…長々と書いているが…あまり涼しい話じゃねぇかな…。
怪音に悩む婦女子のマンションで対策会議、作戦会議をしているうちに、持久戦になってしまった…。
「そろそろ丑三つ時だから音出てもいいんじゃね?」
「やっぱり人を選ぶのかなぁ…」
「出ない方がいいんですけれど…」
そうした奇異な感触も無く…やっぱり時間だけが過ぎてゆく…。
「ねぇ? 出る時合図とかあんの?」
「いきなりですか?」
婦女子の疑問は尽きないが…ほとんどがいきなりである。予兆というか、そうした感触は「音」って場合が多いが、それもなく、なんか見えたぞ…って場合が多い。「音」の場合は、自然音って感じよりも、人造音と言う方が相応しい。
どう考えても金属音がしないところで聞こえたりする。鍵がちゃらちゃら…ってレベルではなく、明らかに「カン…」な缶の音に似ていたり、耳鳴りみたいな「キーんっ…」ってのが。
こうした音が、周囲から連鎖して聞こえてきたら、合図っぽいんである。屋外の場合は、何もない頭上から聞こえたりするので、首をかしげても判らない事ばかりだ。
…それもなく…実に平和な夜更かし大会に変わりつつある…。
「…コン…っ…」
「ん!」
「何!今の何っ!」
「あれです! あの音っ!」
まぁ、電気も点けまくってどの部屋も明るいので、婦女子を除いて怖い人もいないが…代表して音の出たと思わしき部屋へ行ってみる。
手当たり次第にコンコンと叩いて、似た音が出る家具とかないか調べるが…無いんだなぁ。壁面をコンコンしてみると…あっちの部屋から…
「やだっ! おじたん!」
「今、音しましたっ!」
そりゃそうだ。おれが叩いてるんだもの。やはり壁面を叩く音に近いみたいだ。このまま叩き続けるとパニックになりそうなので、やめて戻る…。婦女子はやっぱり涙目になってるし…。
「壁の音がそうみたいだね…叩いている人はいなかったけど。」
「続けてコンコンいってましたよ!」
「ホントは見たんじゃないのっ!」
「いや、最初のを除いて、おれが叩いたから…」
遠慮してるのか、1回しか音がしてこない。連鎖してくれて、別の音も聞きたいのだが…。
と…なると、乾湿の影響で建築材が音を出したのかも知れぬ…。冬場の乾燥時期なんか、似た音は頻繁に聞こえたりもする…。そうではなく、あたかも人が叩き回っているかの様な、連鎖がここでは欲しいのだ。
「…続かねぇなぁ…」
「…」
「帰っちゃったんじゃないですかねぇ…」
来るの待ってンのに、もう帰っちゃったの?
そうこうしているウチに「おはよん!」が始まってしまった…。
「朝になっちまったよ…」
「あの音だけだね…」
「朝だから帰ったんですよねぇ…?」
ま、得てして夜の時間帯がこうした音を聞けたりするが、経験から言えば絶対ではない。生活音に紛れて聞いてないとか、外も明るいと案外と気にしない…ってだけじゃないかと思うが…。
結局、当事者と応援部隊は取り敢えず解散撤収する事になったんである…。
かれこれ2週間…。どうした事か…以後「出たっ!」という連絡が無い。確認してみると、音がしていないし、変な事も無いんだと言う。ホントに帰っちゃったんだろうか…。
出たらまた応援にも行くし、支援もするが…出なけりゃ出ないで平和でいい。
梅雨も明け、夏本番となり、そろそろお盆なシーズンでもあるし…気になるけれど、いらぬお節介も野暮だしなぁ…。
しかし…帰ったとして誰が? どこから? どこへ? やはり、出るならズバーーンっ…と、ハッキリクッキリ出て欲しいものである。
「自縛霊が…!」
「浮遊霊が…」
「先祖が…」
…なんて事は言いたかぁ無い。しかと根拠を示さねば、そうした全てがペテンに変わる。解明不可能な超常現象かも知れないが、テキトーな事を言って誤魔化しちゃ真実には近づけない。そもそも…出て来た幽霊が「私は自縛霊でして…」って名乗ったなんて事もあるまい。そうした現象に接する間に、接した人間が考えた名前だ。
『幽霊の正体見たり枯れ尾花』
昔の人は良く言ったモンだ…。ちゃんと見れば正体は判るモンであるが…なかなかちゃんと見る事が出来た試しもない…。そのくせ、何かと不可思議な現象は起きてもいるのだから、謎も尽きないなんだけれどなぁ…。
いったい、何がそうした変な音を出していたのか? 全く定かじゃないトコロが非常に不満なのだけれど、得てしてこんな感じが多い。我がアジトがかつてそうだったのだが、壁を叩いて回るのが幽霊の趣味なのかどうなんだか…。
音がしている側から写真撮ったり、ビデオ回したりもしたが…判らなかったんだなぁ…。そうした事を目論んでいると写らないのかもしれないが…。
てなワケで…個人的にはあまり涼しくは無かったのだが、そこに住んでいる人、またはその知人…にとってはかなり涼しい事になったみたいだ。
「やれやれだねぇ…。」
「もう出ないといいんですけど…」
「夏だけでしょ? 幽霊は…」
…何を言っている…幽霊に季節なんかあるもんか。夏場に怪談が話されたりする場が多いだけで、幽霊のあるなしに関係なんかなかろう…。
「いや、年中だよ。カンケーねぇもの。」
「ええっ!」
「いやぁ!」
…今年の夏は暑いから、しばらく涼しくなるのもまんざらじゃないだろうに…。
