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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

平気で嘘をつくことができる人たちが断罪された七生養護裁判

2014年03月21日 | こども危機
 =七生養護学校「こころとからだの学習」=
 ◎ 10年裁判・最高裁で勝訴確定

洪美珍(七生養護学校・元保護者)

 昨年11月28日、最高裁判所から上告棄却の通知が届き、東京高裁で原告が勝訴した判決が確定しました。
 七生養護学校に三人の都議が都教委を連れてやってきて、教材を持ち去り、教員が処分されるという前代未聞の事件が起きたのは2003年7月のことでした。
 裁判は10年に及び、今では特別支援学校の中でも事件を知らない若い教員が増えたとのことです。
 七生養護学校(現在は特別支援学校)には、隣接している養護施設から通う子ども達が多数在籍しています。その心のケアとしても「性教育」に取り組んでいました。
 事件当時、都議は都議会で自分の主張を述べ、その後視察と称し学校現場へ介入してきました。裁判所は、都議が視察の際に、保健室の養護教員2名に対して行った行為は侮辱に当たり、不法行為である、と認定しました。
 また、都教委の職員がそれを制しなかったのは「不当な行為」から教員を保護するよう配慮すべき義務に違反した。
 また、その後「性教育」を行ったことを理由とした教員への厳重注意は違法である、とそれぞれに損害賠償を命じました。
 東京高裁はこう言っています。
 ①七生養護学校は、学校全体として、校長を含む教員全員が共通理解のもとに、生徒の実情を踏まえて、保護者とも連携しながら指導内容を検討し、組織的、計画的に性教育に取り組んでいた。それに対し、都議、都教委は障害のある子には性に関する知識をより限定的に、より抽象的に、より遅く教えるべきと考えている。しかし、障がいのある子は、肉体的成長は通常と変わりないが、理解力、判断力、想像力、適応力が十分ではなく、早期に、具体的に、明瞭に、平易に、繰り返し教えるという考え方も十分に成り立つ、と。
 ②学習指導要領は、最小限の基準である以上、定められた内容、方法を超える教育をすることは、明確に禁じられていない限り、許容される。教育委員会は、教員の創意工夫の余地を奪うような細目にまでわたる指示命令を行うことまでは許されない、と。
 裁判の中で、都教委が言っていた「保護者からの苦情」ということがなかったことが明確になりました。
 こういう、誰も反撃できない、そんなこともあるかもしれない、という表現を、攻撃する側はマイナスイメージによく用います。平気でうそをつくことができる人たちだと思いました。
 また、公判の中で裁判官は都議に対して質問しました。
 「あなたは、教育学、心理学、障がい児教育に関して学んだことがありますか?」と。
 都議は堂々と「ありません」と答えました。
 この都議は今も都議会文教委員として「はだしのゲン」を子ども達が読むのにはふさわしくないと、教育現場から、排除しようとしています。
 どういう子ども観を持ち、どんな専門性を持ってそう考えるのか、根拠をお聞きしたいものだと思います。
 裁判には勝ったものの、この間失われた性教育はまだ教育現場に戻っていません。子ども達のニーズから、何とかしたいと思っている教員も、七生への攻撃が頭にあって、怖くてできないと言っています。
 また、事件までは七生の教員を指導者として都教委主催の講習会に用いていたにもかかわらず、事件後に「性教育の手引き」を書き替え、七生養護学校を不適切な事例として挙げていて、いまだに訂正していません
 そのことを改めるように、また持ち去った人形等の教材を学校に戻すように、署名活動や都議会への働きかけを通して、新たに取り組んでいます。
 今までの支援に感謝するとともに、これからもよろしくお願いします。(こうびちん)
 『子どもと教科書全国ネット21ニュース』94号(2014.2)

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