紀伊半島の静かな展望台巡りの旅は続く.やって来たのは,南伊勢町は古和浦のニラハマ展望台だ.コロナ禍になってから,ここに訪れるのは何度目だろう.今はドアツードアの日帰りツーリングしかできないので,新規開拓のできない我慢の日が続いている.
この展望台は,錦の塩浜村山広場に劣らず静かで,古和浦湾,そして熊野灘の絶景を一望することができる.トタン屋根の休憩所は,以前まで酷く荒れていたが,しばらく来ないうちにすっかり整備されていた.
旧国道にあるこの展望台は,コロナ禍でも敢えて立ち寄る人はいないようだ.聞こえてくるのは,風の音と鳶のピーヒョロロという鳴き声だけ・・・.それらの音が辺りの静けさをかえって強調しているように思われた.
そして,これまで気にも留めていなかったが,海にプカプカと浮かんでいる筏がある.大抵は釣り人達を乗せているのに,とある場所で寂しそうにしている無人の筏があった.初夏のような陽気にあって,とても涼し気な光景だった.
沖合の方は、しけているせいか、晴れているのに白んでいた。静かなこの場所でひとり,熊野灘の景色を眺めていると,コロナウイルスによって混乱した日常が,映画の中での出来事のように思われた.
波風ひとつ立たない海の水面は,まるで川の清流のように透き通っていた.
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