
夫と県北の公園に赴いた。
いつも二人で出歩いているようだが
仕事先までの距離を測ったり、交通事情を把握しておく必要があり
そのついでに足を伸ばすのだ…と言い訳しておこう。
広い公園は、地域の物産を扱う店や飲食店などがあって
ちょっとした観光地になっている。
そこで私は、オシャレな感じのカフェに入りたくなった。
漂うカレーの香りに誘われてしまったのだ。
我々の間には、経験に裏打ちされた定説がある。
田舎、第三セクター、洋風建造物、おぼえにくい名前…
これらの条件を満たした飲食店はハズレ…というものである。
その理由はさまざまあるが、第3セクターという
責任の所在の不明瞭さからくるソフト面の不備が大きい。
「こら!待て!」
夫の制止を振り切り、フラフラと店内の人となる。
周囲には、陽気に誘われてやってきた人々がいっぱいだというのに
この店だけが閑散としている。
外から見て、そこそこ人がいるように見えたのは
客より大人数の店員であった。
洒落た籐製の椅子は、ヒザがテーブルの足につかえて
どうしてもまっすぐ座れない。
見回せば、もう一組いる客も斜め座りだ。
大柄は、こんな時に難儀じゃ。
私は上体正面・ウエスト90度ヒネリのワザにて対応。
夫は上体、下肢ともに正面を向くべく
大開脚の大ワザに挑むが、股関節の柔軟性に欠け、断念。
店は、デザインと予算重視の結果
客に不自由を強いる方針を選んだようだ。
そのほうが長居も防げるというわけである。
メニューは、飲み物の他に
スパゲティーセットとカレー、ハヤシライス
あとはホットケーキぐらいしか無い。
出ないものをどんどん削って行ったら、結局これらが残ったという感じ。
私は迷わずカレーを、夫はホットケーキとコーヒーを注文した。
カレーはどこで食べても、そう大きな失敗は無い。
ここのは、外まで香りが流れていたので手作りらしい。
厳密に言えば、出来合いのベースに野菜を投入してある。
私の好きなサラッとしたタイプで、けっこうおいしかった。
気の毒なのは夫。
どうもホットケーキがホットじゃないらしい。
いつまで待ってもバターは溶けずに、かしこまった正方形を保つ。
夫は仏頂面で、バターにはじかれたシロップが
ダラダラと皿へ流れゆくさまをじっと眺めている。
コーヒーにミルクはついていなかった。
いや、夫をひと目見るなり、コーヒーにミルクを入れない主義と察知したのかも。
さすがプロの勘と心配り…イヤミです。
ヒマそうな店員達に、ホットケーキがコールドケーキなのを言ってやりたいが
二人で目を見合わせて、我慢する。
「ダメな店に改善のチャンスを与えてはならん」
こんなところは、意見がピッタリ合う我々なのだ。
夫が手をつけないので、いやしい私はそれも食べた。
ひんやりと解凍未満の、斬新な味であった…イヤミです。
まっすぐ座らずにものを食べるのは、けっこうつらい。
早々にレジへ行くと、30代半ばの派手で美しい店員が電話中だった。
仕入れの注文を電話で話しながら、お会計。
ここでムッとするのは、人間道の初心者である。
山里で寄せ集められたパートという印象の、素朴な店員達の中で
髪もキャビンアテンダント風に結って
一人毛色をたがえ、君臨しておられるご様子。
この横柄…いや、風格は、リーダーの証であり
注意する者が誰もいないままにのさばっ…いや、栄華を極めたと察する。
誰一人、サポートに来ないのは、もつれた人間関係に加え
原則として、彼女しかお金の扱いと仕入れが出来ない立場が原因と思われる。
経営陣の誰かの女だと考えて楽しむ。
そのほうが面白いし、けっこう当たっているのだ。
レジ係様は、受話器を持ったまま、金額を指さす。
私は財布から5千円札を出そうとし、千円札があったので引っ込めると
「あ!それ、いるいる!」と言う。
5千円札がいるのかと思ったら、電話の相手に言っているのだった。
気が弱く!おとなしい!私は、レジ係様のお電話のお邪魔にならぬよう
ピッタリ1470円を置いて出口に向かう。
しかし、自動ドアが開かない。
つい今しがた、ここから出たはずの夫が魔法使いに思える。
夫はドアの向こうで、なかなか出て来ない私をいぶかしげに見ている。
早く二人で、この店の“感想”を話し合いたいのだ。
私もよ…待ってて…夫。
ダメな店に改善のチャンスを与えないと誓い合った我々であるが
出られないんじゃあどうしようもない。
お電話のお邪魔はしたくなかったものの、レジ係様にその旨を申し上げる。
「あら、また?」
と言いながら、さすがに受話器を置いた彼女。
しゃがんでドアをガタガタゆすると、無事、ドアは開いた。
…やっとシャバに出られた喜びを噛みしめる私。
はからずも「別の意味でお気に入りのお店」コレクションが
ひとつ増えてしまった。
いつも二人で出歩いているようだが
