コンパニ子の家でパーティーがあった日の日中、写真教室の先生をするハメになった…。
まぁ、先生と言っても現役を退いて十数年経っているので、かなり怪しい先生でもあるし、名作やら傑作とは無縁なんだけれど、一応は写真にもカメラにも詳しい部類の人間ではある…。
デジカメを誰もが持っている時代、記録だけではなく「アート」の道具としてデジカメを使ってみようと考えてもおかしい事は無いねぇ。
コンパニ子もそんな1人で、普段はなにかと撮られる立場が当たり前だったりもするが、一応はデジカメを持っていたりする。すでに何度か買い替えているくらいの所持歴はあるので、いろいろと撮ってはいるのだけれど、
「どーも今ひとつ…」
って感じがずーっと漂っているのだと言う。撮りたい物と出来上がった物に「差」が生まれ、得てしてそれは喜ばしい「差」では無い。その「差」を埋めるために、あれやこれやとやってはみても「下手だ…」って写真の山が築き上げられるばかりで、差は埋まる気がして来なくなるし、疑問と不満とジレンマのスパイラルにどっぷりと漬かってしまうと、やがて全てが「ツマラナイ…」と。
まぁ、これ、プロでもあるものだから永遠に解決の方法なんか無いと思うし、写真に限った事じゃないのだけれど、そんなこんなで出来上がった写真の数々を眺めているうちに…
「私のは安いカメラだから…」
「もうだいぶ古いカメラだから…」
「やだぁ。私なんかケータイよぉ!」
って、いかにももっともらしい理由が生まれて、当てはめられ、今あるカメラを使いきる前に次の新しいカメラへスイッチされてしまうという、メーカーにしては大変に美味しいお客さんが誕生し、今日のデジカメの発展と普及に大きく寄与したりするんである。
で、パーティーは夜からなのに、朝も早くから連れ出された意味が判らずアジトに向うと、同じ様な不満と疑問を抱えた「同士」を3人も集めていやがって、「同好会」まで結成していやがった…。
コンパニ子の友達だから、3人共に現役・元モデルさんではあるが、アイドルと並列するような年齢でも無いので、言っちゃあマイナーなんだろうけれど「モデル」ってのは伊達じゃない…。撮り方教えるから、まず撮らせてくれ! ってお願いしたいくらいなんだが、ふと疑問が浮かぶ。
「知り合いに現役のカメラマンだのフォトグラファーだのはゴロゴロいるだろうに、なぜおじたん。になんか教えを請うの?」
裏がありそうだったので、尋ねると…
「すぐホテル行こうとするからイヤだ…アイツらは!」
実に単純かつ奥の深い問題提起がなされたワケで、いろいろとガッカリだ…おれは…。まぁ、美人に囲まれて先生やるのもまんざらでは無いんだけど…。
さて、彼女らの持っているカメラはほぼ最新のコンパクト・デジカメで、正直羨ましい。パナソニックが多かったのは「あゆ」の影響は大だと言う。また、仕事関係者にも勧められたってのは「手ぶれ防止機能」が評価が高いって事だろうと思うが、正直なところ、メーカーによる大きな差はほとんど無い。充分な高画素・高画質で写真が取れるカメラだし、機能だって1眼デジカメに近かったりもするので、悪いところはどこにも無い。
んじゃあ、何が不満で何が疑問なのか? コンパクトじゃゲージツ写真は撮れないのか? 「アート」だの「ゲージツ」だのってのは様々なんだぞ?
