「中山世鑑(ちゅうざんせいかん)」(沖縄県立博物館・美術館提供)
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国の文化審議会は19日、琉球王国の正史である「中山世鑑」(6冊)と「蔡鐸本中山世譜」(7冊)、「蔡温本中山世譜」(12冊)の1件3点を国の重要文化財(書跡・典籍の部)に指定するよう萩生田光一文科相に答申した。
夏頃までに答申通り告示される予定。
沖縄県内から書跡・典籍の部で国の重要文化財に指定されるのは「おもろさうし」「混効験集(こんこうけんしゅう)」に次いで3件目。琉球史研究上の最重要史料の一つとして極めて価値が高いことなどが評価された。
「中山世鑑」は摂政などを務めた琉球の政治家・向象賢(羽地朝秀)が1650年、尚質王の王命を受けて編さんした琉球最初の正史。和文で記されている。
「蔡鐸本中山世譜」(沖縄県立博物館・美術館提供)
「中山世譜」は漢文で書かれた正史で、2種類ある。
蔡鐸本7冊は、久米村の最高実力者「総役」などを務めた蔡鐸(さいたく)が1697年から1701年にかけて「中山世鑑」を漢訳し、さらに増補を加えたもの。
蔡温本は、蔡鐸(さいたく)の息子・蔡温(さいおん)が1724年から1725年にかけてさらに改変を加えてまとめた。
指定された3点ともに沖縄戦の混乱の中で沖縄から米国へ持ち出され、戦後に米国が琉球政府へ返還した。
国の重要文化財に指定されることについて、平敷昭人県教育長は「大変うれしく思う。県教育委員会としては、今後とも県立博物館・美術館と連携し、文化財の保存・教育普及に努めていきたい」とのコメントを発表した。
【琉球新報電子版】