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婆ネタ・1

2025年02月01日 09時15分35秒 | みりこんぐらし
「また婆ネタかよ…」

実家の母サチコ関連の記事をアップすると

お立ち寄りくださる方々の溜め息が聞こえそうだ。

本当に申し訳ない。

いつも我慢してくださって、本当にありがとうございます。


そう言う私だって、よその年寄りの話なんか面白くないもんね。

特にサチコのような人物の話は、胸くそ悪いぞ。

だけど、書くのは面白い。

壊れた年寄りが何を考えているか…

介護関係者が何を求めているのか…

その時は全然わからなくて当惑するんだけど

後で「なるほど」と納得することがよくあるのだ。

これがしゃべらずにおられようか。


自宅の姑に実家のサチコ…

二人の老女にかまける状況でも、唯一の趣味は続けられる。

それは人間観察。

生きとし生けるものの心模様や、世の仕組みを知るという

腹の足しにならないことが好きな私にとって

老人を媒体にもたらされる新しい知識は

厳しい日々の中で与えられる、小さな糧なのかもしれない。



さて91才のサチコが、認知症と鬱病で前後不覚となった現在

安全を確認した地元の人々は、徐々に本音を口にし始めた。

近所、趣味の仲間、商売などでサチコと長く関わってきた人たちが

その激しい気性を恐れ、引き、遠巻きにしてきたのがよくわかる。

皆、優しいのでダイレクトな表現ではないが

表向きではサチコを気遣う言葉の端々から、それを感じる。

「この人たちは何もかも、わかっていたんだな…」


サチコが壊れて以降、実子が寄りつかなくなったのも

存在を消されていた継子が急に現れたのも

「あのサチコさんなら、そうだろう」

と納得され、誰も不審に思わない様子。

説明不要の安堵感は、糧の一つである。


今まで未知の世界だった介護業界のあれこれを知るのも、やはり糧。

昨年、サチコが要介護2と認定されて以来

デイサービスだのケアマネだの、初めてづくしで

何もわからなかった私だが、やっと少しわかってきた。

ケアマネって、ズタズタの年寄りとその家族の救世主じゃないのね。

施設と利用者の間に入って何をするかというと

施設が円滑に運営できるよう

利用者との兼ね合いを調節するお仕事なのね。


老人の世話で疲弊している子世代が

優しく導いてくれるケアマネを信頼するのは無理もない。

しかし地獄に仏とばかりに、ありがたがったり

親孝行な子供と思われたくて

何もかもあの人たちの言う通りにしていたら、えらいことになる。


ケアマネだって人間だから、利用者や家族との相性によって

当たり外れがあるという。

サチコに付いたベテランのケアマネは、誠実でいい人だ。


しかし寂しい寂しいと訴え続け、問題行動を起こすことで

誰でもいいから無給の召使いをゲットしたいサチコとは

一定の距離を取りながら、できる範囲で関わるスタンスを

保ちたい私には手強い相手。

「これこれこういうことがありましたから

今日、様子を見に行ってあげてください」

「これから電話で事情を聞いてあげてください」

うっかりしていると、頻繁な訪問や電話を指導され

サチコとの距離を縮められてしまうため、油断できない。


けれどもそれは、サチコが関わっているのが老人ホームと違い

小規模多機能型居宅介護施設…通称ショウタキだからだ。

“小規模”というからには、少人数の利用者を対象に

少人数の職員で運営する施設。

“居宅介護”というからには、自宅で生活を続ける人のための施設。


日本は凄まじい高齢化に対応できず、完全入居できる老人施設が足りない。

だから政府は、要介護度の認定をなるべく進ませない方針に決め

やたらと自宅での生活を推奨するようになった。

しかしヨレヨレの老人が一人で生活するのは、誰が考えても大変だ。

特に困るのが風呂と食事。

老人を自宅で生活させなければ、商売は成り立たないので

その鬼門である風呂と食事を

デイサービス、宿泊、弁当の配食といった“多機能”でカバーし

自宅生活をサポートするのが、このショウタキという施設らしい。


転倒、ヒートショック、事故、火事などの危険から

老人を守るという建前があるので

施設の目や手が行き届かないところは、家族がカバーすることになる。

多機能によって至れり尽くせり

ありがたい施設であることに異論は無いが、結局のところ何かあるたびに

家族の負担は一つ、また一つと増えていき

確か別居しているはずが、知らず知らず同居と似た状況に近づいていく。

そんなショウタキの現実を知ったのも、やはり糧の一つである。

《続く》

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2 コメント

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Unknown (モモ)
2025-02-03 10:25:53
私はサチコさん&ヨシコさんネタ、大好きですよ~

いずれ通る道・・・
というか、現在進行形に近づきつつありますが、やれるものがやるしかない!と、腹をくくっています。
私が戻って来てから、充分にしてもらっていますから。
年を重ねて変わる心理を、教えてくださり有り難いです。
返信する
Unknown (みりこん〜モモさんへ)
2025-02-03 21:38:42
婆ネタ、大好き?ほんと?嬉しい〜!
じゃあ遠慮しないで書く〜!

そうなんですよね。
やれる者がやるしかない。
やらない者は何が何でもやらないし。

まだ時間的猶予はありそうですから
できればご兄弟でお互いの役割を
真剣でも冗談でも、少しずつ話し合っておく方が
いいかもしれません。

私の場合、姉妹とは長年の音信不通から
いきなり介護に突入し、必要にかられて
連絡を取るようになったのでジレンマがありました。
一つ下の妹「姪の京子ちゃんにも協力してもらったら?
本当は手伝いたくても、姉ちゃんが頑張っとるけん
手を出したら悪いと思ってるかもしれんよ」
アホか…とっくに逃げたわ!

実子のマーヤ「大変ですね。いつもありがとう」
アホか…本来ならあんたの仕事じゃ!

やる者とやらない者のズレ、わかります?
介護が厄介になるにつれて、このズレは
どんどん大きくなっていくんですよ。
初動は大事です。
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