このところ、私はアルトサックスの練習に余念が無い。
同級生で結成したばかりのバンドで、初めて挑戦することになったからだ。
得意のフルートとは違い、なかなか難しい。
指使いは似たようなもんだが、息が続かないのだ。
年を取ってから何かを始めるって、こんなにも大変だったのか…と改めて思い
何気なく吹いていたブラスバンド時代の仲間を今さらながら尊敬する。
練習は夜、周囲に民家の無い夫の会社でやる。
私の“妙(たえ)なる調べ”は
家族から「家畜殺害現場」と呼ばれているからだ。
否定できないところがつらい。
先日、盆休みでヒマだった長男もついてきた。
この子もヤマハ音楽教室出身で、まあまあの音楽好き。
やっぱり血は争えないわ~…と思っていたら
自分が会社にいた頃、置いたままにしていた車の部品を探す目的であった。
ガサゴソやってるうちに、ヤツは見てはならぬものを発見してしまった。
夫のへそくりを入れた通帳である。
倉庫の片隅に押し込まれた、小さな袋の中にあったと言う。
私が事務所で練習するようになったので、やむなくそこに隠したと思われる。
申し訳ないことをした。
赤い布製の袋には、通帳と共に
どこかの鍵やら、ホテルの割引券やら
あの一世を風靡した懐かしいお薬…バイアグラのボトルもあった。
夫にすれば、秘密を詰めたロマンの袋なのであろう。
「こんなモン飲んでまで、頑張らんでも…」
二人で大笑いする。
色々種類があるのかもしれないが、バイアグラは青い錠剤だと初めて知った。
「早く元どおりにしときなさいよ、そのロマンスセットを…」
「ロマンスセット!ギャハハハ!」
しかし、長男は通帳を見て、まだゲタゲタ笑っている。
「だって…これ、見てみ」
記帳されている名前である。
“○○ツルコ”
この名前で、毎月末に1万円ずつ入金されていた。
先月、夫が長男の古い軽自動車を与え
その車で川に転落して骨折したあの女性である。
その名前を知った時は「ウソだろ?!」と叫び、思わず吹き出した。
修理工場の人から直接聞いた長男も、改めて目にして
可笑しさもひとしおらしい。
ツルコ(実名)という名前は、年配には珍しくないかもしれないが
名字と合わせてフルネームで呼んだら、困ったことになる。
こうしてカタカナで書いてあると、ますます強烈。
結婚してこんな事態になったんだろうが
ナンカ吊っちゃう…という意味になってしまう。
不可抗力とはいえ、どこへ行っても苦笑され続けた半生であろうよ。
結婚し直して、名字を変えたいと思ったところで無理もないと思われる。
苦節何十年…やっとこさ物好きが現われて希望の光射す…
おケガをなさらなかったら、もしや面白いことになっていたかも…
少々惜しい気がする。
夫は付き合う女性を「姫」と呼んで持ち上げる習慣がある。
相手がザンネンであればあるほど、その効果は絶大らしい。
では、さしずめこのお方は「ツル姫さま」か。
昔“少女フレンド”だったか、土田ヨシコという人が描いた
「つる姫じゃ~!」というマンガがあったっけ…と懐かしく思い出す。
数ヶ月に渡り、1万円ずつ入金があるからには
金を貸したのであろう。
振り込みが始まる前月に、10万の引き出しがある。
この7月の入金は無かった。
入院中なので、振り込みが出来なかったのであろう。
お気の毒にのぅ…合掌。
会った時に渡せばいいのに、わざわざ手数料払ってまで
律儀に通帳へ振り込むなんて、さすが年寄り。
10万を男に借りなければならないお暮らしをなさっているのだなぁ…
名実ともに、ザンネンの王道を行くお方なのだわ…
いや、無利息だからいいのか…
大金でなく、10万というところがかわいらしいではないか…
私ならもっと…へっへっへ…などと余計なことを考える。
とりあえず出した結論…
