沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

サザンクリーンセンター推進協議会(サザン協)が溶融炉を選定しなかった理由

2015-10-18 07:05:44 | 溶融炉

少し長くなりますが、サザンクリーンセンター推進協議会(サザン協)が溶融炉を選定しなかった理由を整理してみます。

サザンクリーンセンター推進協議会議事録

(1)最終処分場、灰溶融+最終処分場、ごみ処理からできるガス化溶融と3つの方法が考えられる。

(2)浦添クリーンセンターの表面溶融は、電気式と比較して灰が多いと聞いているので、どうかと思う。那覇・南風原は見本にして行きたい。従来型のシンプルな施設であるので安全かと思う。

(3)浦添クリーンセンターは燃料に灯油を使用していたが、灯油のコストが上がって現在はA重油を使用している。有明広域組合の担当者に聞いたら、黒煙が出るし環境に悪いとの事。財政難になった場合灯油からA重油に燃料を変えると思うので灰溶融やガス化溶融炉は避けたほうがいい。生ゴミは塩分が含まれているので、磨耗が早くなる。トラブルとしては灰溶融炉でメタルが固まりスラグの通り道を塞いだ事や飛灰を含んだガスの通り道が詰まった事があった。

(4)那覇・南風原クリーンセンターは年間6億円の維持費が気になった。委託費が2億4千万円、薬剤費関係が2億円。電気・スラグ・メタルの売却益が1億9千万円あるとの事。焼却炉にはバグフィルターがあり水銀等を集めているが、灰溶融炉にはバグフィルターがないので空気中に飛散するとの事。

(5)今は①「ガス化溶融炉+最終処分場」、②「ガス化溶融炉のみ」、③「既存の焼却施設+灰溶融+最終処分場」、④「焼却炉+灰溶融」の4つのケースが考えられると思う。

(6)焼却炉や溶融炉が素晴らしいと言われても、これは金さえかければいくらでも出来ると思う。

(7)サザン協が抱えている問題は各々3つの焼却炉を持っているので残渣をどう処理するかが一番の問題ではないか。

(8)厳しい財政下における負担軽減が提起されている中で溶融炉という莫大にコストのかかる施設をこのサザン協が採用していいものだろうか、慎重な検討が必要である。

(9)温暖化対策の推進が声高に世界的に叫ばれているが、この見地からしても溶融炉は燃料の3倍のCO2を発生するというふうにも聞いている。

(10)浦添市は処分場を持っていないが、必要だと話していた。

(11)那覇市以外に電気式の灰溶融施設の事例は無いか。保証期間が終了した後の様子も調べておく必要がある。浦添市は燃料方式だが、燃料の高騰で灯油からA重油に変えたと言っていた。灰溶融を採用するなら電気式しか無いと思う。

(12)予算上、溶融と処分場の同時建設が出来ないなら、他の市町村に迷惑をかけているので、とりあえず最終処分場を造るべき。ガス化溶融は将来的に議論したほうがいい。

(13)以前の南廃協の課題は南部地域における焼却残渣をどう処理するかという事から出発している。疑問に思うのは灰溶融施設ありきで進んできているように思う。原点は、自らのごみは自らで処理するという事、被覆型の最終処分場が必要という事ではなかったか。

(14)浦添の課長も最終処分場はあった方がいい、いつ何時どういう災害があるか分からないと言っている。そうなった時の場所は絶対必要だ。だか らと言って灰溶融施設がいらないという事ではない。最終処分場をとにかく造らざるを 得ない。処分場を造ると言うことから出発しているので、それを論議すべきであって、灰溶融は日進月歩で将来改良もされていくと思う。

(15)やはり費用の問題が一番だと思うし、今ある施設は利用しなければならない。大小関わらず最終処分場は造らないといけない。 灰溶融がいいのかガス化溶融がいいのかというのは次の議論だと思う。

(16)住民にごみ問題への意識改革を図り、自治体が積極的に取り組むなどの基礎を作ってから処理施設の基本構想を策定すべきだ。

(17)ごみ処理施設は福祉施設でもあるという事を認識していかなければいけない。もし処分場を造るなら、次の施設建設も頭に入れながら進んでいく事も大事ではないか。

(18)現実的にはどの施設を造るにしても最終処分場は必要だ。お互い共通の認識を持って最終処分場の問題をもう一度考えないといけない。

(19)最終処分場は造らないという話ではなく必要である。浦添の施設を視察したときに、そこの課長が毎日崖っぷちであるという事を言っていた。 飛灰は本土で処理しているが、それも何が起こるか分からない。その時にどうなるかという問題もある。その辺も含めて検討した方がいい。

(20)我々は最終処分場についての見方が甘かった。それは反省している。先進地視察をして溶融炉に入れれば全て解決すると過大評価をしていた。

以上がサザンクリーンセンター推進協議会(サザン協)が溶融炉を選定しなかった主な理由になります。沖縄県は溶融炉の整備を推進する廃棄物処理計画を策定していますが、このブログの管理者は同協議会の考え方の方が沖縄県民の身の丈に合っていると考えます。

※県の計画は県の職員が中心になって策定している計画ですが、同協議会の計画は地元の議員(地域住民の代表)が中心になって策定している計画です。

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