梶賀町や磯崎町をゆっくり散策していると,とうとう陽が傾いてきた.今宵の宿は近くに取ってあるので,暗くなるまで七里御浜の景色を楽しむことにした.
七里御浜は,熊野市から紀宝町まで続く22キロメートルの砂礫海岸だ.そして,南国を連想させるようなヤシの木の風景もある.晩秋から冬にかけて,とても暖かな気候であり,わたしのような寒がりのライダーには,もってこいの場所である.
紀伊半島の東海岸に位置する七里御浜では,当然だが,夕日は見ることができない.それでも,陽が落ちていくと同時に,空は淡いピンク色に染まっていき,南紀の山並みと共に素晴らしい夕景を見せてくれる.
気温は,暑くも寒くもない絶妙な温度だった.淡いピンク色の空の下,浜辺に腰を下ろして,やって来ては消えていく波を見つめているだけで,妙に心地よくなれた.しかし,この幻想的な時間は,長くは続いてくれない.
辺りは,あっと言う間のうちに暗くなってしまった.気が付けば,月が煌々と輝き,月明かりが海に反射していた.獅子岩と共に,一日の終わりを見届けるのだった.
夜の帳が下りると,さすがに少し冷え込んできた.七里御浜には,釣り人も散歩する人も,誰もいなくなってしまった.最後に残ったライダーは,月明かりの下,今宵の宿へとオートバイを走らせた.
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