仕事先までの距離を測ったり、交通事情を把握しておく必要があり
そのついでに足を伸ばすのだ…と言い訳しておこう。
広い公園は、地域の物産を扱う店や飲食店などがあって
ちょっとした観光地になっている。
そこで私は、オシャレな感じのカフェに入りたくなった。
漂うカレーの香りに誘われてしまったのだ。
我々の間には、経験に裏打ちされた定説がある。
田舎、第三セクター、洋風建造物、おぼえにくい名前…
これらの条件を満たした飲食店はハズレ…というものである。
その理由はさまざまあるが、第3セクターという
責任の所在の不明瞭さからくるソフト面の不備が大きい。
「こら!待て!」
夫の制止を振り切り、フラフラと店内の人となる。
周囲には、陽気に誘われてやってきた人々がいっぱいだというのに
この店だけが閑散としている。
外から見て、そこそこ人がいるように見えたのは
客より大人数の店員であった。
洒落た籐製の椅子は、ヒザがテーブルの足につかえて
どうしてもまっすぐ座れない。
見回せば、もう一組いる客も斜め座りだ。
大柄は、こんな時に難儀じゃ。
私は上体正面・ウエスト90度ヒネリのワザにて対応。
夫は上体、下肢ともに正面を向くべく
大開脚の大ワザに挑むが、股関節の柔軟性に欠け、断念。
店は、デザインと予算重視の結果
客に不自由を強いる方針を選んだようだ。
そのほうが長居も防げるというわけである。
メニューは、飲み物の他に
スパゲティーセットとカレー、ハヤシライス
あとはホットケーキぐらいしか無い。
出ないものをどんどん削って行ったら、結局これらが残ったという感じ。
私は迷わずカレーを、夫はホットケーキとコーヒーを注文した。
カレーはどこで食べても、そう大きな失敗は無い。
ここのは、外まで香りが流れていたので手作りらしい。
厳密に言えば、出来合いのベースに野菜を投入してある。
私の好きなサラッとしたタイプで、けっこうおいしかった。
気の毒なのは夫。
どうもホットケーキがホットじゃないらしい。
いつまで待ってもバターは溶けずに、かしこまった正方形を保つ。
夫は仏頂面で、バターにはじかれたシロップが
ダラダラと皿へ流れゆくさまをじっと眺めている。
コーヒーにミルクはついていなかった。
いや、夫をひと目見るなり、コーヒーにミルクを入れない主義と察知したのかも。
さすがプロの勘と心配り…イヤミです。
ヒマそうな店員達に、ホットケーキがコールドケーキなのを言ってやりたいが
二人で目を見合わせて、我慢する。
「ダメな店に改善のチャンスを与えてはならん」
こんなところは、意見がピッタリ合う我々なのだ。
夫が手をつけないので、いやしい私はそれも食べた。
ひんやりと解凍未満の、斬新な味であった…イヤミです。
まっすぐ座らずにものを食べるのは、けっこうつらい。
早々にレジへ行くと、30代半ばの派手で美しい店員が電話中だった。
仕入れの注文を電話で話しながら、お会計。
ここでムッとするのは、人間道の初心者である。
山里で寄せ集められたパートという印象の、素朴な店員達の中で
髪もキャビンアテンダント風に結って
一人毛色をたがえ、君臨しておられるご様子。
この横柄…いや、風格は、リーダーの証であり
注意する者が誰もいないままにのさばっ…いや、栄華を極めたと察する。
誰一人、サポートに来ないのは、もつれた人間関係に加え
原則として、彼女しかお金の扱いと仕入れが出来ない立場が原因と思われる。
経営陣の誰かの女だと考えて楽しむ。
そのほうが面白いし、けっこう当たっているのだ。
レジ係様は、受話器を持ったまま、金額を指さす。
私は財布から5千円札を出そうとし、千円札があったので引っ込めると
「あ!それ、いるいる!」と言う。
5千円札がいるのかと思ったら、電話の相手に言っているのだった。
気が弱く!おとなしい!私は、レジ係様のお電話のお邪魔にならぬよう
ピッタリ1470円を置いて出口に向かう。
しかし、自動ドアが開かない。
つい今しがた、ここから出たはずの夫が魔法使いに思える。
夫はドアの向こうで、なかなか出て来ない私をいぶかしげに見ている。
早く二人で、この店の“感想”を話し合いたいのだ。
私もよ…待ってて…夫。
ダメな店に改善のチャンスを与えないと誓い合った我々であるが
出られないんじゃあどうしようもない。
お電話のお邪魔はしたくなかったものの、レジ係様にその旨を申し上げる。
「あら、また?」
と言いながら、さすがに受話器を置いた彼女。
しゃがんでドアをガタガタゆすると、無事、ドアは開いた。
…やっとシャバに出られた喜びを噛みしめる私。
はからずも「別の意味でお気に入りのお店」コレクションが
ひとつ増えてしまった。
そんな定説があるんですね~♪
お腹が空いてる時はつい!食べ物の匂いに誘われちゃうんですよね(^^;
バターが解けないホットケーキなんてあり得ない!
