日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 國包 Kunikane Katana

2016-11-02 | 
刀 國包


刀 奥州仙臺住國包

 國包は大和保昌の末流と伝え、柾目鍛えに浅い湾れ刃か直刃を焼くを得意とした。この刀も地鉄は柾目が良く詰んで小板目肌に見えるほど。だがここに、焼の深い湾れと地に突き入るような互の目を焼いている。丸く返る帽子はわずかに掃き掛けており、総体の雰囲気は大和伝ではなく相州伝。ゆったりとした湾れの所々に互の目を交えた刃文構成で、帽子は浅く乱れ込んで先が掃き掛け調子に丸く返る。刃中は小沸を主体に淡い匂が加わり、細かなほつれ、砂流し、金線が刃中を走る。互の目は尖り調子と丸みのある焼頭、玉状の刃も窺える。日本刀は刃文だけが見どころではないことを説明している。細密に詰んだ柾目鍛えと、沸深い焼刃が感応し合って刃中に流れるような景色を生み出している。その辺りが鑑賞の大きな要素だろう。物打辺りの歪んだ玉焼刃も面白い。