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今回はひさしぶりに熊野の七里御浜海岸で日の出をみることにした.ここ最近,すっかり日の出の時間も遅くなり,まだ寒さを我慢できない時期でもないのがいい.七里御浜海岸の上空には,まるで絵具のチューブから押し出したような雲が一筋になって流れていた.
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七里御浜海岸の沖合にあるマブリカ(魔見ヶ島)は,早朝,シルエットが真っ黒に見えて少し恐ろしい感がする.そして,水平線の先には行野浦の時とおなじように山の稜線のような分厚な雲が形成されていた.
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今日も水平線から昇る太陽を見れないかもしれない,と不安な気持ちになる.ここ最近は,もちろん素晴らしい日の出を見ることができているけれど,尾鷲では何度か水平線の先に広がる分厚な雲にしてやられた感がある.
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ところが,予想とは裏腹に水平線から真っ赤な太陽な顔を出してくれた.水平線と上空の間には,雲があって太陽の光によってきれいな茜色に焼けている.ということで,運よく水平線付近の太陽の位置だけ雲が途切れていたようだ.
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カメラのズームレンズで太陽の挙動を追ってみると,水平線付近の太陽はくびれていて,Ωマークをなしていた.かなり久しぶりに見るだるま朝日だった.だるま太陽を最後に見たのはいつだろう.2年前の尾鷲以来かもしれない.
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太陽はあっという間の内に水平線の上に昇ってしまったが,だるま太陽の感動的な一部始終を見ることができた.そして,我を忘れて夢中になってシャッターを切っている自分がいた.
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太陽が昇ると,まだ閑散とした七里御浜海岸一帯に真っ赤な光が降りそそぐ.建物や国道から海岸を繋ぐ階段状のスロープまで,すべてが太陽の光で真っ赤に染まって見えるのが美しかった.
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このだるま朝日を見ているのは,自分以外にもいたようだ.釣り人夫婦が釣りを一時中断して,やはり自分とおなじように日の出を鑑賞していた.だるま朝日は誰にとっても,少し特別なモノなのかもしれない.
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マブリカ(魔見ヶ島)と絵具のチューブから押し出したような雲,そして,だるま朝日と七里御浜海岸での感動的な朝だった.
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