公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

切り取りダイジェストは再掲。新記事はたまに再開。裏表紙書きは過去記事の余白リサイクル。

理性の社会面

2013-08-20 20:11:58 | 今読んでる本
理性は疑問を小さくする道具であり安定した社会を造るレンガである。

だから為政者には疑問の少ない社会が好まれる。究極に為政者が望むように社会を安定するためには国民の思考を停止するしか無い。抽象世界のように言葉(記号)と数字だけで理性が完結するならそれは可能だが、事実世界は反対に、バラバラの概念と言葉と記号から出来上がっている。抗議する市民、反対勢力、反政府強行派、徹底抵抗勢力、非合法カルト、テロリスト集団、少しづつ言い方を変えてゆけば黒を白とも言いうる都合のいい世界に生きている。平和的反政府集会、自衛的武装抵抗、政府分裂の内戦、今は国際的な人道支援を受けた反政府勢力から独立政府、亡命政府。言葉と記号を受け入れた瞬間に善悪評価が出てしまう。もはや仮面の戦争に理性的疑問の余地など無い。メディアが神経ガスといえば、テロリストが使うものであり、従って使ったのはシリア政府ということになる。事実は疑わしい。見たくない人は以下のリンク映像注意山本美香も結果を利用されたということは、メディアは伝えないが、youtubeには痛々しい遺体の表情を利用している動画がある。黒を白という許されない行為である。

理性的プロセスが強調されるのは利害の衝突を不信感に発展させないためである。利害は必ず衝突する。だから疑問は小さくした方がいい。そこで最も役立つ道具が狭い意味の理性、合法的精神だろう(注意:理性が正しいというわけではない)。利害が衝突する中で、相互に相手方に対して期待できる理性的能力は得失の均衡(公平・公正)の理解にしか無い。本質的に理性は努力して頭脳が働いている時しか有効ではない。「つまり、働かそうと思い、その努力を続けている間だけしか働かない。」「第二の特徴は、少しづつ、順順にしかわかっていかない。」(岡潔)、故に得失の公平・公正と言っても、働かない状況では無力であり、対峙しているものどうしが同じ順序で理性を働かす訳ではありません。実に実に理性はひ弱な道具である。この道具で社会を安定させようという考えがいかに間違っているか一度考えてみた方がいい。

近代化は民主主義という制度と理念とともに発達してきたが、その実施の基礎はただこの頼りなくひ弱な理性のみである。だからどんな矛盾も理性でのみ解決し、情緒を抜かして、情緒が正しい反応と感応を通じて秩序を維持していなければ社会が小さな自己正当化に分裂してゆく。やがて個人が分裂してゆく。

われわれの近代は間違った道を行進してきて袋小路に至ってしまったのかもしれない。気づいた時には後戻りできなくなっている。弱いレンガで高い建物を建て続けたツケが回ってきた。
「理性は疑問を小さくする道具であり安定した社会を造るレンガである。」ということについてはバートランド・ラッセルも同意見のようだ。このころの社会には理性が弱いものであるという認識は無かったのだと思う。証言は容易に変形できる。理性は誘導できるし、いくらでも印象操作できる。
以下引用
「憎悪やねたみを最小にする方法を発見することは疑いもなく理性的な心理の働きの一部である。しかしこれらの情熱を最小にする際、同時に、理性が情熱の力まで弱めてしまうのではないかと想像するのは誤りである。情熱的な恋愛、親としての愛情、友、慈悲心、科学や芸術に対する献身などの中には理性が減じたいと思うものは何ひとつない。理性的な人間はこれらの情緒のいずれか一つまたは全部を感じるとき、そのことを喜びとするのであり,そうした情緒の強さを減らすようなことは何もしないだろう。なぜならこれらの感情は全て善い生活、すなわち自分自身及び他人の双方の幸福を促進する生活の一部であるからである。」
  出典:ラッセル『幸福論』第7章「罪の意識」


