上の動画をアップロードしたいとの要望に応えるため、Director制度が始まった。Directorに登録すれば10分を超えるファイルのアップロードも可能になるが、登録には審査があり、完全なオリジナルコンテンツを提供する人のみに限定されている。
以前は違法コンテンツも放置される傾向にあったが、2006年6月頃からは削除作業が活発になった。しかし、現在でもかなりの量の違法コンテンツが横行し、中には削除とアップロードを繰り返している動画もあり、いたちごっこになっている。新作アニメなど人気動画の無断アップロードも、依然後を絶たない状況となっている。
削除に際しては、削除後のアドレスには英文で「This video has been removed at the request of copyright owner ○○○ because its content was used without permission(無断で使用されたため、著作権者である○○○社からの依頼で削除しました)」などと理由が表示される。
2006年12月現在、日本からのユーザー登録受付は著作権侵害の動画ファイルがアップロードされるという理由で出来なくなり、USからのみ可能となっている。
テレビ局の対応
最近では各テレビ局にYouTubeの動画の監視・削除要請などを行う専任監視部隊(主として編成や著作権・ライツ関係の業務を行う専任部署)が設けられている。度々の申し入れをせざるを得ない社(例:TBS、フジテレビなど多くのテレビ局)に対しては、専用の申し入れフォームが作成送付されている。特にTBSに至っては、「視聴者サービス部宛メッセージフォーム」にYouTube上でのTBS番組の無断アップロード(=著作権侵害行為)の件について通報すると通報した翌日から数日中にかけファイルがTBSによって削除される。
例えば、以前は女子アナの名場面等の多数のコンテンツがあったが、各局の専任監視部隊等の活躍により、現在は視聴出来ない状態である。もちろん、番組自体をアップした場合短期間で削除される。
また視聴者側への警告として、例えばBS-iの深夜アニメ放送では冒頭にインターネット上に動画をアップロードすることは著作権の侵害であるとの旨のテロップが流れている(但しこれはYouTubeが開設される以前(ファイル交換ソフトによる著作権侵害が蔓延しだした頃)からの対応)。
2006年、スペースシャワーTV、MUSIC ON! TVなども削除依頼を提出している。しかし、番組映像の二次流用が後を絶たない。
例外的に、TOKYO MXの一部の番組についてはアップロードが黙認されたケースがあった。
2007年1月25日から放送番組の違法流通を防止するため「放送コンテンツ適正流通推進連絡会」が発足した。ここではYouTube上での番組無断アップロードも監視の対象としているため、今後ますますテレビ局や著作権関係団体による動画の監視・削除要請が激しくなることが予想される。その為、2007年2月6日にチャド・ハーリーCEOとスティーブ・チェンCEOとGoogleの幹部が来日し、23の日本の著作権団体らと会見。日本の著作権団体らが提示したYouTubeを登録する際に住所・氏名を入力させることにはYouTube側が難色を示したものの、違法動画をアップロードすら出来なくなる技術を開発することや違法動画のアップロードを3回繰り返したユーザーのアカウントを無効にすることと、日本語での著作権に対する警告文を表示すると約束した。
今後もYouTubeと日本の著作権団体らと著作権に関し協議する予定である。
削除事例
2006年2月16日にNBCの抗議を受け、サタデー・ナイト・ライブの映像を削除した。
2006年7月14日には、ロス暴動などを撮影したことで知られるロバート・ターがYouTubeに自身が撮影した映像を無許可に公開されたとして、映像1本につき15万ドルの損害賠償請求を求める訴訟をYouTubeに行った。YouTube側はターの抗議により動画をすぐに削除するなどの対応措置を行ったと主張し、この訴訟は無効だと述べている。ちなみに、この動画を公開したのは2ちゃんねるで固定ハンドルネームを名乗る人物である。
2006年8月には、『スターウォーズ』のファンが作成したパロディ映像を削除したところ、同作品監督のジョージ・ルーカスに「こういったファンが作成したパロディ映像を削除するな」と映像の復帰を依頼されたという異例の事態も発生した。
2006年8月下旬より、日本のポップ音楽の著作権を統括するJASRACが削除依頼に乗り出し、順次アーティストの無断動画や音楽の削除が始まった(これまでは各テレビ局やアーティストごとの依頼が主であった)。また、JASRACやNHKなどらがYouTubeに行った質問状(日本語での警告文を掲載する、など)に対し、12月15日に回答が得られ、日本のユーザーのみを対象に日本語での警告文を掲載することや、またこれ以外にも、著作権団体に対しYouTube動画削除ツールを開発し提供する、とも記されていた。
2006年12月31日、NHKの紅白歌合戦にて、水着がヌードに見えるというDJ OZMAの映像なども投稿されていたが、NHKの申請により削除されている。
2007年1月9日、ブラジルにて、ロナウドの元婚約者のダニエラ・シカレリが恋人と海岸にいる姿をパパラッチに撮られ、YouTubeに公開されたことに対しブラジルの裁判所に訴えYouTube側は何度もその映像を削除していたもののすぐに他の誰かが公開してしまい、まだ映像が残っているとのことによりブラジルからYouTubeに接続できなくなるという措置がブラジル政府により執られた。翌日の1月10日には完全にその映像が削除され、アクセス制限は解除された。
2007年1月17日にひろしまドッグぱーく問題でアップロードされていたABCムーブ!及び広島県の各局のアークエンジェルズに関する動画が一斉に削除される。詳しくは「アークエンジェルズ」及び「ひろしまドッグぱーくでwiki」に掲載されている。
2007年1月29日に24 -TWENTY FOUR-の新シーズンの映像などをYouTubeに流したとして、FOXがYouTubeに対して映像の流した人物に関する情報を同年2月9日までに公開するようにサンフランシスコ裁判所から召喚礼状を取得した。
歴史
2005年2月 - 会社設立。
2005年11月7日 - ベンチャーキャピタルのSequoia Capitalから350万ドルの投資を受ける。
2006年2月16日 - NBCが著作権の侵害として、テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」の「Lazy Sunday」の映像を削除。大手のテレビ局からの要請による動画削除はこの件が初めてであった。
2006年3月27日 - 10分を超える動画ファイルのアップロードを制限。
2006年4月5日 - Sequoia Capitalから800万ドルの投資を受ける(二度目)。
2006年4月10日 - Director制度開始。
2006年6月15日 - 大規模な違法コンテンツ(アニメなど)の削除活動が始まる。
2006年6月24日 - 音楽家専用のアカウントを作れるMusicians制度が始まる。
2006年6月27日 - かつて否定的な立場をとっていたNBCユニバーサルが一転し、提携を発表。自局番組の宣伝動画などの配信を始める。
2006年7月14日 - ニュース記者のロバート・ターが著作権侵害でYouTubeに対し米連邦地裁で訴訟を起こす。
2006年8月4日 - メンテナンスを行い、デザインをリニューアル、新機能が追加された。
2006年9月中旬 - プレイヤーのデザインを再びリニューアル。
2006年10月2日~6日 - 日本の著作権関係権利者団体・事業者(テレビ局など)が集中的に削除要請を行い、約3万件のファイルが削除される。
2006年10月9日 - Googleが16億5000万ドルでYouTubeを株式交換で買収した。但し、ブランド名やサービスなどは既存のままであり、Googleのグループ会社になる。ちなみにこのうちの2億ドルが訴訟対策費用となる予定。
2006年10月 - QuickList機能が追加される。
2006年11月6日 - Time誌の「Invention of the Year for 2006」に選ばれる。
2006年12月7日 - 新サービスの実験用サイトとしてTestTube(テストチューブ)を開設。最初の実験として、チャットルームで同じ動画を鑑賞、感想を書き込むなどが可能な「Stream」を公開した。
2006年12月17日 - Time誌の表紙として、YouTubeの動画メニューの画面が飾った。これは、この年の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた「You」の意味の1つに「YouTube」も含まれることからである。
という「YouTube」の「日本語版」を作ると親会社の「Google」の偉いさんのコメントが新聞に載っていた。日本に上陸したら、「テレビ番組」「日本映画」の「著作権」とはどういう折り合いをつけるのだろう。そして、「Google」が買収した本心は?とても気になる記事。















