オートバイで旅して観たモノの記録

 Ôtobai de tabi site mita mono no kiroku.

投石の滝

2019年06月17日 | ツーリング


 関西地方では,不安定な大気の状態が続いている.しとしとと降る梅雨の雨ではなくて,夏のような雷鳴を伴う大雨になっている.せっかくの週末も,天気の神様は微笑んでくれそうにない.雨にうたれるのを覚悟のうえで,オートバイで山へ向かうことにした.天候には恵まれないが,気温は20℃前後と快適だった.



 明け方から降っていた雨があがったことを確認して,昼前に自宅を出た.奈良県宇陀市の室生を南下して,東吉野村まで順調に進むことが出来た.ここ数日の嵐の影響で,路面には杉やヒノキの枝葉が散乱していた.この枝葉は水分を含んでいると,グリースのような粘性体となって,タイヤを滑らそうとするでの注意が必要だ.



 出発した時刻が遅かったので,東吉野村で折り返すことにした.せっかくなので,白馬寺境内にある投石(なげいし)の滝に立ち寄ってみた.落差15メートルほどの滝の前には,鳥居と社があって,不動明王様が祀られている.




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 その昔,ここで弘法大師が修行していた時に,天女が降りてきて,滝壺に玉石を投げて不動明王に祈拝したと伝えられている.それで投石の滝と言うそうだ.別名,不動の滝とも呼ばれている.



 滝の周囲は,青もみじで覆われていた.曇り空の下で,もみじの青さが一段と映えて見えるような気がした.赤く真っ赤に染まったもみじも綺麗だけど,緑にこだわりのある者にとっては,新緑の季節のもみじの方が,すてきに見えるのだった.



 神秘的な滝と美しい緑に癒されて,穏やかな気持ちでオートバイを走らせていたのも束の間の出来事だった.帰路にて,ゲリラ豪雨に出くわしてしまった.営業していない商店の軒先で,雨雲が行きすぎるのを待つことにした.これもツーリングの醍醐味のうちの一つかもしれない.そうこうしている内に,雲の間から陽が射してきた.雨宿りは20分ほどで済んだ.


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