![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/ce/fe5728b865e75ee07aa8c438225e3753.jpg)
若狭から京都まで大量の塩さばが運ばれたことから名づ
けられた鯖街道。その朽木村の伝統料理は、塩さばをつ
かった鯖のなれずし。鯖のなれずしは、乳酸菌の塊で、
日本のチーズと呼ばれている。山椒とトチの葉で雑菌を
シャットアウトして半年~2年寝かせてつくる。その製
法はその土地で微妙にことなるが、「鯖のなれずし」は、
小浜市の沿岸部にある内外海地区に伝わる郷土料理で、
同地区の冬場、特に正月には欠かせない逸品。なれずし
は、主として魚介類を塩と米飯を混ぜて乳酸発酵させ
た保存食品であり、若狭の鯖以外にも全国各地それぞれ
の特色がある。若狭小浜の鯖のなれずしは、脂ののった
春鯖を一旦塩漬けしてから糠漬けし、約1年間熟成させ
てできた「へしこ」をさらに一晩塩抜きして皮を剥ぎ、
腹の中にご飯と糀を詰めて、10~14日樽に漬け込み完成
させている。小浜市のそれは、発酵食品特有の甘みと旨
みがあり、高級なチーズのような香りがするが、そのま
ま食べてもよいが、焼いて食べるとまた違った風味が楽
しめる。近年は、作り手の高齢化もあり、なれずしをつ
くる家庭が減少していることから、平成18(2006)年12
月21日、国際スローフード協会主催の、食の世界遺産と
いわれる「味の箱舟」に北陸では初めて認定されている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/f0/0cfe25e14251c5b6bec3978ddb6ab132.jpg)
これに対し高島市朽木村のなれずし(名人上田正・妙子
夫妻の家庭)は、お腹ががぺちゃんこの夏鯖を使う。さ
ばの脂が少ない時期、卵を産んだあとで脂も少なく痩せ
細った夏の鯖は乳酸菌の働きを助ける。(1)発酵中に
腐らないようごはん全体に塩を利かせる。(2)そして、鯖のお
腹おなか詰め込みやすいようごはんをだんご状に丸める。
その量、1匹につき1合。(3)ごはんをさばに詰め、
地元で採れた山椒の葉をしいたおけに並べる。山椒の葉
がごはんの腐敗を防ぎなれずしの長期発酵を可能にする。
(4)漬け込みが終わったら専用の発酵小屋へおけを移
し2年間置く(発酵環境を一定にしておかないと発酵菌
がうまく働かない)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/5f/beed41a3729fcc4147bdd13ac21f4b59.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/38/1f4a20fcce9c256d484f7368f3ccb535.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/b1/93c25d63e005d3c8cd85072edb432631.jpg)
上写真は、乳酸菌で身がとろとろに分解されたもの。こ
れぞ発酵がうまくいった証し。食べる前に冷凍庫で凍ら
せることで、型くずさせずきれいに切り分けることがで
きる。しばらく常温に置きほんのり冷たさが残るくらい
が食べ頃。一番のお勧めは鯖の頭。丼に移した頭にお湯を
注ぎかき混ぜて食す。ここは鮒寿司と同じだが糀はつかって
いない。なれずしのうまみ、酸味、塩けが、渾然一体となった
発酵スープに変身する。滋賀近江の国はなれ鮨の宝庫であ
る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/86/9759bf19fe52156a09601ff1d36efd3f.jpg)
【エピソード】
【脚注及びリンク】
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1. 若狭鯖街道熊川宿
2. 鯖街道、Wikipedia
3. 若狭街道・鯖街道|街道歩きの旅 鯖街道
4. ぶらりいい町|鯖街道・朽木村
5. 若狭春鯖のなれずし、北大路魯山人
6. 若鯖のなれずし|北陸の郷土食 知られざる北陸の食
7. 若うどきネットワーク「発酵漫遊記」の中から4つの
発酵食品を再度紹介する。 2014.03.25
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