紀伊半島の海岸沿いと内陸部を南北に結ぶ道はないではない.地元住民を除いては,走行する道として選択することはまずないが,和歌山県の地方主要道と一般県道の二つがある.地方主要道の方は,今年の3月に訪れたので,一般県道の和歌山r229を走行してみることにした.
今回は,紀伊半島の海岸沿いから内陸部へと北上する行程だ.和歌山県の串本町から県道を経由して,R371で和歌山r229の起点へ向かった.起点から少し北へ進むと,路肩が豪快に崩落していた.
この道は,和歌山県の古座川町と新宮市熊野川町を,40キロメートルに渡って繋ぐ幅員の狭い山道だ.序盤は,紀伊山地の谷を縫っていくようなところで,陽が届かないために日中でも薄暗い.路面上には,落ち葉や石ころが散乱しているので,気を配りながら進んでいく必要があった.
ところが,道は途中から,きつい勾配の峠道へと変わっていく.ぐんぐんと標高を上げていき,からりと晴れた青空と共に,視界も次第に開けてきた.松の緑がとても印象的だった.
そうして,先ほどまで走っていた谷間の道を,山の上の方から眺めることができた.こんな山深いところに,よく道をこしらえたものだと思う.道が舗装されるまでは,和田川松根スーパー林道と呼ばれていたそうだ.
そして,峠を登り切った先には,立派な足郷トンネルが現われる.少し前までは素掘りだったようだが,今ではご覧の通り,きれいにコンクリートで固められた隧道となっている.標識によると,ここから先は新宮市となるようだ.真っ暗な足郷トンネルのその先へと,期待と不安を胸に抱いて,突き進んでいくのだった.
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