谷崎ファンとして直感的にチケットを押さえた。
すっかり足が遠のいている劇場に戻るきっかけを探していたところでもあった。
人気の公演と知ったのは後日。
立ち見もあふれる当日の盛況ぶりに幸運を知る。
演出が英国人というのが何と言っても驚きである。
サイモン・マクバーニー。
イギリス演劇界の鬼才と呼ばれているそうだ。
日本の古典芸能の演出や特徴が彼のなかで消化され、巧みにアプトプットされているところがすばらしい。
数枚の畳がくっついて時には部屋、ときには廊下と、パズルのように形を変える。
最小限の小道具(作り物)で舞台を様々な場所に見立てる、能の精神が宿っていると感じた。
主人公の春琴は、糸竹の道を極めんとする盲目の美しい娘という役柄。
人形で登場することにより、浮世離れした存在が増長されていた。
同一の演目であっても歌舞伎より文楽の方がうんと幻想的であることをサイモンは見抜いていたのだろう。
人形を操りながらセリフを喋るのは深津絵里。
後半激しい感情の炸裂とともに、人形が生身の人間(深津)に変わる、その瞬間の効果も絶大であった。
籠から飛び立つ雲雀を、半紙のような紙を震わせることで表しているのは何からインスパイアされたのか。
扇の技法にあったように思われたが調べがつかず。
ナレーションの収録という体を取りながら進行し、そこかしこに笑いが散りばめられているところは、
いかにも今日の演劇らしいと思った次第。
初めての世田谷パブリックシアターは、官が運営する無機質な劇場かと思いきや、
三茶座とでも呼んだ方がよさそうな居心地のよい空間であった。
『春琴』Shun-kin 谷崎潤一郎『春琴抄』『陰翳礼讃』より(2日目)
2013 8.2 fri
世田谷パブリックシアター
すっかり足が遠のいている劇場に戻るきっかけを探していたところでもあった。
人気の公演と知ったのは後日。
立ち見もあふれる当日の盛況ぶりに幸運を知る。
演出が英国人というのが何と言っても驚きである。
サイモン・マクバーニー。
イギリス演劇界の鬼才と呼ばれているそうだ。
日本の古典芸能の演出や特徴が彼のなかで消化され、巧みにアプトプットされているところがすばらしい。
数枚の畳がくっついて時には部屋、ときには廊下と、パズルのように形を変える。
最小限の小道具(作り物)で舞台を様々な場所に見立てる、能の精神が宿っていると感じた。
主人公の春琴は、糸竹の道を極めんとする盲目の美しい娘という役柄。
人形で登場することにより、浮世離れした存在が増長されていた。
同一の演目であっても歌舞伎より文楽の方がうんと幻想的であることをサイモンは見抜いていたのだろう。
人形を操りながらセリフを喋るのは深津絵里。
後半激しい感情の炸裂とともに、人形が生身の人間(深津)に変わる、その瞬間の効果も絶大であった。
籠から飛び立つ雲雀を、半紙のような紙を震わせることで表しているのは何からインスパイアされたのか。
扇の技法にあったように思われたが調べがつかず。
ナレーションの収録という体を取りながら進行し、そこかしこに笑いが散りばめられているところは、
いかにも今日の演劇らしいと思った次第。
初めての世田谷パブリックシアターは、官が運営する無機質な劇場かと思いきや、
三茶座とでも呼んだ方がよさそうな居心地のよい空間であった。
『春琴』Shun-kin 谷崎潤一郎『春琴抄』『陰翳礼讃』より(2日目)
2013 8.2 fri
世田谷パブリックシアター