ちょっと触ってみたってわかりそうなもんだろうけどね(≧ヘ≦)ムス~
それを平然と出す店なんて潰れてしまえ!だよ(笑)
改善のチャンスがあって気が付かないだろうけどね♪
ラタンの椅子といい、コールド
今の私には、心に余裕ないので多分…一言二言吐いてしまいそう…暴言を。
みりこんさん御夫妻は、さすがです。状況に振り回されず、逆に楽しんでさえおられる
記事を読ませていただきながら、何度か吹き出してしまいました。絵のセンスも最高です
みょーにリボンが気になる営業課長です♪
家の場合夫が絶対切れていますね♪
でも相手には切れないんです、切れていると分かるように私に大きな声で話すのですよ。。
相手に言いなさい!直接!!
そっちのストレスを私にぶつけるな!!
と揉めるのですよ・・・
あげくには、そこに連れて行った私のセンスが悪いと言う小さい奴です。。。
私は生意気ですが、高額な所でそんな事をやられたら、責任者を出せと出ますが、3セクあたりだったら、二度と来ないという手を使います。
この小うるさい男への対策を教えて下さると嬉しいです。
心の中で『うるせーー』と思うと通じるらしいです・・・(笑)
蜂蜜がセバスチャンさんですか?
いや~相変わらず鋭い洞察
おみそれいたしやした
姉さんの”胃袋シリーズ”はほんとに仕事の役ににたちます
また信者様たちのコメントが本音なんですよね
店側に届かない消費者の本音は本当にありがたいです^^
しかしこの文章
↓
コーヒーにミルクはついていなかった。
いや、夫をひと目見るなり、コーヒーにミルクを入れない主義と察知したのかも。
さすがプロの勘と心配り…イヤミです。
一見さんにたいしてありえないでしょう
カウンター越しの業務経験者として
一度でも来たお客様の好みを覚え
さりげなくそうするのであればお客様も”覚えてくれてた”
という満足感もあると思うのですが
たんなるミスということですよね
しかし”みりこん姉さんホットケーキ”
美味そう(爆)
ナイナイ!
絶対ないよ~
でも、こんな態度で働けるなんてうらやましいよ~
私は今日も同じ職場の白髪頭のオババに
小さな小部屋で怒られ(わけわからん)
イライラしちゃってるわよ~
あ~、お肌に悪~
これも修行なのかしら?
でも、いっぱい修行してると思うのにな~・・・・
この日は反応しましたね(笑)
調理する人は、正社員らしき男性一人でしたが
レンジでチン…の時間が短かったようです。
「彼ら、彼女らなり」に一生懸命やってるんだと思います(笑)
若い時って、そうですよ。
年取ると、残り少ない時間をいかに楽しく過ごすかを
大事にするようになるので、行くとこ、見るとこ
面白がるようになりますよ♪
私は面倒見きれません。
こっちがキレて、暴力ふるうかもしれません~♪
ブツブツ言われたら、コモノ音頭を踊るざます。
ケーオー・エムオー・エヌオー・チャチャッ(笑)
うるせー!と思ったら通じるのか~(笑)
たいそう嬉しいです(笑)
ミルクは、単に忘れられたのです。
たまたま夫はミルクを入れないので、良かったです。
エコな気分です(笑)
コメントしてくださるかたは、本音でしゃべってくださるので
ありがたいですね。
いつも感謝しています。
冷たいホットケーキ、いかが~?(笑)