能書きは後にして、ブッ倒れるくらいに天気も良いし、歩いて10分で観光地ってトコロでこんな話をやってるワケだから、撮りに出掛ける事にした。カメラ小僧ならぬ、カメラ小娘を野に放ち、技量を見るんである。
ホント、クソ暑ぃし、30分かそこいらで帰って来るだろうと…思っていたんだけど、2時間経っても誰も戻って来やしない…。古くからの観光地でもあるし、撮るものはいっぱいあるんだけれど、それと同じくらいに甘味処も多いので、過剰な栄養補給にでも勤しんでいるのかもしれないとサバ読んでお昼寝してたら帰って来た。
小娘たちは「マジ」だったんである…。取り敢えずの「労」をねぎらうために、会場を甘味処に移し、撮った写真を見せてもらった。
普段は撮られる立場だが、それだけにプロの写真に一番近い所にもいるワケで、この小娘たちはなかなかやる! フル・オートだから細かい点では色々とあるが、概ね十分に「合格」と思えるんだから、これは驚く…。
もっと驚いたのは、同じ物を自分が見ても、こう撮るかな? こういう撮り方するかな? って小娘ごとの「視点」が写真を見て判るのである。まぁ、男が見るのと女が見るのとではまた違うって点もあるんだけれど、それも加味されているとしても「おもしろい」んである。そして、なかなか「じっくり」撮っているのが判る写真が多かったんですな。撮るまでがじっくりなのか、撮るときにじっくりなのかは知りませんが、少なくとも被写体はクソ暑ぃ中よく観察してるんですよ。
でまぁ、暑ぃ中失った栄養分の補給も終えたし、十分に涼しんだコトでもあるので、アジトに会場を移し、コンパニ子自慢の大画面液晶TVパソコンでじっくりと見てみる事にした。
最近のデジカメは撮影情報も記録されるので、一応確認すると全部がフル・オートで撮られており、覗いてボタンを押せば写真が記録されるって使い方である。何か別に操作するとしてもズームくらいしか動かしていない。
んで、写真を見ながら不満点、疑問点を聞くと、ほとんどがカメラに付いている機能を使えば解消出来るんである。例えば、接写とか、露出補正とか、ズームで画角を変えるとかね。
「シーン別」なんてお気楽モードが幾つか付いていたりもするが、これでもなかなかの感じにはなるんだけれど、そうした機能が付いている事は知っていても、何に使うのかサッパリ判らなかったり、個々の機能の意味が深く理解出来ていないワケで、これじゃあ、せっかく「狙って」も思い通りの表現に近づけるのはプロだって難しい…。
そんなこんなを説明しながら、あーたらこーたら話してみても、露出が、補正が、被写界深度が、画角が、陰影が…なんてのは消化不良を起こすだけなので、
「撮って撮って撮りまくれぇ!」
って事にしちゃいました。強いて言うなら、小娘たちにもいろいろと御不満はありましょうが、まずは…
「見えてる世界の切り取り方を工夫しまショー!」
でも宜しいと。せっかくのオリジナルな「視点」が萎えない様に場数で鍛えた方が、単純で楽しいでしょうし、切り取り方だけでもイカす写真が撮れたりするし…。
もちろん、表現の幅を広げるにはあーたらこーたらどーたらってのは覚えて貰わないと先々困るし、必須でもあるんだけど、知識やテクニックは後回しでもいいかなと思うんです。これが写真の妙でもあるのですが、ゲージツ写真の誕生には必ずしもそう言った物は「必須」でなかったりもするので。
ダムに消え行く村を撮り続けて名作を数多く残した、どこぞのおばあちゃんの愛機は、確か「ピッカリコニカ」だったと思います。高級な1眼レフカメラ・システムだったわけじゃ無かったし、高度なテクニックが駆使されたわけじゃ無かった…。それでも多くの人に感銘や感動を与える作品を生み出したのですな。もちろん、表現の幅や質を高めるにはそうしたシステムの方がより便利でもあるし、デジカメでも同じだとは思うのですが、そこから必ずしも「名作」が生まれるとは限らないって世界なんですよね。
「とりあえず、おめーら、そのカメラを使い倒してみれ。話はそれからだ!」
なんてカッコ良く巨匠風に言ってみたかったのですが、消化不良を気にしながら、
「付いてる機能は使ってみようょぉ…お花マークとかカワイイでしょぉ?」
と、お話しておきました。またそれで、どう変わるのか? 違いを楽しんでみるって事も、実践しながら体験してもらいました。とは言っても、1眼デジカメみたいに違いが極端にコントロール出来るワケでも無いので、知ってる者からみればあまり差が感じないのですけど、めいめい新鮮な驚きはあった様子。
