琵琶湖周辺における震災リスク

2017年09月06日 | 防災と琵琶湖

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9・3 公開シンポジウム「巨大震災は海洋沿岸の生物
にどのような影響を与えたか?東日本大震災から学んだ
こと

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❏ 琵琶湖周辺における震災リスク

   
 小泉尚嗣(滋賀県立大学環境科学部)※1

Jun. 27, 2017
1.はじめに

琵琶湖は,古琵琶湖と呼ばれる時代も含めると
数百万年
間,現在の形になってからでも約40万年間,「湖」
ありつづけている構造湖である.すなわち,長い目でみ

れば,不断に,琵琶湖の周問では断層活動(地震の発生)
があることになる.琵琶湖は地震のくり返しによ
ってで
きている湖であり,これからも地震を生じ
る湖でもある.

2.琵琶湖周辺の活断層
琵琶湖周辺には多数の活断層かある(図1)。これらの
断層の(十数万年~数十万年間の)平均的な活動間隔(
≒大地震の発生間隔)は,概ね数千年~1万年である.
琵琶湖の周囲には,10程度の活断層があるので,単純
に考えると,数百年~1000年に1回は大地震(マグニチ
ュード7以上の地腹)が発生していることになる.琵琶
湖周辺で発生した歴史地震を調べてみると1185年,1662
年、1819年と大地震が発生していて,1300年程度の日本
の泰史記録から見ても数百年に1回の大地震が琵琶湖周
辺では発生していることになる。直近の琵琶湖周辺での
被害地震は、1909年に発生したマグニチュード6.8の姉
川(江濃)地震であり,その後の約百年間は,大きな被
害を生じる地震は発生していない.この事が「滋賀県に
は地震が少ない」という一般的な滋賀県民の感覚につな
がっている.し
かし,それは,決して正しいものではな
い。

3.琵琶湖の周囲の地盤
琵琶湖の周囲は、比較的新しい堆積層で形成されており、
いわゆる軟弱地盤である.このような地盤は、
琵琶湖か
ら離れた場所で発生した地震に対しても揺れを増幅する
性質かある(図2)。今後30年間の発生確
率が70%と
考えられている南海トラフ(東海~四国冲)の巨大地震
では、滋賀県は震源域からかなり離れて
いるのにも関わ
らず、震度6弱以上の揺れが滋賀県の広い範囲で想定さ
れ,その場所は,図2の軟弱地盤の
分布とほぼー致して
いる.また,そのような場所では,地盤の液状化のリス
クも高い(滋賀県,2014)。
 
東南海・南海地震

4.まとめ
地質学的、歴史学的、地震学的にみても、滋賀県の地震
リスクは決して低くない。地震は、短期的には、
それま
で形成されてきた環境を破壊する。他方、,長期的にみ
れば、琵琶湖の環境を作ってきたともいえる。
一瞬の地
震発生による環境破壊と、それから続く長期の「地寝間
期(間地震期)」の環境形成を総合的に見る
といったこ
とも必要だと考える。

Naoji KOIZUMI (School of Env汁onmental Scienee, the univ.
Shiga Pref.)

Risk of earthquake disasters in and around Lake Biwa

【感想】

話はわかりやすかった。M7以上の地震発生確率は、自動
車事故より遙かに高い発生確率い。想定津波は、水深が
百メートルと海より浅く、最大で1.5メートル、それよ
り、天井川が多い河川の亀裂による二次災害の洪水が心
配という。
【エピソード】    

 
 

【脚注及びリンク】
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  1. 小泉尚嗣 滋賀県立大学環境科学部教授 
  2. 液状化予測図/滋賀県 2016.09.22 
  3. 滋賀県地震被害想定/滋賀県 2014.03.26
  4. 公開シンポジウム「巨大震災は海洋沿岸の生物に
    どのような影響を与えたか?東日本大震災から学
    んだこと」
  5. 滋賀県地震被害想定調査中間報告(震度分布等の
    推計結果)について 2013.10.07 
  6. 琵琶湖周辺の地下水システムの変動状況の把握と
    メカニズム解明  小泉尚嗣 2008.06.28
  7. 滋賀県出身の人物一覧 Wikipedia   

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