Naoの誰でもわかる!英語の話

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「使える英語表現」(No. 111)「どこかへ消えちゃったんだ。」

2010-01-05 | Weblog
表現111)They vanished into thin air.(どこかへ消えちゃったんだ。)

何かが、あるいは人が「こつ然と消える」、「姿をくらます」、「蒸発する」、そんな様子を比喩(隠喩)する表現が、vanish(バニッシュ/消える)(あるいは、disappear(ディサピア/なくなる))into thin airです。melt(メルト/溶ける)into thin airという場合もあります。この表現はシェイクスピア(Shakespeare)がTempest(テンペスト)の中で以下のように使ったことで知られています。

These our actors,
As I foretold you, were all spirits and
Are melted into air, into thin air:

Shakespeareはともかく… thin air へ消えていくとは?と、思いません?thin airとは果たして何なのか?

いろいろ調べて結果、それは、地球のはるか上空、空気が希薄(thin air)になる大気圏(今の言葉で言えば「成層圏」か?)のことを指すそうです。そして、そのことを、誰も知らない場所(unknown location)の喩(たと)えに使っているとのこと。日本語では「虚空」という言葉が使われることもあります。でも、どうして「誰も知らない場所」が「空気が希薄な場所」になるのか?

これは全くの私見ですが、その表現がシェイクスピアの時代から使われたとすると、当時彼らが地球の上空に広がる空間(宇宙)に思いを馳せた時、そのはるか彼方には彼らの「知らない場所」があると考えたのではないでしょうか。山を昇ると徐々に空気が薄くなることは知っていたはずですから、きわめて空気が薄い(thin air)場所、イコール、彼らの想像を超える「知らない場所」という発想が働いたのではないかと思うのです。

実はvanish/disappear into thin air と同じ意味の表現で、vanish/disappear into the blue という表現があります。この場合のthe blueは深海を意味し、thin air と同様に人の想像を超える知らない場所の喩えに使われているようです。人間にとって未知の世界(場所)は宇宙と海。そのことをthin air(宇宙)とthe blue(海)という言葉で言い表したのではないでしょうか。

理屈っぽくなりました(すみません…)。ちなみにthin air は、vanish/disappear/meltという「消える」という概念にだけ使われるのではなく、appear/come out of thin air(どこからか現れる/出てくる)という場合にも使われますので、覚えておくと表現がもうひとつ増えますね。では、今回の表現が会話でどのように使われるかを、以下の会話で確認してください。Here you go!

(Mike and Jane are on the phone.)
Mike: Hello. Jane.
(もしもし、ジェーン。)
Jane: Hi, Mike. What’s up?
(あ、マイク。どうしたの?)
Mike: I got a problem. About the tickets you gave me, …
(ちょっと問題があってね。君がくれたチケットなんだけど…。)
Jane: You mean the tickets to the rock concert. What happened?
(ロックコンサートのチケットのこと。どうしたの?)
Mike: I put them on my desk and now they are gone. They vanished into thin air.
(机の上に置いてたんだけど、今見たら、ないんだ。どこかへ消えちゃったんだ。)
Jane: What? Did you look around well?
(何ですって?よく見たの?)
Mike: Yes, I did. Sorry. I will make it up.
(ああ、見たよ。ごめんね。別のことでつぐなうからさ。)
Jane: Mike, they are very precious and expensive.
(マイク、あれはとても特別な、しかも高いチケットなのよ。)
Mike: I know, Jane. Look, instead…
(わかってるよ、ジェーン。でね、その代わりに…)
Jane: Wait. Jenny is here. Hold on. Hi, Jenny. What’s up?
(ちょっと待って。ジェニーが来たの。電話そのままね。ジェニー、どうしたの?)
Jenny: I’ve got two tickets to the rock concert. I wonder if you would like to go with me?
(ロックコンサートのチケットが2枚手に入ったの。一緒に行かないかと思って。)
Jane: What concert? Let me see the tickets. Where’d you get them?
(どのコンサート?チケット見せて。どこで手に入れたの?)
Jenny: My boyfriend, Ben, bought them from Mike, but he can’t make it, so…
(ボーイフレンドのベンがマイクから買ったんだって。でも、彼が行けなくなっちゃって…)
Jane: I got it. Hello, Mike. The tickets came out of thin air.
(わかったわ。もしもし、マイク。チケットが突然出てきたわよ。)
Mike: What do you mean?
(どういうこと?)
Jane: You know Ben, don’t you?
(あなた、ベンを知ってるわよね。)
Mike: Sure, but what does it have to do with the tickets?
(ああ、でも、そのこととチケットとどんな関係があるんだい?)
Jane: Jenny is a very good friend of mine, and she is here now with those tickets.
(ジェニーは私のとても仲のいい友達なんだけど、彼女が今そのチケット持ってここにいるの。)
Mike: Look. I think you misunderstand something.
(ちょっと待って。君は何か誤解してるみたいだね。)
Jane: I don’t think so. I will never forgive you for this.
(そうは思わないわ。こんなことをして、あなたを絶対に許さないわよ。)
Mike: (in a small voice) I think I should vanish into the blue or something. Jane! Let me explain.
((小さい声で)どうもどこかに雲隠れかなんかした方がよさそう…。ジェーン!説明させて。)

さて、マイク君の運命はいかに。めったに手に入らないチケットを売っちゃ~ね~。たとえかなり高額で売れたとしても…高額?あまり行きたくないコンサート?…いえいえ、そんなことはabsolutely(絶対に)いけません!(冷汗)ということで、今回は、vanish/disappear into thin air/the blueという表現を取り上げました。「どっかに消えちゃった」という気持ちを伝えたい時に是非一度使ってみてくださいね。では、今回はこの辺で。See you in the next story! Have a good one, folks. nao