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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

『河北新報』【社説】責任回避より英知の結集を

2011年08月17日 | フクシマ原発震災
 『河北新報』【社説】 東日本大震災 原子力学会
 ▼ 責任回避より英知の結集を


 東京電力福島第1原発事故は東電、国のみならず、原発を推進してきた専門家集団の責任や立ち位置も問うている。
 原子力研究者や技術者でつくる*日本原子力学会は、7月に公表した声明で「個人の責任」を不問にするよう求めた。唐突で奇異な声明と言わざるを得ない。
 もとより、事故原因の究明を単なる「犯人捜し」に終わらせてはならない。その目的は公正、中立な立場から調査し、真実を明らかにすることにある。
 避難生活を強いられている被災者がいる。日本の原子力政策を世界が注視している。科学者がいますべきは免責の予防線を張ることではなく、原因究明と事故収束に向けて英知を結集することだ社会的使命をきちんと果たしてほしい。
 声明は内閣が設置した第三者機関「事故調査・検証委員会」(委員長・畑村洋太郎東大名誉教授)に対して、「個人の責任追及に偏らない調査」を求めた。
 学会によれば、国内重大事故の過去の調査では、関係者から正確な証言が得られなかった。組織の問題として取り上げられるべきことまでもが、個人の責任に帰せられることを恐れたためだという。
 この経験に照らし、福島第1原発などで従事した関係者はもとより、事故炉の設計・建築・審査・検査などに関与した個人に対する責任追及を目的としない立場を明確にすることが必要、としている。
 実は学会は、声明の3日前に「政府や東電の国民への情報開示の遅れが被害拡大を招いた可能性がある」として改善を求めた。それだけに、突然の「責任不問要請」は組織防衛にしか映らない。
 事故調査・検証委メンバーであるノンフィクション作家の柳田邦男氏「調査される側の団体が調査機関に対し、調査方法について一定の枠組みを要請するのは前代未聞のこと。何を恐れているのか」と疑問を呈した。
 事故後、原発の安全性に太鼓判を押してきた研究者に「御用学者」と批判の矛先が向いた。原発推進の錦の御旗となった安全審査に「加担した」と見られたからだ。
 だが、安全神話は「想定外」の巨大地震と大津波で崩壊した。原発の全電源喪失や建屋の爆発、大量の放射性物質の環境放出など、あり得ないとしてきた事態が現実のものになった。
 学会とは別に、原発に関わってきた学者ら有志16人は自らの責任を認めて国民に謝罪した。被ばく線量設定をめぐって内閣官房参与を辞した教授もいたが、これらは学者・研究者のごく一部にすぎない。
 学会は、事故を受けてなお「原子力が人類のエネルギー問題解決に不可欠の技術であることに思いを致し」と会長声明を出した。その視線の先に被災者の存在は感じられない
 放射性物質の恐怖から逃れ、一日も早く平和な暮らしを取り戻したい―。学会が果たすべきは被災者の切実な願望に応えることだ。学会の分科会も提言する除染モデル構築や廃棄物対策を早急に実践に移してほしい。
『河北新報』(2011年08月16日【社説】)
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2011/08/20110816s01.htm
 ※福島第一原子力発電所事故「事故調査・検討委員会」の調査における個人の責任追及に偏らない調査を求める声明(日本原子力学会)

http://www.aesj.or.jp/info/pressrelease/pr20110707.pdf

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