生まれ育った壺屋の家から歩いて5分くらいのところにある東ヌ窯。
2009年の全壊でもうおしまいかと思いましたが、文化財のため、国の予算で2015年には修復完了。
でも、火入れしないとまた崩れる恐れがあると地元関係者は話していました。
国指定重要文化財「新垣家住宅」の登り窯「東ヌ窯」=那覇市壺屋
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東(あがり)ヌ窯で再び、焼き物を-。2015年12月に修復が完了した那覇市壺屋の国指定重要文化財「新垣家住宅」内にある東ヌ窯にもう一度火をともそうと、壺屋陶器事業協同組合や壺屋自治会、壺屋通り会で東ヌ窯保存会を結成し、活動を始めている。火入れのために窯の防災対策の工事などを行い、5年後には以前のようにまきをくべて陶器を制作する予定だ。
黒煙対策を検討
東ヌ窯は、17世紀の壺屋統合のころに移ってきた新垣家によって創建された登り窯だ。戦後は物が不足していた人々の暮らしを支え、復興の要となった。
しかし、1974年ごろに、付近の住民らが窯から発生する黒煙の被害を訴え、利用されなくなった。2009年には雨や老朽化の影響で東ヌ窯が全壊。修復作業が続き、15年に完了した。
東ヌ窯が使用されなくなって以降、多くの陶工が壺屋から読谷や南部、北部などに窯元を移した。壺屋では、黒煙が発生しないガス窯や電気窯が主流となっている。しかし、壺屋陶器事業協同組合の島袋常秀理事長によると、新垣家の関係者から「新垣家住宅の修復が完了したあかつきには、再び窯で焼き物を制作してほしい」との要望があったと言う。
そこで、新垣家住宅の修復が完了した2年前に保存会を結成。以来、2カ月に1度、壺屋の窯の歴史や黒煙を出さない方法について勉強会を開き、検討を重ねてきた。
その結果、窯周辺の防災対策の工事の後に、まきを燃やすことで発生する黒煙を白煙に変える装置を設置する計画が上がっている。9連に連なる房のうち、火口から4番目の房まで焼けるようにするという。
島袋理事長は「白煙だと周囲に迷惑を掛けずに焼くことができる」と期待する。
まきで焼いた作品は、火の勢いや窯の温まり具合がガスや電気と異なるため、独特の茶褐色に焼き上がるという。島袋理事長は「300年以上の伝統がある、生きた登り窯で壺屋にしかない焼き物を作りたい」と意気込みを語る。
15日には、代々続いている壺屋の伝統行事「ハチユクシー」が東ヌ窯で行われる。