Naoの誰でもわかる!英語の話

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「いい言葉」から学ぶ英語(4)

2010-01-06 | Weblog
いい言葉4)You can make more friends in two months by becoming interested in other people than you can in two years by trying to get other people interested in you.
(人は、他人に自分に興味を持ってもらうよう努力することによって2年間で作れる友人の数よりより多くの友人を、他人に興味を持つことによって2ヶ月で作ることができる。)

これはアメリカ人Dale Carnegie(デール・カーネギー)の言葉です。カーネギーは僕が若い頃(「今も若い…」)熱中して読んでいた本、「道は開ける」等多くの自己啓発本を書いた人で、今でもその著書は広く読まれています。今回はデール・カーネギーの言葉を取り上げます。

まず、もう一度上の言葉を読んでみてください。……………どうですか。すぐに頭に入ってきましたか?なかなか入りにくいですよね。特にゆっくり読むと。今回の「いい言葉」を選んだ理由は、その理解をするための言語処理の難しさにあります。僕たち日本人の脳にはすんなり入ってこないんですよね~この手の文章は。でもどうして?じゃあどうすれば「すんなり」入るようになるのか。これらを皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

文章自体は難しくないと思いますが、一応そのポイントだけは確認しておきましょう。

make friends ―友達を作る
in two months―2ヶ月で(in は「~(時の長さ)の間に」を表す前置詞)
become interested in―~に興味をもつようになる
get (other people) interested in―~(他人)に興味を持ってもらう
by―~によって(byは前置詞のため、その後には「必ず」名詞(もしくは、動詞が名詞の形になった「動名詞」)が来なければならない。)
more~than―~より(than)より以上の(more)

単語表現はすべて易しいですよね。でも、それが一緒になって一つの文になるとなぜか難しい…では、再度文章を見てみましょう。

You can make more friends in two months by becoming interested in other people than you can in two years by trying to get other people interested in you.

人が言語を処理する時は、とりあえず入ってきた情報から処理して理解していこうとします。上の文章の場合は以下のようになります。

Step 1: You can make more friends in two months(人(あなた)はより多くの友人を作ることができる、2ヶ月の間に。)

Note: [主語の名詞]+[(主)動詞]+[(動詞の)目的語] +[前置詞句] なので、「何が」「どうした(動した)」「なんで(説明)」がすぐにわかり、理解は早い。

Step 2: by(~によって)

Note: byが出てきたので、その後に「どういうことで」という内容が来ると予測する。説明が長くなり、前に言ったこと(だからどうなのか)を覚えていなければならなので、ちょっと理解が難しくなる。

Step 3: becoming interested in other people(他人に興味を持つようになること)

Note:「他人に興味を持つようになることによって」と理解した後に、頭がby(によって)に戻らなければならないため、処理が遅くなる。

Step 4: than(~より)you can~(あなたが(人が)できる)

Note: ここで前に出てきていたmoreと比較されるものがやっと出てくる。しかも、そのすぐ後にyou canが出ることから、その比較されるものが文であることがわかり、その文全体が理解できないと全文の理解ができないことがわかり、頭は結構パニックになる。この後の文を理解する処理をしている間に前の文を忘れてしまう可能性が大。

Step 5: you can in two years by getting other people interested in you(人(あなた)は他人に自分に興味を持ってもらうよう努力することによって2年間で作れる)

Note: 文の理解は前文とほぼ同じだが、canの後にmake friendsが省略されている。つまり、その部分は前の文の記憶が残っていないと埋めることができないため、前段の記憶の保持が理解の鍵になり、なかなか難しい。

とまあ、こんな過程を経て、うまく処理できる人はすぐに理解できるものの、出来ない人は前段の文に何回も戻りつつ、なんとか理解することになるわけです。「もう少しわかりやすい説明はないの?」とお思いの皆様。以下の文をご覧ください。

A) You can make friends in two months by becoming interested in other people.
B) You can make friends in two years by getting people interested in you.