2006年7月12日のヒズボラによるイスラエルに対する攻撃以来、レバノンおよびイスラエルでの戦闘が激化を続けたことにより、双方の死傷者が既に数百人を数え、民生インフラに甚大な被害が及び、数十万人の国内避難民が出ていることにつき、最も深い憂慮を表明

シリア:化学兵器 米英首脳「政権側が攻撃」で見解一致
毎日新聞 2013年08月25日 20時38分

 【ブリュッセル斎藤義彦】オバマ米大統領とキャメロン英首相は24日、シリアでの化学兵器使用疑惑について電話協議し「アサド政権により行われた攻撃だったという証拠が増している」との見解で一致した。また両首脳は化学兵器の大規模な使用には国際社会が「真剣な対応」をすべきだとし、軍事攻撃を含む「すべての選択肢」を用意することで合意した。

 英首相府が同日、声明を発表した。オバマ大統領は、安全保障担当のスタッフや軍のトップとの会談の後、キャメロン首相に電話した。

 キャメロン首相は、カナダのハーパー首相に電話、ハーパー首相はフランスのオランド大統領に電話した。

 オバマ大統領は、シリアを軍事攻撃する場合の条件として国際社会の支持をあげている。欧米間の首脳協議は、アサド政権への外交圧力を高める狙いがある。

 また、米英首脳は、アサド政権が化学兵器が使用された疑いがあるダマスカス近郊への国連調査団の立ち入りを認めてこなかった点に触れ「アサド政権が何かを隠していることを示している」と非難。即座に立ち入りを認めるよう求めた。


<シリア>化学兵器使用疑惑 アサド政権が調査受け入れへ
毎日新聞 8月25日(日)20時26分配信

シリア政府主催のメディアツアーで撮影された、ダマスカス近郊の街を歩くシリア軍兵士=2013年8月24日、AP

 【カイロ秋山信一】シリアの首都ダマスカス郊外で21日に化学兵器が使用された疑惑に関連し、イランのザリフ外相は24日、イタリアのボニーノ外相と電話協議し、アサド政権が国連調査団の現地調査に協力する意向だと述べた。ロイター通信が報じた。イランはアサド政権の有力な支援国。反体制派も調査受け入れを表明しており、事実であれば現地調査が行われる可能性が高まることになる。

 ザリフ外相は「アサド政権は化学兵器のような非人道的兵器は使ったことがなく、国連の調査には全面的に協力すると確約した」と述べた。

 アサド政権は、調査受け入れについて明確な態度を表していない。シリア入りしている国連調査団は、政権との合意に基づき、北部アレッポなど3カ所に限定して調査を行うことになっていた。

  ダマスカス郊外では21日朝に毒ガスによるとみられる攻撃で住民ら200人以上が死亡した。反体制派はアサド政権による攻撃だと非難している。一方、国営シリア・アラブ通信は24日、政府軍兵士らが、ダマスカス郊外の反体制派の拠点で、サウジアラビアなどから持ち込まれたとみられる化学物質を発見したと報じた。サウジは反体制派を支援している。
ーー

現代用語では、
「シリアで11年3月に始まった反体制運動は内戦に発展し、13年9月中旬現在で死者10万人以上、国外への難民200万人以上と推定される人道危機が続いている。内戦長期化の理由は、(1)血族的な関係を中核とするアサド体制の力による弾圧、(2)そのアサド体制をイランやヒズボラ、ロシアが支援、(3)反体制側もサウジアラビアやカタール、トルコなどの支援を受けているが、内部対立で不統一、(4)アル・カーイダ系イスラム過激組織の参戦、(5)米露対立による国連安保理の機能不全などである。混乱が拡大する中、シリア政府軍が従来から保有しているとみられる化学兵器の管理や使用への懸念が国際社会で高まり、オバマ大統領は12年8月、政権側による化学兵器の使用は「レッドライン」を越えることになるとして強い対応を示唆していた。その後、シリアでは化学兵器による攻撃とみられる事態が発生したが、政府、反政府どちらの側が使用したか不明な状態が続いていた。」

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