日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 永國 Nagakuni Katana

2016-11-26 | 
刀 永國


刀 永國

 永國は江戸初期万治頃の江戸の刀工で、大和守安定に有縁とみられる。作品が少ないため、系統や代別が良く判らない刀工。一方で、宮本武蔵に斬り付けたという伝説があることから、それほど無名の工でもなく、伝説の生まれる背景には何らかの理由が備わっているはずで、高い技術力を備えていたものと思われる。良く詰んだ小板目鍛えの地鉄は地沸で覆われて抑揚変化に富み、その地の動きは刃中に及んでいる。刃文は直刃調に見えるもさにあらず、沸匂深く明るく、刃中に広がる沸はほつれ、砂流し、沸筋、足といった明瞭な働きを成しているのではなく、それらが混然一体となったような、沸の濃淡が景色を成しているというべきであろうか、頗る面白い出来である。帽子も沸深く強く、掃き掛け風に乱れを伴う小丸返り。優れた相州伝の刀である。

脇差 法城寺國正 Kunimasa Wakizashi

2016-11-26 | 脇差
脇差 法城寺但馬守國正


脇差 法城寺但馬守國正

 虎徹とも交流のあった法城寺國正の、虎徹によく似た出来の脇差。良く詰んだ小板目鍛えの地鉄に地沸が付いて細かな地景で肌目に動きが感じられる。刃文は焼幅の広く沸の深々とした互の目調子ながら、地刃の境界が明瞭でなく、古風な乱刃。小沸主調の焼刃は匂を交えて明るく、刃中に広がる沸の足も長短抑揚があり、刃中に満ちた沸が砂流しや沸筋ほどではないが自然に現れ、その濃淡によって流れるような景色が浮かび上がる。