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乗り物 007 ヴォエジャー・ワン Voyager-1

2012年03月10日 01時54分37秒 | 乗り物

タイタン・ロケットでヴォエジャー1の打ち上げ:Voyager 1 lift off with TitanIII/Centaur.

1977年9月5日にケープ・カナヴェラル(Cape Canaveral)から、タイタン・ロケット(Titan-Centaur Rocket)で、打ち上げられた無人惑星探査機、ヴォエジャー・ワン(Voyager-1)は、現在地球から最も遠くにある人工物体です。


ヴォエジャー・ワン:Voyager 1 Spacecraft

1977年にヴォエジャー・1号と2号が、打ち上げられたのは理由がありました。 丁度この年に太陽系の惑星で、木星(Jupiter), 土星(Saturn), 天王星(Uranus)、海王星(Neptune)が、都合よく並ぶのです、これは176年ごとに訪れる貴重なチャンスでした。


ヴォエジャー・ワン:Voyager 1 Spacecraft

ヴォエジャー1号と2号の主なミッションは、木星と土星の探索で、惑星に接近して情報を集めることでした。 この計画は、カリフォルニア、パサデナにあるジェット・プロパルジョン・ラボラトリー(Jet Propulsion Laboratory-JPL)と、カルテック(California Institute of Technology-CIT)で、進められました。


木星のレッド・スポット(大赤斑):The Great Red Spot as seen from Voyager 1.

主目的は達成され、想定外の大きな成果が得られました。 木星を取り巻くガス体や土星のリング、のみならず土星の月であるアイオー(Io)の火山噴火の撮影などは、素晴らしい業績でした。


着色された木星の大気:False color detail of Jupiter's atmosphere.

そして惑星に近づくことで、スウィングバイ航法と呼ばれる重力アシスト(gravitational assist)を使ってスピードを上げることに成功しています。


土星のリング:Saturn's Rings

1990年(平成2年)には、ヴォエジャーのカメラなど映像関係の機器は全て止められました。 
もう近くに何も写す物体がないのと電力の消費を少なくするためでした。


土星のF-リングのイメージ:Voyager 1 image of Saturn's F Ring.  

ヴォエジャーは、プルトニュウム238の放射性崩壊熱を利用した原子力電池を使っています。
現段階で片道18時間程かかるヴォエジャーとの交信を、2020年頃まで残りの電力で維持出来そうです。


土星の月、アイオーの火山噴火:Volcanic eruption on Io

ヴォエジャーの打ち上げからもうすぐ35年になろうとしています。 現在の任務はヴォエジャー・インターステラ・ミッション(Voyager Interstellar Mission, VIM)に変更され、恒星間の探索に切り変えられています。


アイオーの溶岩の流れた後:View of lava flows radiating from the volcano Ra Patera on Io.

ソーラー・システム(Solar System)こと太陽系はよく知られていますが、ヘリオスフィアー(Heliosphere)は余り聞き慣れない言葉です。 ヴォエジャー・ワンは現在このヘリオスフィアーの端っこ近くを秒速17Km以上の早い速度で航行しています。


カリストのクレーター:Valhalla crater on Callisto as imaged by Voyager 1 in 1979.

ヘリオスフィアー(太陽圏)は、時速100万から200万マイルのスピードで太陽から出たソーラー・ウィンド(Solar Wind)や磁場の影響の届く範囲のことです。 その形や大きさは、太陽活動の変化や通過する星間空間の物質の密度の違いによって常に変化しているので厳密に特定できません。 



ヘリオスフィアーの端に達した超音速のソーラー・ウィンド(太陽風)は、星間物質や星間磁場で急減速され末端衝撃波面(Termination Shock)を形成し、星間物質と混ざり合うヘリオシース(Heliosheath)と呼ばれる領域が出来ると考えられています。



太陽のある銀河系は、ミルキーウェイ・ギャラクシー(Milky Way Galaxy)と呼ばれていますが、ミルキーウェイは、約2000億~4000億の恒星が含まれた星間ガスや塵などの天体の集まりです。
このミルキーウェイの中の恒星間を、ヘリオスフィアーは、コメットが太陽系の中を移動すると似た様な形で秒速約220Kmの速度で公転しています。



太陽系惑星のケプラー運動(異なる軌道を持ち異なる速度で移動)と違い、太陽のような銀河系恒星の軌道速度は、質量分布のおかげで中心からの距離によらずほぼ同じ速度で公転しているそうです。 とても不思議ですね。



ヴォエジャー・プログラムの主任科学者、ストーン博士(Dr. Ed Stone)の説明では、太陽風はなお外へと向かおうとしますが、いずれ太陽風と星間ガスの圧力が均衡し太陽風の速度はゼロとなり、遂に太陽風の力が尽きる境界が作られる。 この境界はヘリオポーズ(Heliopouse)と呼ばれています。



その先で、太陽の公転による星間物質とヘリオポーズとの衝突で生じるバウショック(Bow Shock)と呼ばれる衝撃波面が形成されていると考えられていて、その前でヘリオスフィア(太陽圏)の終わりとなり、ここが太陽系の最果てになるそうです。



まさに未知との遭遇です、これからどんな情報をヴォエジャーが送ってくるのか楽しみです。
最後に、ストーン博士の言葉を引用します。
"No matter what you think you know, what there is to learn is even more interesting."
(どんなに知っていると思っていても、これから学べることは、もっと興味深いでしょう。)



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