荒船海岸で日の出を見た後は,あまりの暑さに少し涼もうと思い,那智高原に行くことにした.那智勝浦新宮道路の市屋ランプという交差点から少し進むと,和歌山r235が北に向かって走っている.この峠道を行けば,那智山の少し南に位置する南平野に抜けることができる.
和歌山r235は,起点付近にある那智勝浦町の下和田や井鹿の民家を過ぎると,極端に道が狭くなる.ちょっと県道には見えない道路で,道を間違えたと思って,GPSで現在地を調べてみた.しかし,GPSは和歌山r235を示していた.
とても県道とは思えないこの道は,道幅が自動車一台分ぎりぎりで,ガードレールもほとんどない.そして,路面状況もすこぶる悪い.センターラインに苔が生えており,落ち葉や鋭利な石ころも散乱していた.
まだ時刻は7時を過ぎた頃で,このような場所で誰とも出会うはずがないと思っていた.しかし,峠を越える前に,1人のチャリダーと遭遇した.ただし,チャリダーは慣れた手つきで,パンクを修理している最中だった.
和歌山r235の険道っぷり,そして,チャリダーがいたことに,驚かされながらも,立派な切通しのある峠に辿り着いた.地図上では,夫婦松峠となっている.しかし,夫婦松を連想させるような松は,どこにも見当たらなかった.
峠の切り通しを過ぎたところで,山間部で初めての標識が現われる.県道の名前には,停車場線とあり,かなり古くからある道だと思われた+.国道ができる前は,立派な生活道路だったのかもしれない.
峠を越えても,道の様子は一切,変わらない.強いて言えば,よりスリリングになったようだ.道路の両脇が斜面で,一本橋のようになっている場所があった.ここで写真を撮っていると,さっきのチャリダーが,一本橋を颯爽と駆け抜けていった.その様子は,何かのアトラクションを見ているようだった.
一本橋を慎重に通過しても,なお危険な香りのする道が続いていた.太陽の位置も高くなり,道に射し込んでくる日差しの量も増えてきた.もうそろそろ,終点も近いはずだ.と思っていた矢先,またチャリダーと再会を果たす.またしても,チャリダーはパンクを修理していた.直らなければ,自転車を担いで山を下りますよ,と明るく言って,何とも気丈な人だった.
そして,遂に和歌山r235を走り切って,和歌山r43との分岐点にやってきた.ここで,人馬共にクールダウンすると共に,チャリダーがやってくるのを待つことにした.
しばらくの間,地図を見たり,沢がにを見つけては,ちょっかいを出したり,時間を潰してみた.しかし,この道を登ってくるチャリダーの姿を見ることはなかった.恐らく,汗を振り絞って,最後の登り坂に差し掛かっている最中だったのかもしれない.
チャリダーより一足先に,和歌山r43を走り出すことにした.この道は,あのルートフォーティシリーズの1つだけれども,ここはまだ生活道路区間だ.水を得た魚のように,那智高原へと駆け上がっていく.陽射しは強くて暑いけれど,那智山山頂付近は心地よい爽やかな風が吹いていた.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます