仲良し同級生で結成する5人会の一人
横浜へ引っ越したけいちゃんが、親の法事で帰省した。
実家を片付けるために帰省した、去年の6月ぶりだ。
けいちゃんが法事を済ませた先日の夜
マミちゃんを除く4人のメンバーは町内のファミレスへ集合した。
料理屋でなくファミレスを選んだのは
翌朝からけいちゃんとマミちゃんが
一泊で四国の道後温泉へ出かけるから。
体力温存のため、カジュアルに済ませることになった。
「今回は帰省のついでに、道後温泉まで足を延ばしたいんやわ」
足が無いにもかかわらず、ドライブ旅行を希望するけいちゃんに
一同が少々鼻白んだのはともかく、急なことなので
ユリちゃんは「お寺の留守番がいない」
モンちゃんは「月末は仕事を休めない」
私も実家の母サチコを連れて病院へ行く日だったので
それぞれ不参加を表明。
残ったのが、旅好きのマミちゃんだった。
快く運転を引き受けた優しいマミちゃんは
翌日からの運転に備えて、この夜の会合は欠席した。
年を取ると運転がこたえるのよね。
さて、ホテル泊まりのけいちゃんを迎えに行き
ファミレスで待っていると、モンちゃんとユリちゃんもやって来た。
と、ユリちゃんは何やら大きな紙袋を持っていて
「これ、前に言ってたブーツ」
そう言いながら、私に差し出す。
何のことやら全く覚えが無いのだが
ユリちゃんの話では、親戚からもらった中古のブーツを
私にくれるということらしい。
「良いメーカーだし、あんまり履いてないから状態はいいのよ」
ユリちゃんは言う。
が、今でこそ寄る年並みには勝てずスニーカー派になったものの
レディース・マドラスや銀座ヨシノヤ
ランバンやカルバン・クラインの靴で生きてきた私だ。
あんまり聞かない国産メーカーの
しかも見ず知らずの他人が履いた中古のブーツなんていらないよ。
それでもユリちゃんの強い勧めで、とりあえず中身を拝見させていただく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/4c/bbc8fd84d723e51d01b7e70655070edc.jpg)
ウッ!紫色!
生地はスウェード風で
ブーツというより足首までのハイヒール。
これって昔、中森明菜が歌う時に履いてたようなやつじゃん。
いにしえ臭と使用感だけはたっぷりだ。
よう、こんなの買うたわ。
よう、こんなの人にやろうと思えるわ。
頭は大丈夫か?
突き返すわけにもいかないので、とりあえず受け取った。
家で捨てればいいことだ。
私もナメられたものよ。
「来年もいつも通り、3日にお雑煮会があるから、よろしくね!」
ナメついでに、ユリちゃんは正月の話をした。
毎年、正月の3日はユリ寺で初勤行が行われる。
その時、集まった檀家さんたちと
お餅を入れた鍋をいただくお雑煮会が恒例。
私がこの鍋物作りに駆り出されるようになって、数年が経つ。
ほら、うちらってバカだから
誘われるままに夫婦でノコノコ行ってたのよ。
二人してタダ食いでは申し訳ないので5千円のお布施を捧げ
集まった一同の食事をほぼ私一人で作っていたのさ。
食べるだけの夫は、なぜかこの会を気に入っていたけども
年々高まるユリ寺の要求に、わたしゃしんどかったさ。
ボロい靴を押し付けられた忌々しさもあって
この話は即座に断る。
「今回は無理じゃわ」
本当なのだ。
実家の母サチコがお世話になっているデイサービスは
年末年始の6日間、完全休業するという。
デイサービスと宿泊はもちろん、毎日、昼と夕方に届く弁当も休みだと
プリント1枚で伝えられた。
つまり大晦日から翌年5日までは
介護や食事の世話を家族がすることになるのだ。
“悪しからずご了承ください”
そう書かれたプリントを見て、愕然とした私。
大晦日から元旦は一人じゃ寂しいだろうから施設に泊まらせ
あとはデイサービスでやり過ごし…
などと皮算用していたというのに、ガラガラと崩れたでねぇか。
ガラガラと崩れたのは、私だけではない。
「私は行く所が無い…」
ようやく慣れてきたデイサービスの習慣が途切れると知ったサチコは
それ以来、非常に不安定だ。
普段は至れり尽くせり、鬱陶しいほど親切だけど
突如として、こういう素気ないことをする…
それが小規模多機能居宅介護施設。
プリントと一緒にもらった12月の予定表には
休業する6日間、赤い字で当然のように“家族支援”と書いてある。
やかましいわ。
「ショウタキは、ワンオペだと大変よ」
お寺の料理番仲間、梶田さんが言ったことを改めて思い出す私だった。
この措置に落胆した私だったが
お雑煮会の欠席を知ったユリちゃんの落胆も、負けずに激しかった。
「え〜?!じゃあ来年は、私と義姉がお鍋の用意をしないといけないの?」
当たり前じゃろが。
これを言い訳に、もう二度とお雑煮会には行かんもんね。
施設の正月休みはショックだったが
お雑煮会の悪習慣が終わった幸運を噛み締めながら
楽しい女子会は終わった。
ついでのように、奉仕を求めるのも、選民意識の表れでしょうか。
お前がやれよ、お前しかいないだろう。それが選民の奉仕やけん、頑張ってね~と、ちょっときつめに突っ込んでました。
デザインが古くさい上に、くたびれているので
私には無理です笑
デザイアー!爆
お雑煮会まで依存されている意識は無かったんです。
いつものお寺料理と違って鍋物は簡単だし
誰でもできるという軽い気持ちでやっていたんですが
正月も完全に飯炊き要員だったんですね。
何だかびっくりしました。
そうじゃ!そうじゃ!
お前がやれよ!お前しかいないだろう!