なあ。
あほやな。
何、考えてるん。
なんで、俺のいうこと、ちゃんと正面から聞こうとせぇへんねん。
大丈夫やで。
言うたやろ。
俺には、今のこのペースが性に合うてんねん。
ゆーっくり、でええんや。
ゆーっくりで。
周りばっかりみて、人と比べて、じたばた焦ってみたところで、
変わるモンなんか、何ひとつあらへん。
変わる時には、すぱっと流れが変わるもんや。
そんなことくらい、おまえかて分かってるやろ。
せやのに、なんで、そんなに不安そうなことばっかし言うてんねん。
ああ。分かった。
寂しいんやろ。
あほやなぁ。
3ケ月も続けてCD出してんやぞ。
俺の歌声なんか、なんぼでもあるやん。
何回でも繰り返し聴けるやろ。
いつでも、そばにおるって。
どんな歌も、どんな歌詞も、ぜんぶお前に向けて歌ってるんやで。
俺の想いが全部、お前に届くように。
受け止めてくれるように。
いっつも傍にはおってやれへん。
いっつも、は、無理やんな。
それでも、傍におってやりたい気持ちは持ってるんや。
うん、持ってる。
持ってるけど。
そればっかりになったら、苦しいやろ。
そこが逃げ場になったらアカン、
そう思うてる。
なあ。
歌ってる俺が好きや、って。
そう、言うたよな。
そう言うてくれて、ほんまに、嬉しかった。
いろんなことがあって、
いろんな思いをして、
いろんなもん捨てて、それでも俺に残ってたもん、
それは、俺にとって一番大事なもんやった。
分かってくれてるんやなぁって思ったら、
一緒に、大切にしてくれてるんやなぁって思ったら、
なんや、生きてんのも悪くないなぁって。
今は、な。
今は、ここでええねん。
どんな歌でも、誰が書いた歌詞でも、どれほどの音でも、
俺は、精一杯、歌うだけやねん。
俺に与えられた・・・なんていうの、その・・・使命感みたいなもんを楽しめてる。
ああ、そうや。
俺、楽しいねん。
ゆーっくりしたペースやけど、一個一個、目の前にあるモン、俺のものにしてく楽しみ。
周りも、それを許してくれてる。
それさえ許されへん時はシンドイもんや。
そういうシンドさでいっぱいになったら・・・
ああ、分かってる。
分かるんやろ?表情に出るんやろ?
自分でもわかるんやから、他人にも分かるよな、そら。
な?
俺の顔、見てみ?
ちゃうやろ?
そんな時の顔と、俺、ちゃうやろ?
こうみえて、
ちゃんと大人にはなってきてんねん。
自分のやりたいことと、やらなアカンことと、折り合いをつけられるくらいには、な。
だから、もうそんな心配せんでもええで。
そんな心配してる顔、もうお前にはさせへん。
俺は、俺の声を待ち望んでくれてるお前が好きやで。
俺の歌聴いて、幸せそうに微笑う、お前が大好きやで。
・・・なんや、恥ずかしいわ。
アカン、
アカン、
止めや、止め、止め!
なんでこんな話になったん?
あ。
ほれ、ドラマ、終わってもうたやん。
今日、あいつの大事な見せ場やったのに、
あ~あ、もう、アカンやん。
次のワンコのやつ、ちゃんと見ようや。
な。
こっち、おいで。
ここ、空いてるで。