これらの文は結構わかりやすいですよね。それは主語、動詞、前置詞句と、英文の基本形でそれぞれが出来ているからです。つまり、何が、どうした、どのように、といった日本語でも行う言語処理と同じ流れなので、さして負担がないからです。単語表現の意味さえわかっていれば問題はないわけですね。ところが!それらがmore ~thanによって一つの文になり比較されると処理がきわめて困難になります。

You can make <more> friends in two months by becoming interested in other people
<than> you can (省略) in two years by getting people interested in you.

事実、上の文章を日本語訳にする時、僕はけっこう考えました(冒頭の訳を再度ご覧ください)。難しかったです。それはやはり日本語における理解の流れと英語のそれとは、この手の文章ではかなり異なるためです。「それはわかったし、文の仕組みもわかったけど、じゃあ、どうすれば早く理解できるの?」そこに果たして簡単な答えがあるかどうか…でも、それなりの考えを提供したいと思います。

(一般的英文理解のために)
1) 英文はピリオドが現れるまでは記憶を保持するよう努力すること。

 人間は日常の理解に作業記憶(working memory)を使っています。その場その場の理解に必要な短期記憶です。日本語の場合は理解のフレームができているため、それほど注意しなくても記憶できますが、英語の場合はそれができていないので、文字を視覚的に覚えようとする、あるいは、音、もしくは文字から得る情報(意味)をできるだけ印象的に頭に残し、記憶に刻むように努力することが必要となります。もちろん、英語を日常的に使っている人たちはそれほどの努力は必要ありませんが。

(特に今回のような文章の理解のために)
2) 文を繋ぐ言葉(語)を必ず頭に置いておく。

 今回の文章では、moreとthanです。more が出れば必ずthanが出てきます。more than と続けて出ればそれで終わりですが、moreが出れば、than が出るまではmoreの後の言葉を、moreを中心にしっかり記憶するよう努力し、thanが出たあと、再度moreの部分の記憶をたどるようにします。つまり、頭を前に戻すわけです。これはwhen やifといった接続詞を使った文の時もまったく同じです。練習をすればその回路ができるようになります。練習をしなければ全く進歩はみられません。いつまで経っても単文、単文でしか英語が書けない、話せない人たちの多くはその練習をしていない人たちです。僕のブログの読者の皆さんにはそうなって欲しくないので、是非練習の方、お願いしますね。

(具体的方法について)
3) 英文は抑揚(イントネーション)をつけて読み、聞く時は抑揚に注意する。
4) 英文は一息で読み切る(音読する)。

 始めのあたりで、僕が「なかなか入りにくいですよね。特にゆっくり読むと。」という言い方をしたことを覚えておられるでしょうか。英文の理解にあたっては、その読み方が理解に大きく作用します。ゆっくり読むと、必ずと言っていい程その途中で息が途切れ、頭は英文にピリオドがあるかのように、その時点で文の処理を終え、そこまでで意味をまとめ、固めてしまいます。すると、後からそれを修正あるいは加えるような情報(例えばthan以下の文等)が入ってきても、それまでの意味の変更を容易にはしません。このことが後に頭を混乱させることになるのです。それを避けるためには、ピリオドまでは息を切らずに一気に読むことが大事になります。つまり、音を下げずに抑揚をつけて最後まで読み切るわけです。そうすると、音が完全に落ちる、終わるまでは頭は働き続け、処理状態を保持し、続行することで、情報(意味)の修正も容易に行うことができるわけです。ですから、英文は一息で読み切ることがきわめて重要、否、必須と言えます。

いかがでしょうか。今回はDale Carnegie(デール・カーネギー)の言葉を使って、英文の理解の仕方ついてお話しました。言葉自体はその訳の通り、友人を作るには、他人に自分をアピールすることではなく、他人に対して興味を持つことが肝心であるというものです。つまり、自己中な人間には友達はできない、ということですね。He hit the nail on the head.(全くその通り!)

今回の英文、できれば覚えてください。いい言葉ですし、また、その意味がしっかり頭に残るまで読み、覚えることで、英語の理解の鍵になる多くのことを自然と習得できるはずです。Believe me, guys. It really works. This is all for today. See you, guys, in the next story very soon. Goodbye! nao