高校時代の同級生が亡くなっていた事を知ったのは、昨年の夏の事であった…。
んでまぁ、あそこの寺の墓苑に眠っている…とは聞いていたのだが、詳しい場所などは判らず、そこそこ調べてはみたのだが、個人情報の壁に阻まれて、とんと判らず…。
ま、死んじゃっている…ってんだから、死んじゃってんだろう…とは理解するものの、信じ難い…ってところはなかなか消えず、半信半疑ってままであった。
まぁ、そんな話を知人にすると…調べる方法があるのでちょいと待て…と。まぁ、ある種そうした情報に特化した職業に就いてもいるので、何らかの方法ってのがあるんだろうと思ったが、目の前から2~3電話すると、ほどなくここであろう場所と言うのが判った。スマホに情報を送ってもらい、場所はそこそこ正確だと思えた。
んでまぁ…意を決して訪れてみる…。
管理事務所を訪れ来苑の趣旨を伝え、身分を明らかにすると…事務員が案内してくれると言う。
昨年の夏に聞いていた場所からは外れるが…亡くなった当人の名前と大体の命日くらいしか判らないって事もあり、同姓の墓所を案内される可能性も無きにしも…と考えたりしたが…その場所に案内された。
「こちらになります…お1人ですね…ここの戒名と命日、享年、お名前も…。」
脇の墓碑銘に目をやると、確かにヤツの名前が刻まれていた…。
「おまえ、ホントに死んじゃったんだな…」
思わず、声に出してしまった。案内してくれた事務員が驚いた顔をしていた。
「いや、亡くなったとは聞いていましたが…半信半疑で…」
「今年が7回忌となりますね、命日の頃には法要もされるのではないでしょうか…」
事務員に謝辞を述べ、一人にしてもらう…。
それまでのいろんなものが込上げる…。
「おまえなぁ、久々の再会が石って…どーゆーことよ?」
いろんな事情があったと聞いている。誰にも知らせずに逝ったとも。そんなヤツだったか? いや、そんなヤツじゃなかった。寂しくなれば、いつも遊びに来ていた。賑やかなのが好きだった。徹夜であれこれ話し合いもしたし、バカもしに出掛けた。金も無く、寒い夜に遠いコンビニまでてくてく歩き、2人で1つのイカフライおかか弁当を買い、分け合って食べたりもした…。
それが…7年も前に石に姿を変えていたなんて…信じられないが、事実として石の墓標になっている。
「おれもな、うっかりそっちに行きそうになったんだよ…。」
積もる話をしてはみたが、当然、返事も相槌も無い…。それでも、語りかけずにはいられない。
「苦しかったんだろうな…苦しいって言ゃあいいじゃねぇか。じたばたして、助けてくれって騒げばいいじゃねぇか。そんなにカッコ付けたかったのか? そうじゃないだろ? 誰だっていい。連絡すりゃあ良かったのによ…。」
病気なら仕方ない…。気付いたときには既に手遅れだったとも聞いている。そこに、おれらは不要だったのか…。
なにかあればすっ飛んで来るヤツが…そうしてもらわない理由はそんなに知られたくなかったのか…。
まさか、ホントに墓に姿を変えているとは思ってもいなかったので、手ぶらで来てしまったが…ジャケットの肩ポケットから吸い忘れたタバコが1本出て来た…。
「もう、おまえ天国にいるんだろうから、吸っても誰も文句はイワネェだろ…ゆっくり吸ってくれ…」
線香代わりに火を点し、たむけてきた。
「んじゃ。また来る。必ずな。花は似合わねぇよな…なにか、他のモノ持ってきてやるよ…」
散りかけている桜が、雪のようにぶわぁ…っと舞ってきた。
「そうか…おまえ、こんなの7年も見てたんだな…特等席じゃねぇか…」
ものすごく悔しく、とまらない身震いに襲われる。大声でバカヤロウと、怒鳴りたくなる。何故? どうして? ってのが、際限なく頭に浮かんでくる。何もかも、順風満帆で、サラリーマンとは言え、何の心配も無く生きていたのに。何が恥ずかしくて、おれらには知らせなかったのか…。
「あー。ちくしょう…。」
春のいい天気の中、際限なく納得のいかない気持ちに包まれながら、歩いて帰路についた…。
