スポーツクラブのプールへ通っていると、
自然と顔見知りの人の数が増えてきます。
僕は自分で言うのもナンですが、人からみると、
「話しかけやすい」タイプのようで、よくそう言われます。
とういうことで、いつもプールで顔を合わせる人たちには、
よく話しかけられますし、むろん僕も明るく返答します。
(自分から話しかけることは、あまりありませんけど…)
会話を交わす相手の7割~8割ぐらいは女性です。
プールは圧倒的に女性が多いので、そうなりますね~
見るからにコワそうなオバさんタイプから上品な奥様タイプまで、
まあ、さまざまなタイプの人たちがプールにいるわけですけれど、
先日、初めて見る女性が、いきなり僕に話しかけてきました。
こういうことも、きわめて珍しいのですが…
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「泳ぎがお上手ですね、ここに長く通っておられるのですか?」
そう言って、彼女は僕に向かって人懐っこい笑顔を浮かべた。
別に上手ではないけれど、初心者の人にはそう見えたのだろ。
「そうですね、えぇ…通算して2年半ぐらいでしょうか?」
すると彼女は今度は、「お名前はなんておっしゃるの?」
と言い「私はね、ミッちゃんというのよ。そう呼んでね」
いきなり名前を聞いてくる…という人は、あまりいない。
しかも自分のことをミッちゃんと呼ぶのも…なんだかねぇ。
プールへ通い始めて、こういう女性とは会ったことがない。
それでも僕は愛想がいいので(笑)笑顔で答えるのである。
「名前ですか…? ノボルと言います」
「ノボルさん? 愛称ってあります?」
「う~ん、家ではのんちゃんって…呼ばれてますけど」
ちょっと照れくさかったけど、雰囲気につられて言っちゃった。
「まあ、のんちゃんね~」
そう言って、次に聞いたのは
「ねぇ、のんちゃん、歳はいくつ…?」
いきなり「のんちゃん」って呼んで、次は年齢である。
あまりにも馴れ馴れしいというか、唐突ではないか…
「えぇ…? 歳ですかぁ」ちょっとね~。仕方ないな。
何しろ、僕は愛想がいいのだから、答えるほかはない。
…で、昭和24年生まれ…だと伝えたら、ミッちゃんは、
「まぁっ、あたしと同じなんだぁ!」と声を高めた。
「それで、それで、何月生まれ?」と続ける。
「1月です」と僕が答えると、ミッちゃんは、
「えっ、マジで…? あたしも1月よ」
と、ますます目を光らせて、
「で、1月の何日なの?」と「追求」を続けるのだ。
「まさか、同じ日じゃないでしょうね」と言いながら。
僕が「1月9日ですよ」と言えば、「あ…」とため息を漏らし、
「あたしは1月2日なのよ…」と、そこでトーンが落ちた。
「でもね…」と今度は僕がミッちゃんに、
「2日と9日ならちょうど1週間違いだから」
「ふ~ん、そうね、何かの縁があるってこと」
と、この1週間年上の女性はまたニコっと笑った。
それ以来、ミッちゃんは他の人が大勢いるところで、
「のんちゃん、おはよう!」などと大きな声で言うので、
まわりの、以前から顔見知りの人たちが驚いた顔をする。
どうもミッちゃんは普通の主婦ではないな、と思って、ある時、
「何かお仕事をしておられるんですか…?」と尋ねたら、
「居酒屋をしてるんですわよ、おほほ」
と、お上品な仕草で手を口に当てて笑ってみせた。
ふ~む。やっぱり…
居酒屋のおかみさんだったんだ。
最初からそういう雰囲気だった。
「どこでやっているのですか?」
店の名を聞いて、えぇ~っと思った。
駅から歩いて10分ぐらいの所にある〇〇という店だった。
その店には、何度か行ったことがある。
ミッちゃんがそこのおかみさんだったとは…顔はよく覚えていないが、
今まで何度かその店で顔を合わせているわけだ。
むろんミッちゃんも僕の顔はわからないみたいだった。
(プールでは水着姿でキャップを被っているので余計にわからない)
「お宅のお店へ、何回か行ったことありますよ」
「ほんと? それはそれは、ありがとうございます」
数日後のある夜、その店に行ってみた。
奥のほうからミッちゃんが出てきて、
「あ~ら、のんちゃん、いらっしゃ~い!」
プールで覚えたてのクロールにもがき苦しんでいる姿より、やはり、
ミッちゃんは居酒屋でのおかみさん姿の方が、似合っていましたね~(失礼!)
プールにもいろいろな人が来ておられるのですネ。どこで会うかわかりませんでー。のんさーん、悪いことは出来ませんよぉ (笑
みっちゃんの明るいキャラがいいです
母にも、読んで聞かせたら大爆笑してましたよ
ほんまにね~、悪いこと、できませんな。
どこで誰が見ているかわかりませんからね。
って…なんでやねん~
ただ、プールではすっぴん、居酒屋ではお化粧。
そのギャップは……言いません、言いません!
お母様もお元気そうで何よりです。
よろしくお伝えくださいね~