なんだかねぇ、今まで「何となく持ってた」カメラが、今日から「使える道具」って感じにバケたみたいでうれしそうだったのが、こっちもうれしかったです。
小娘たちは少しは「ゲージツ」に近づけた様ですが、知識やテクニックを少しずつ身に付けて行って、思い通りに近い結果が撮れる様になると、こっちも「おもしろい」と思いましたねぇ。そのためにはやはり、いっぱい撮りながら、いっぱいカメラをいじりまくる必要はあると思います。
もし、カメラ小娘たちと同じ思いをしている方がいらっしゃるなら、せっかく買ったカメラなんだから、ツマラナイ思いと作品を増やさない為にも、ちょっといじってみる…コトをオススメします。いじるトコロの無いカメラってのもあるので、そう言う場合は自分の頭をいじってみましょうよ。方法は様々だけれど、色々と遊んでみた結果が大成功! ってコトにもなっちゃう世界で楽しんでも悪く無いですし、そうした経験の積み重ねが実は「テクニック」だったりもするのです。もちろん、カメラだからちゃんと撮れてなきゃイケナイ写真ってのもあるんですけど、遊んで楽しんだ結果から得られた「テクニック」はそうした写真にも応用出来るんです。家族旅行の記念写真係のお父さんも、そうした写真の中に遊びを入れて撮っておくと、いつもとは確実に違う記念写真になるんですから。
あー。私は聞いていないんだけれども、来週は同好会の「合宿」だそうで…。
やれやれ…。
まぁ、先生と言っても現役を退いて十数年経っているので、かなり怪しい先生でもあるし、名作やら傑作とは無縁なんだけれど、一応は写真にもカメラにも詳しい部類の人間ではある…。
デジカメを誰もが持っている時代、記録だけではなく「アート」の道具としてデジカメを使ってみようと考えてもおかしい事は無いねぇ。
コンパニ子もそんな1人で、普段はなにかと撮られる立場が当たり前だったりもするが、一応はデジカメを持っていたりする。すでに何度か買い替えているくらいの所持歴はあるので、いろいろと撮ってはいるのだけれど、
「どーも今ひとつ…」
って感じがずーっと漂っているのだと言う。撮りたい物と出来上がった物に「差」が生まれ、得てしてそれは喜ばしい「差」では無い。その「差」を埋めるために、あれやこれやとやってはみても「下手だ…」って写真の山が築き上げられるばかりで、差は埋まる気がして来なくなるし、疑問と不満とジレンマのスパイラルにどっぷりと漬かってしまうと、やがて全てが「ツマラナイ…」と。
まぁ、これ、プロでもあるものだから永遠に解決の方法なんか無いと思うし、写真に限った事じゃないのだけれど、そんなこんなで出来上がった写真の数々を眺めているうちに…
「私のは安いカメラだから…」
「もうだいぶ古いカメラだから…」
「やだぁ。私なんかケータイよぉ!」
って、いかにももっともらしい理由が生まれて、当てはめられ、今あるカメラを使いきる前に次の新しいカメラへスイッチされてしまうという、メーカーにしては大変に美味しいお客さんが誕生し、今日のデジカメの発展と普及に大きく寄与したりするんである。
で、パーティーは夜からなのに、朝も早くから連れ出された意味が判らずアジトに向うと、同じ様な不満と疑問を抱えた「同士」を3人も集めていやがって、「同好会」まで結成していやがった…。
コンパニ子の友達だから、3人共に現役・元モデルさんではあるが、アイドルと並列するような年齢でも無いので、言っちゃあマイナーなんだろうけれど「モデル」ってのは伊達じゃない…。撮り方教えるから、まず撮らせてくれ! ってお願いしたいくらいなんだが、ふと疑問が浮かぶ。
「知り合いに現役のカメラマンだのフォトグラファーだのはゴロゴロいるだろうに、なぜおじたん。になんか教えを請うの?」
裏がありそうだったので、尋ねると…
「すぐホテル行こうとするからイヤだ…アイツらは!」
実に単純かつ奥の深い問題提起がなされたワケで、いろいろとガッカリだ…おれは…。まぁ、美人に囲まれて先生やるのもまんざらでは無いんだけど…。
さて、彼女らの持っているカメラはほぼ最新のコンパクト・デジカメで、正直羨ましい。パナソニックが多かったのは「あゆ」の影響は大だと言う。また、仕事関係者にも勧められたってのは「手ぶれ防止機能」が評価が高いって事だろうと思うが、正直なところ、メーカーによる大きな差はほとんど無い。充分な高画素・高画質で写真が取れるカメラだし、機能だって1眼デジカメに近かったりもするので、悪いところはどこにも無い。
んじゃあ、何が不満で何が疑問なのか? コンパクトじゃゲージツ写真は撮れないのか? 「アート」だの「ゲージツ」だのってのは様々なんだぞ?
