日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 古宇多 Ko-Uda Katana

2016-11-09 | 
刀 古宇多


刀 古宇多

 南北朝時代の太刀の大磨上。元先の身幅が広く、重ねは尋常でがっしりとした姿を遺している。地鉄は流れ調子の板目が詰んで目立ち、地沸が付いて所々に地景が窺える。刃文は焼の深い大小の互の目が連なり、帽子は掃き掛けを伴って焼き詰めとなる。刃中は沸が強く深く、足状に沸が刃先に広がり、これに砂流し沸筋金線が掛かって水が走りゆく谷川のように見える。宇多派は大和国宇陀郡から越中国に移住した國光に始まり、室町時代にかけて隆盛した刀工群。特に時代の上がるものを古宇多と呼び分けている。時代背景から大和伝よりむしろ相州伝を強く表した作を専らとしている。本作は鎌倉末期から南北朝頃と推考されるが、時代が降っても同様に地中に沸が広がる働きを示した作が間々見られ、本作同様に覇気に満ちた宇多の個性の一つとなっている。