怪音に悩む婦女子のマンションで対策会議、作戦会議をしているうちに、持久戦になってしまった…。
「そろそろ丑三つ時だから音出てもいいんじゃね?」
「やっぱり人を選ぶのかなぁ…」
「出ない方がいいんですけれど…」
そうした奇異な感触も無く…やっぱり時間だけが過ぎてゆく…。
「ねぇ? 出る時合図とかあんの?」
「いきなりですか?」
婦女子の疑問は尽きないが…ほとんどがいきなりである。予兆というか、そうした感触は「音」って場合が多いが、それもなく、なんか見えたぞ…って場合が多い。「音」の場合は、自然音って感じよりも、人造音と言う方が相応しい。
どう考えても金属音がしないところで聞こえたりする。鍵がちゃらちゃら…ってレベルではなく、明らかに「カン…」な缶の音に似ていたり、耳鳴りみたいな「キーんっ…」ってのが。
こうした音が、周囲から連鎖して聞こえてきたら、合図っぽいんである。屋外の場合は、何もない頭上から聞こえたりするので、首をかしげても判らない事ばかりだ。
…それもなく…実に平和な夜更かし大会に変わりつつある…。
「…コン…っ…」
「ん!」
「何!今の何っ!」
「あれです! あの音っ!」
まぁ、電気も点けまくってどの部屋も明るいので、婦女子を除いて怖い人もいないが…代表して音の出たと思わしき部屋へ行ってみる。
手当たり次第にコンコンと叩いて、似た音が出る家具とかないか調べるが…無いんだなぁ。壁面をコンコンしてみると…あっちの部屋から…
「やだっ! おじたん!」
「今、音しましたっ!」
そりゃそうだ。おれが叩いてるんだもの。やはり壁面を叩く音に近いみたいだ。このまま叩き続けるとパニックになりそうなので、やめて戻る…。婦女子はやっぱり涙目になってるし…。
「壁の音がそうみたいだね…叩いている人はいなかったけど。」
「続けてコンコンいってましたよ!」
「ホントは見たんじゃないのっ!」
「いや、最初のを除いて、おれが叩いたから…」
遠慮してるのか、1回しか音がしてこない。連鎖してくれて、別の音も聞きたいのだが…。
と…なると、乾湿の影響で建築材が音を出したのかも知れぬ…。冬場の乾燥時期なんか、似た音は頻繁に聞こえたりもする…。そうではなく、あたかも人が叩き回っているかの様な、連鎖がここでは欲しいのだ。
「…続かねぇなぁ…」
「…」
「帰っちゃったんじゃないですかねぇ…」
来るの待ってンのに、もう帰っちゃったの?
そうこうしているウチに「おはよん!」が始まってしまった…。
「朝になっちまったよ…」
「あの音だけだね…」
「朝だから帰ったんですよねぇ…?」
ま、得てして夜の時間帯がこうした音を聞けたりするが、経験から言えば絶対ではない。生活音に紛れて聞いてないとか、外も明るいと案外と気にしない…ってだけじゃないかと思うが…。
結局、当事者と応援部隊は取り敢えず解散撤収する事になったんである…。
かれこれ2週間…。どうした事か…以後「出たっ!」という連絡が無い。確認してみると、音がしていないし、変な事も無いんだと言う。ホントに帰っちゃったんだろうか…。
出たらまた応援にも行くし、支援もするが…出なけりゃ出ないで平和でいい。
梅雨も明け、夏本番となり、そろそろお盆なシーズンでもあるし…気になるけれど、いらぬお節介も野暮だしなぁ…。
しかし…帰ったとして誰が? どこから? どこへ? やはり、出るならズバーーンっ…と、ハッキリクッキリ出て欲しいものである。
「自縛霊が…!」
「浮遊霊が…」
「先祖が…」
…なんて事は言いたかぁ無い。しかと根拠を示さねば、そうした全てがペテンに変わる。解明不可能な超常現象かも知れないが、テキトーな事を言って誤魔化しちゃ真実には近づけない。そもそも…出て来た幽霊が「私は自縛霊でして…」って名乗ったなんて事もあるまい。そうした現象に接する間に、接した人間が考えた名前だ。
『幽霊の正体見たり枯れ尾花』
昔の人は良く言ったモンだ…。ちゃんと見れば正体は判るモンであるが…なかなかちゃんと見る事が出来た試しもない…。そのくせ、何かと不可思議な現象は起きてもいるのだから、謎も尽きないなんだけれどなぁ…。
いったい、何がそうした変な音を出していたのか? 全く定かじゃないトコロが非常に不満なのだけれど、得てしてこんな感じが多い。我がアジトがかつてそうだったのだが、壁を叩いて回るのが幽霊の趣味なのかどうなんだか…。
音がしている側から写真撮ったり、ビデオ回したりもしたが…判らなかったんだなぁ…。そうした事を目論んでいると写らないのかもしれないが…。
てなワケで…個人的にはあまり涼しくは無かったのだが、そこに住んでいる人、またはその知人…にとってはかなり涼しい事になったみたいだ。
「やれやれだねぇ…。」
「もう出ないといいんですけど…」
「夏だけでしょ? 幽霊は…」
…何を言っている…幽霊に季節なんかあるもんか。夏場に怪談が話されたりする場が多いだけで、幽霊のあるなしに関係なんかなかろう…。
「いや、年中だよ。カンケーねぇもの。」
「ええっ!」
「いやぁ!」
…今年の夏は暑いから、しばらく涼しくなるのもまんざらじゃないだろうに…。