残高がまだあるので、当分小遣いは減らすべ。
同級生で結成したばかりのバンドで、初めて挑戦することになったからだ。
得意のフルートとは違い、なかなか難しい。
指使いは似たようなもんだが、息が続かないのだ。
年を取ってから何かを始めるって、こんなにも大変だったのか…と改めて思い
何気なく吹いていたブラスバンド時代の仲間を今さらながら尊敬する。
練習は夜、周囲に民家の無い夫の会社でやる。
私の“妙(たえ)なる調べ”は
家族から「家畜殺害現場」と呼ばれているからだ。
否定できないところがつらい。
先日、盆休みでヒマだった長男もついてきた。
この子もヤマハ音楽教室出身で、まあまあの音楽好き。
やっぱり血は争えないわ~…と思っていたら
自分が会社にいた頃、置いたままにしていた車の部品を探す目的であった。
ガサゴソやってるうちに、ヤツは見てはならぬものを発見してしまった。
夫のへそくりを入れた通帳である。
倉庫の片隅に押し込まれた、小さな袋の中にあったと言う。
私が事務所で練習するようになったので、やむなくそこに隠したと思われる。
申し訳ないことをした。
赤い布製の袋には、通帳と共に
どこかの鍵やら、ホテルの割引券やら
あの一世を風靡した懐かしいお薬…バイアグラのボトルもあった。
夫にすれば、秘密を詰めたロマンの袋なのであろう。
「こんなモン飲んでまで、頑張らんでも…」
二人で大笑いする。
色々種類があるのかもしれないが、バイアグラは青い錠剤だと初めて知った。
「早く元どおりにしときなさいよ、そのロマンスセットを…」
「ロマンスセット!ギャハハハ!」
しかし、長男は通帳を見て、まだゲタゲタ笑っている。
「だって…これ、見てみ」
記帳されている名前である。
“○○ツルコ”
この名前で、毎月末に1万円ずつ入金されていた。
先月、夫が長男の古い軽自動車を与え
その車で川に転落して骨折したあの女性である。
その名前を知った時は「ウソだろ?!」と叫び、思わず吹き出した。
修理工場の人から直接聞いた長男も、改めて目にして
可笑しさもひとしおらしい。
ツルコ(実名)という名前は、年配には珍しくないかもしれないが
名字と合わせてフルネームで呼んだら、困ったことになる。
こうしてカタカナで書いてあると、ますます強烈。
結婚してこんな事態になったんだろうが
ナンカ吊っちゃう…という意味になってしまう。
不可抗力とはいえ、どこへ行っても苦笑され続けた半生であろうよ。
結婚し直して、名字を変えたいと思ったところで無理もないと思われる。
苦節何十年…やっとこさ物好きが現われて希望の光射す…
おケガをなさらなかったら、もしや面白いことになっていたかも…
少々惜しい気がする。
夫は付き合う女性を「姫」と呼んで持ち上げる習慣がある。
相手がザンネンであればあるほど、その効果は絶大らしい。
では、さしずめこのお方は「ツル姫さま」か。
昔“少女フレンド”だったか、土田ヨシコという人が描いた
「つる姫じゃ~!」というマンガがあったっけ…と懐かしく思い出す。
数ヶ月に渡り、1万円ずつ入金があるからには
金を貸したのであろう。
振り込みが始まる前月に、10万の引き出しがある。
この7月の入金は無かった。
入院中なので、振り込みが出来なかったのであろう。
お気の毒にのぅ…合掌。
会った時に渡せばいいのに、わざわざ手数料払ってまで
律儀に通帳へ振り込むなんて、さすが年寄り。
10万を男に借りなければならないお暮らしをなさっているのだなぁ…
名実ともに、ザンネンの王道を行くお方なのだわ…
いや、無利息だからいいのか…
大金でなく、10万というところがかわいらしいではないか…
私ならもっと…へっへっへ…などと余計なことを考える。
とりあえず出した結論…
残高がまだあるので、当分小遣いは減らすべ。