能書きは後にして、ブッ倒れるくらいに天気も良いし、歩いて10分で観光地ってトコロでこんな話をやってるワケだから、撮りに出掛ける事にした。カメラ小僧ならぬ、カメラ小娘を野に放ち、技量を見るんである。
ホント、クソ暑ぃし、30分かそこいらで帰って来るだろうと…思っていたんだけど、2時間経っても誰も戻って来やしない…。古くからの観光地でもあるし、撮るものはいっぱいあるんだけれど、それと同じくらいに甘味処も多いので、過剰な栄養補給にでも勤しんでいるのかもしれないとサバ読んでお昼寝してたら帰って来た。
小娘たちは「マジ」だったんである…。取り敢えずの「労」をねぎらうために、会場を甘味処に移し、撮った写真を見せてもらった。
普段は撮られる立場だが、それだけにプロの写真に一番近い所にもいるワケで、この小娘たちはなかなかやる! フル・オートだから細かい点では色々とあるが、概ね十分に「合格」と思えるんだから、これは驚く…。
もっと驚いたのは、同じ物を自分が見ても、こう撮るかな? こういう撮り方するかな? って小娘ごとの「視点」が写真を見て判るのである。まぁ、男が見るのと女が見るのとではまた違うって点もあるんだけれど、それも加味されているとしても「おもしろい」んである。そして、なかなか「じっくり」撮っているのが判る写真が多かったんですな。撮るまでがじっくりなのか、撮るときにじっくりなのかは知りませんが、少なくとも被写体はクソ暑ぃ中よく観察してるんですよ。
でまぁ、暑ぃ中失った栄養分の補給も終えたし、十分に涼しんだコトでもあるので、アジトに会場を移し、コンパニ子自慢の大画面液晶TVパソコンでじっくりと見てみる事にした。
最近のデジカメは撮影情報も記録されるので、一応確認すると全部がフル・オートで撮られており、覗いてボタンを押せば写真が記録されるって使い方である。何か別に操作するとしてもズームくらいしか動かしていない。
んで、写真を見ながら不満点、疑問点を聞くと、ほとんどがカメラに付いている機能を使えば解消出来るんである。例えば、接写とか、露出補正とか、ズームで画角を変えるとかね。
「シーン別」なんてお気楽モードが幾つか付いていたりもするが、これでもなかなかの感じにはなるんだけれど、そうした機能が付いている事は知っていても、何に使うのかサッパリ判らなかったり、個々の機能の意味が深く理解出来ていないワケで、これじゃあ、せっかく「狙って」も思い通りの表現に近づけるのはプロだって難しい…。
そんなこんなを説明しながら、あーたらこーたら話してみても、露出が、補正が、被写界深度が、画角が、陰影が…なんてのは消化不良を起こすだけなので、
「撮って撮って撮りまくれぇ!」
って事にしちゃいました。強いて言うなら、小娘たちにもいろいろと御不満はありましょうが、まずは…
「見えてる世界の切り取り方を工夫しまショー!」
でも宜しいと。せっかくのオリジナルな「視点」が萎えない様に場数で鍛えた方が、単純で楽しいでしょうし、切り取り方だけでもイカす写真が撮れたりするし…。
もちろん、表現の幅を広げるにはあーたらこーたらどーたらってのは覚えて貰わないと先々困るし、必須でもあるんだけど、知識やテクニックは後回しでもいいかなと思うんです。これが写真の妙でもあるのですが、ゲージツ写真の誕生には必ずしもそう言った物は「必須」でなかったりもするので。
ダムに消え行く村を撮り続けて名作を数多く残した、どこぞのおばあちゃんの愛機は、確か「ピッカリコニカ」だったと思います。高級な1眼レフカメラ・システムだったわけじゃ無かったし、高度なテクニックが駆使されたわけじゃ無かった…。それでも多くの人に感銘や感動を与える作品を生み出したのですな。もちろん、表現の幅や質を高めるにはそうしたシステムの方がより便利でもあるし、デジカメでも同じだとは思うのですが、そこから必ずしも「名作」が生まれるとは限らないって世界なんですよね。
「とりあえず、おめーら、そのカメラを使い倒してみれ。話はそれからだ!」
なんてカッコ良く巨匠風に言ってみたかったのですが、消化不良を気にしながら、
「付いてる機能は使ってみようょぉ…お花マークとかカワイイでしょぉ?」
と、お話しておきました。またそれで、どう変わるのか? 違いを楽しんでみるって事も、実践しながら体験してもらいました。とは言っても、1眼デジカメみたいに違いが極端にコントロール出来るワケでも無いので、知ってる者からみればあまり差が感じないのですけど、めいめい新鮮な驚きはあった様子。
なんだかねぇ、今まで「何となく持ってた」カメラが、今日から「使える道具」って感じにバケたみたいでうれしそうだったのが、こっちもうれしかったです。
小娘たちは少しは「ゲージツ」に近づけた様ですが、知識やテクニックを少しずつ身に付けて行って、思い通りに近い結果が撮れる様になると、こっちも「おもしろい」と思いましたねぇ。そのためにはやはり、いっぱい撮りながら、いっぱいカメラをいじりまくる必要はあると思います。
もし、カメラ小娘たちと同じ思いをしている方がいらっしゃるなら、せっかく買ったカメラなんだから、ツマラナイ思いと作品を増やさない為にも、ちょっといじってみる…コトをオススメします。いじるトコロの無いカメラってのもあるので、そう言う場合は自分の頭をいじってみましょうよ。方法は様々だけれど、色々と遊んでみた結果が大成功! ってコトにもなっちゃう世界で楽しんでも悪く無いですし、そうした経験の積み重ねが実は「テクニック」だったりもするのです。もちろん、カメラだからちゃんと撮れてなきゃイケナイ写真ってのもあるんですけど、遊んで楽しんだ結果から得られた「テクニック」はそうした写真にも応用出来るんです。家族旅行の記念写真係のお父さんも、そうした写真の中に遊びを入れて撮っておくと、いつもとは確実に違う記念写真になるんですから。
あー。私は聞いていないんだけれども、来週は同好会の「合宿」だそうで…。
やれやれ…。
