旭川には巡業が来ていました。朝昇龍ののぼりがもの悲しく。旭川から富良野方面にいく途中に、作家の三浦綾子記念館がありました。
「氷点」のモデルになった見本林です。中学二年生の時に私が文学の世界に足を踏み入れたきっかけとなった小説の舞台ですから、感慨深いです。以下氷点の冒頭より
風は全くない。東の空に入道雲が、高く陽に輝いて、
「ルリ子ちゃーん。ルリ子ちゃぁぁ~ん。」クリート音だけが虚しく河原に響くのであった…
旭川ではがっつり味噌ラーメン食べて、汗たっぷりかいてから富良野を目指します。道には「花人街道」という名前がついていて、富良野線沿いを下っていきます。幹線道路なので自然にペースもあがり、糖分がほしくなってきました。
美瑛の手前、見事な麦畑。この近郊は、本当にRolling landscape. 小さな丘が、幾重にも幾重にも波を打ち、丘の一つ一つが陸の波の波頭になっている。
前方の天気が怪しくなってきました。ま、丘を越えて上富良野くらいまではもつでしょ、なんてなめていたら…この写真の向こうの丘を下っている途中に…
空がひっくり返りました。
この後、空から犬やら猫やらヤカンやらが降ってきました。雷が周囲の畑にぐワンがっシャンと落下し、もう全身ぬれねずみのほうほうのていで近くの農家の軒先に避難。もうサイテーです。ひとつ良かったのは出発前に新調したバックパックにレインカバーがついていて、これが役にたったことかな。
夕立は15分くらいでカラッとあがり、再スタート。路面はそこらで洪水状態。昔二年間学生していたころのアリゾナ州ツーソンの雨季もそういえばこんな感じだったな…
自転車は泥だらけになってしまいましたが、気温が下がってコンディションは良好です。この後は富良野目指して高速巡航です。美瑛・富良野コースは選んで大正解でした。
一日目の後半、旭川~富良野は58キロでした。
富良野は北海道の「へそ」といふことで、へそチップスをぼりぼりぼりぼり、汗と雨でちょっと臭い自分自身に辟易しながら、根室本線は帯広を目指します。
というわけで、朝には想像できない、帯広という目的地でした。
一日目はこれにて了(續く)