夫の叔父…正しくは義父の妹の配偶者が、今、病気で死にそうだ。
気さくな叔母とは仲良くしているが、この人とはあまり馴染みが無い。
なぜなら彼も叔母もちゃんと仕事をし、子供たちも立派に育ったので
小商いをする兄弟に依存する必要がなかったからである。
「もう危ない」と言われながら、夫の両親が先に見舞うまで
我々夫婦の見舞いは止められていた。
だったら早く行けばいいのに、義母が「その気になれない」と言う。
伯母…つまり小姑には、大昔、まだ新妻だった頃に
ナンカきついことを言われたつらい記憶があるので
なかなか足が向かないそうだ。
何を甘ったれたことを言っておるのだ…
だったら、あんたの生んだ小姑はどうなるんだ…
私が「その気になれない…」なんてグズグズしてたら
あんたたちは腐乱死体かミイラだぞ…とも思うが
なにしろ義母は繊細?だから仕方がない。
やっと許しが出て、日曜日に夫と病院へ行ったが
叔父はすでに意識不明で寝ていた。
「あ~ん!やっぱり!もう話が出来ないじゃんっ!」
為す術(すべ)もなく立ち去り
お見舞いを渡すために、その妻である叔母の家に向かう。
車でしくしく泣いて、夫にうるさがられる。
叔母の家のドアを開けると
劇的にかわいいトイ・プードルが顔を出した。
涙…瞬時に引っ込む。
間近で見るのは初めてだ。
友達の家に一匹いるが、土佐犬みたいに大きくて怖い。
友達はそいつをトイ・プードルだと言い張るが、私はかなり疑っている。
「息子が会社の人からもらって来たのよ~」
瀕死の叔父のことも忘れ、3人、犬の話でしばらく盛り上がる。
叔父の話になると
「みんな一回は通らないと、死ねないもんね~。
あ、あんたたち、こんな犬が欲しいなら、頼んでみてあげるよ」
現実逃避ではなく、サバサバした性格なのだ。
残される叔母さんのことは任してください…
自分の身の丈も考えず、死にゆく叔父にそう誓う。
そういえば、別の親戚にも同じこと言ったな…
老後を不安がるあの人にも言った…この人にも一緒に住もうと言った…
数え直すと、夫の親戚だけで4人くらい口走っている。
友達にも5~6人。
親を加え、自分も入れると、総勢10数人の大所帯だ。
今のところは、幸いみんな持ちこたえている。
何人かはそのうちに欠けるとして…などと醜く算段。
それまでに私が先に死んでおくという手もあるが
こればっかりはどうにもならない。
もし生き延びたら、ウソ言ったみたいで嫌だしな…。
いっちょドカ~ンと老人ホームみたいなのを作るか…段ボールで。
場所は、以前から目を付けておいた橋の下。
もちろん私もそこで暮らす。
みんな、嫌だって言うだろうな~…ひひひ…
本当は、誰も人の世話になろうなんて思ってやしない。
でも、そんなことを考えていると、楽しくなる。
気さくな叔母とは仲良くしているが、この人とはあまり馴染みが無い。
なぜなら彼も叔母もちゃんと仕事をし、子供たちも立派に育ったので
小商いをする兄弟に依存する必要がなかったからである。
「もう危ない」と言われながら、夫の両親が先に見舞うまで
我々夫婦の見舞いは止められていた。
だったら早く行けばいいのに、義母が「その気になれない」と言う。
伯母…つまり小姑には、大昔、まだ新妻だった頃に
ナンカきついことを言われたつらい記憶があるので
なかなか足が向かないそうだ。
何を甘ったれたことを言っておるのだ…
だったら、あんたの生んだ小姑はどうなるんだ…
私が「その気になれない…」なんてグズグズしてたら
あんたたちは腐乱死体かミイラだぞ…とも思うが
なにしろ義母は繊細?だから仕方がない。
やっと許しが出て、日曜日に夫と病院へ行ったが
叔父はすでに意識不明で寝ていた。
「あ~ん!やっぱり!もう話が出来ないじゃんっ!」
為す術(すべ)もなく立ち去り
お見舞いを渡すために、その妻である叔母の家に向かう。
車でしくしく泣いて、夫にうるさがられる。
叔母の家のドアを開けると
劇的にかわいいトイ・プードルが顔を出した。
涙…瞬時に引っ込む。
間近で見るのは初めてだ。
友達の家に一匹いるが、土佐犬みたいに大きくて怖い。
友達はそいつをトイ・プードルだと言い張るが、私はかなり疑っている。
「息子が会社の人からもらって来たのよ~」
瀕死の叔父のことも忘れ、3人、犬の話でしばらく盛り上がる。
叔父の話になると
「みんな一回は通らないと、死ねないもんね~。
あ、あんたたち、こんな犬が欲しいなら、頼んでみてあげるよ」
現実逃避ではなく、サバサバした性格なのだ。
残される叔母さんのことは任してください…
自分の身の丈も考えず、死にゆく叔父にそう誓う。
そういえば、別の親戚にも同じこと言ったな…
老後を不安がるあの人にも言った…この人にも一緒に住もうと言った…
数え直すと、夫の親戚だけで4人くらい口走っている。
友達にも5~6人。
親を加え、自分も入れると、総勢10数人の大所帯だ。
今のところは、幸いみんな持ちこたえている。
何人かはそのうちに欠けるとして…などと醜く算段。
それまでに私が先に死んでおくという手もあるが
こればっかりはどうにもならない。
もし生き延びたら、ウソ言ったみたいで嫌だしな…。
いっちょドカ~ンと老人ホームみたいなのを作るか…段ボールで。
場所は、以前から目を付けておいた橋の下。
もちろん私もそこで暮らす。
みんな、嫌だって言うだろうな~…ひひひ…
本当は、誰も人の世話になろうなんて思ってやしない。
でも、そんなことを考えていると、楽しくなる。