殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

フグの会

2024年12月24日 13時01分08秒 | みりこんぐらし
メリー・クリスマス!

クリスマスといえば思い出す。

幼い頃、父が山で木を切って、作ってくれたクリスマスツリー…

クリスマスの朝、目が覚めると枕元にあったプレゼント…

6年生の春に母が他界したので、その年からプレゼントは無くなった。

薄々わかってはいたけど、やっぱりサンタは母だった。


「この子たちが大きくなるのを見たい…

まだ生きていたい…」

死の床で絞り出すように言いながら、涙ぐんでいた37才の母。

それがどうよ。

「91年は長過ぎる…もう生きたくない…」

毎日そうボヤくサチコの面倒を見る日が、まさか来ようとは。

ここ、笑うところよ。



さて、先月のこと。

「来月の誕生日プレゼントに、カノジョとフグ料理を奢ってやる」

次男が言った。


この5月、結婚一周年の記念日に離婚した彼は

早くも新しい彼女と出会っていた。

家に連れて来たのは、10月の終わり頃だったと思う。

9月に愛犬パピを失い、未だ悲しみに沈む家族にハッパをかけようと

紹介を早めた様子が見て取れた。

しかし私にとっては、新しい心配が増えただけである。


今度のお嬢さんは、元嫁アリサと真逆。

次男より年上で、細く美しく上品…それでいて人懐こい娘さんだ。

私は野生児アリサの天真爛漫も好きだったが

これはこれで、どこへ出しても大丈夫という安定感がある。

次男のストライクゾーンの広さは、父親譲りらしい。


ともあれ次男カップルは、釣り仲間のやっている隣市の料理屋で

我々夫婦にフグを与えてくれるそうだ。

市内でフグを出す店は、すでに絶滅したため

フグ好きの私には願ってもないことである。


しかし、次男が予約していた今月21日の土曜日

夫はゴルフが決まっていたので行けない。

大事な取引先のコンペで、その後は打ち上げなので帰りが遅くなる。

しかも最大の問題は、夫がフグを好きでないことだ。


さらに問題は続く。

義母ヨシコをどうするか。

姑と生活していると、こういうことが厄介なのよ。

特にヨシコは、私よりもフグが大好物。

しかも“およばれ”に対して、異様に敏感だ。

およばれとは自分たち夫婦がされるもので

嫁の行くものではないという精神が、亭主亡き後も継続中。

家に置いて行ったら

眠り姫のパーティーに招かれなかった魔女状態は必至である。


「父さんの代わりに、ばあちゃんというわけには…?」

私は次男におずおずとたずねた。

招待される身として、メンバー変更は厚かましい行為だからだ。


「ええよ。

じゃあいっそ、アニキも誘おう」

次男の返事は気安かった。

この時点で、お金を出すのは次男たちでなく

こっちに移行したようだ。

ヤツの財布は傷まないのだから、何人になろうと寛大なものである。

長男も二つ返事で行くことになり

次男は予約日の前日、夫を除いた家族4人と彼女様で

合計5人と伝えた。


しかし、ここで彼女様が難色を示し始める。

「お父さんと、ご一緒したかった…」

幼児の時に父親を亡くしているため

夫と親しくなるのを楽しみにしているのは、以前から聞いていた。


それを知った夫は、フグの会へ参加する意向を表明。

取引先に、打ち上げを早退する連絡をした。

「親父も来るって」

次男は料理屋に一人増える旨を連絡し、彼女様にも知らせた。


すると喜ぶかと思いきや

今度はフグの会への参加そのものを渋り出した。

「人数が多過ぎて恥ずかしい」

というのが理由。

二人はしばらくの間、LINEでゴタゴタしていた。


「アラフォーにもなって、何が恥ずかしいだ。

もうええ、誘うな」

こういうところが、女の子を持たない私の短所と自覚している。

女子の複雑な胸中を思いやる、デリカシーが無いのよねん。


「家族で行くからいい」

次男は彼女様に言い、料理屋には

一人減って結局5人になったことを連絡した。

しかし彼女様、ここで危機感を覚えたのか

「電車で行って、ご挨拶だけして帰る」

と言い出す。

あ〜、嫌…こういう回りくどいの。

幹事とか、したことないんだろうな。


そこでまた、デリカシーの無い私が次男に耳打ち。

「無理せんでええ!また別件で仕切り直せ!」

そういうわけで、私への誕生日プレゼントだったはずのフグは

急きょ、家族の忘年会に変更された。




フグ刺しは一人前ずつ別盛り。

他の人に気を使わなくていいから、これは嬉しい。




鍋。

手前の黒いのは皮で、最初にしゃぶしゃぶで食べる。
 



雑炊はまあ、普通。

他にもフグの天ぷらなどがあり、一同大満足の夕べだった。

フグが苦手な夫は、肉中心の別メニュー。

飲み物も入れて、5人で3万4千円は安かった。


あれから数日経って思うに、ひょっとして彼女様…

最初は私ら夫婦に奢るつもりだったのが

人数が増えたため、大勢でタカられると思ったのではなかろうか。

「人数が多過ぎて恥ずかしい」の真意は、それかも。

そして「お父さんとご一緒したかった」の発言は

当初の予定通り、4人が良かったと言いたかったのかも。

わからないわ、デリカシーが無いから。


あれ以来、次男カップルは何げにギクシャクしているみたい。

知〜らんっと。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 年末が来た・4 | トップ | モンちゃん去る »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (田舎爺S)
2024-12-24 19:30:09
乙女心は難しいですね。
返信する
Unknown (さら)
2024-12-24 22:11:46
みりこんさん、こんばんは。
少し早いですが、今年も一年楽しく、また色々な事を学ばせていただきながら読ませて頂きました♪ありがとうございました。
強烈なお母さま二人のお世話、毎日本当にご苦労様です!
みりこんさんのあり得ないくらいの利他心に我が身を恥じる毎日です!
お身体くれぐれもご自愛下さいねー。
返信する
Unknown (みりこん〜田舎爺Sさんへ)
2024-12-25 07:36:05
ほんっと、乙女心(このフレーズ、素敵)
って難しいですね!
女の子の思考回路が、わかりません。

二人の息子の歴代カノジョも皆さん揃って
私には難しかったです。
私が嫁に来た時、義母もそうだったのかな〜と
思うことがあります。
返信する
Unknown (みりこん〜さらさんへ)
2024-12-25 07:44:40
強烈なお母様…笑える〜!
もうね、あんまり考えないようにしているんです。
この修行が終わるXデーを待ちながら
日々できることをこなしていくしかない…
人って忙しいと、そうなっちゃうものなんですね。

ねぎらいのお言葉、ありがとうございます。
さらさんもお身体に気をつけて、楽しい年末年始を
お過ごしください。
返信する

コメントを投稿

みりこんぐらし」カテゴリの最新記事