んでまぁ、あそこの寺の墓苑に眠っている…とは聞いていたのだが、詳しい場所などは判らず、そこそこ調べてはみたのだが、個人情報の壁に阻まれて、とんと判らず…。
ま、死んじゃっている…ってんだから、死んじゃってんだろう…とは理解するものの、信じ難い…ってところはなかなか消えず、半信半疑ってままであった。
まぁ、そんな話を知人にすると…調べる方法があるのでちょいと待て…と。まぁ、ある種そうした情報に特化した職業に就いてもいるので、何らかの方法ってのがあるんだろうと思ったが、目の前から2~3電話すると、ほどなくここであろう場所と言うのが判った。スマホに情報を送ってもらい、場所はそこそこ正確だと思えた。
んでまぁ…意を決して訪れてみる…。
管理事務所を訪れ来苑の趣旨を伝え、身分を明らかにすると…事務員が案内してくれると言う。
昨年の夏に聞いていた場所からは外れるが…亡くなった当人の名前と大体の命日くらいしか判らないって事もあり、同姓の墓所を案内される可能性も無きにしも…と考えたりしたが…その場所に案内された。
「こちらになります…お1人ですね…ここの戒名と命日、享年、お名前も…。」
脇の墓碑銘に目をやると、確かにヤツの名前が刻まれていた…。
「おまえ、ホントに死んじゃったんだな…」
思わず、声に出してしまった。案内してくれた事務員が驚いた顔をしていた。
「いや、亡くなったとは聞いていましたが…半信半疑で…」
「今年が7回忌となりますね、命日の頃には法要もされるのではないでしょうか…」
事務員に謝辞を述べ、一人にしてもらう…。
それまでのいろんなものが込上げる…。
「おまえなぁ、久々の再会が石って…どーゆーことよ?」
いろんな事情があったと聞いている。誰にも知らせずに逝ったとも。そんなヤツだったか? いや、そんなヤツじゃなかった。寂しくなれば、いつも遊びに来ていた。賑やかなのが好きだった。徹夜であれこれ話し合いもしたし、バカもしに出掛けた。金も無く、寒い夜に遠いコンビニまでてくてく歩き、2人で1つのイカフライおかか弁当を買い、分け合って食べたりもした…。
それが…7年も前に石に姿を変えていたなんて…信じられないが、事実として石の墓標になっている。
「おれもな、うっかりそっちに行きそうになったんだよ…。」
積もる話をしてはみたが、当然、返事も相槌も無い…。それでも、語りかけずにはいられない。
「苦しかったんだろうな…苦しいって言ゃあいいじゃねぇか。じたばたして、助けてくれって騒げばいいじゃねぇか。そんなにカッコ付けたかったのか? そうじゃないだろ? 誰だっていい。連絡すりゃあ良かったのによ…。」
病気なら仕方ない…。気付いたときには既に手遅れだったとも聞いている。そこに、おれらは不要だったのか…。
なにかあればすっ飛んで来るヤツが…そうしてもらわない理由はそんなに知られたくなかったのか…。
まさか、ホントに墓に姿を変えているとは思ってもいなかったので、手ぶらで来てしまったが…ジャケットの肩ポケットから吸い忘れたタバコが1本出て来た…。
「もう、おまえ天国にいるんだろうから、吸っても誰も文句はイワネェだろ…ゆっくり吸ってくれ…」
線香代わりに火を点し、たむけてきた。
「んじゃ。また来る。必ずな。花は似合わねぇよな…なにか、他のモノ持ってきてやるよ…」
散りかけている桜が、雪のようにぶわぁ…っと舞ってきた。
「そうか…おまえ、こんなの7年も見てたんだな…特等席じゃねぇか…」
ものすごく悔しく、とまらない身震いに襲われる。大声でバカヤロウと、怒鳴りたくなる。何故? どうして? ってのが、際限なく頭に浮かんでくる。何もかも、順風満帆で、サラリーマンとは言え、何の心配も無く生きていたのに。何が恥ずかしくて、おれらには知らせなかったのか…。
「あー。ちくしょう…。」
春のいい天気の中、際限なく納得のいかない気持ちに包まれながら、歩いて帰路についた…。